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【530号】茶色のリサイクル紙製品が米家庭に普及しない理由とは?

◎本日のニュース

1)見出し
Trying On Shades of Brown to Scream Green

【出典】
goo.gl/CjbkX

2)要約
茶色の紙製品には環境保全を想起させる効果があるとして、
ペーパータオルやナプキン、おむつなどを製造する企業は、
製品の色を茶色にする傾向がある。
漂白剤を使っていない茶色にすることで、
環境に気づかっている企業であることを、
消費者にわかりやすく伝えることができる。

しかし、環境保護団体から従来批判されていた
塩素を使う漂白方法は、アメリカではもう採用されていない。
また、リサイクル紙を100%

使っても白い紙を製造できるという。
実際、塩素を使わずに漂白したおむつに、
茶色の色素を添加して環境保護イメージを伝える企業もあるという

アメリカのリサイクルペーパー市場は、
紙市場全体よりも成長率が高いものの、
茶色のリサイクル製品は主に業務用として販売されている。
その理由は、価格や品質を犠牲にしてまで環境保護を優先する
消費者は一部であるからである。特に、アメリカ人は
トイレットペーパーに対しては保守的であり、
従来の白色を好んで使用する。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Brown paper products are becoming an obvious way
for consumers to show that they care about the environment.

4)キーとなる英文の和訳
茶色の紙製品を採用することは、自社が環境に
気遣っていることを示すのに、消費者にとって
わかりやすい方法と捉えられている。

5)気になる単語・表現
obvious 形容詞     明らかな

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
企業が、環境にやさしい企業であることを消費者に
アピールするために、茶色のリサイクル製品を
使っていることの是非について、書かれてある。
タイトルから判断すれば、どちらかというと批判的。
(タイトルを訳すと、「茶色の影で、グリーン
(環境へのやさしさ)を叫ぼうとしている。」)

その理由は、次の矛盾があるからである。
◯企業の戦略→茶色のリサイクル製品によって、
消費者に環境保護製品であることを伝え、
企業イメージ・売上の向上を目指している。
◯現実→環境問題の点で批判されているのは塩素を
使った漂白であって、紙製品の色は問題ない。
塩素抜きの漂白でリサイクル100%の白い紙製品を
製造するのは可能。
ただ、茶色の製品を使うことで、白いリサイクル製品よりも
エネルギーの節約やその他の環境メリットを享受できるという。

記事から判断すると、消費者がこの矛盾に気づいていない模様。
ただ、だからといって、茶色のリサイクル製品を、
消費者が購入しているというわけではない。それどころか、
消費者は、環境へのやさしさよりも価格や品質を優先している。
茶色のリサイクル製品を購入するのは、
一部のアーリーアダプター層だけである。

それを物語るように、アメリカの大手家庭用紙製品メーカーは、
茶色のリサイクル製品は業務用でのみに販売し、
家庭用としては販売してない。消費者は購入しないと
判断したからだろう。特に、トイレットペーパーに対する
アメリカ人の思い入れは強く、ブランドスイッチも
なかなか起こらないという。記事では、
行ったお店に自分が好きなブランドのトイレットペーパーが
置いてなければ、他のお店に行く30代女性が紹介されている。
その女性は、ナプキンやペーパータオルは低価格品や
リサイクル品を購入するので、トイレットペーパーに
対する保守的な姿勢はよく理解できる。

記事で紹介されている茶色のリサイクル紙製品例は、
◯ダンキンブランズ社(Dunkin’ Brands Inc.
ダンキンドーナツを運営)が採用する茶色の紙ナプキン
◯ターゲット社(Target Corp.
ディスカウントショップを運営)の
店内カフェの茶色の紙ナプキン
◯フォーカスブランズ社(Focus Brands Inc.
シナボン・モエズサウスウェストグリルを運営)が
採用する茶色の紙ナプキン
◯カスケーズティッシュグループ
(Cascades Tissue Group)が販売予定の茶色の
トイレットペーパー(名前はモカ)
であるが、このうち最初の3つは業務用。
これらはレストラン側が購入し、お客さんに無料で提供する。
よって、お客さんはお金を支払う必要はない。
茶色の紙ナプキンになったからといって、
メニューの価格が高くなるわけでもない。
お客さんが負担するものは何もない。さらに、
トイレットペーパーのように、品質にこだわるモノでもない。
だから、消費者に受け入れられやすい。そして、
茶色=環境にやさしい、というイメージが消費者の中にあるので、
レストランはお客さんに、環境保護イメージを伝えるメリットがある。
だから、レストランは、少し高くても茶色の紙ナプキンを採用するのだろう。

一方、最後の茶色のトイレットペーパーは、
消費者がこだわるモノである。だから、展示会で紙製品取り扱い
業者がモカを最初に見た時には、評判はひどかったという。
手で柔らかさを確かめ、環境へのやさしさを理解してから、
その良さをわかったという。

これらの事例からわかることは、
アメリカでは、家庭用の茶色のリサイクル紙製品は、
価格・品質にメリットがない限り、売れない。
ということである。(トイレットペーパーは価格・
品質にメリットがあっても、売れない可能性は高い。)
逆に言えば、
価格・品質で同等、またはそれ以上のメリットを提供できれば、
売れる。
ということになる。単に、「環境にやさしい」だけでは、
余分にお金を支払ってもらえないのである。

日本に目を転じると、エコ製品で売れているものと言えば、
ハイブリッドカー・LED電球などの省エネ商品である。
これらの共通点は、
◯エコ製品を使うことによって、利用者に何かしらメリットがある。
ということである。ハイブリッドカーを購入すれば、
普段のガソリン代を節約することができる。LED電球では、
長期間での電気代・電球代を節約することができる。
お金の節約である必要はない。例えば、
「この製品を使えば、一年間に◯◯本の森林を守ることができ、
CO2排出量を◯◯ml減らすことができます。」
でもいいかもしれない。この場合、できるだけ数字を使って、
具体的にわかりやすくする必要がある。

日本でも、リサイクルと謳った茶色の紙製品は、
通常品と比べて価格が高い場合が多い。品質が劣る場合も
あるだろう。単に、「環境にやさしい」だけでなく、
それ以上のメリットをわかりやすく伝えることができれば、
より環境にやさしい茶色のリサイクル紙製品が普及するかもしれない。

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《今回のヒントのまとめ》
1)レストランなどの企業が、茶色のリサイクル紙製品を利用するのは、
消費者に対して自社の環境意識の高さをアピールするためである。
実際には、リサイクル100%の白い紙製品も製造可能であり、
その場合でも環境団体が批判する塩素を使う必要がない。

2)茶色=環境にやさしいというイメージがあるものの、
アメリカ人が茶色のリサイクル紙製品を選んでいるわけではない。
環境よりも価格や品質を優先するのが現実である。

3)逆に言えば、価格や品質で同等、またはそれ以上の
メリットを提供できれば売れるとも言える。
日本のハイブリッドカーやLED電球は、維持費の低さ
というメリットを提供している。

4)メリットを説明する場合は、数字を使うなど具体的に、
わかりやすくする必要があるだろう。

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編集後記
茶色のトイレットペーパーは、確かに印象悪いかもしれません。
ちゃんと汚れが取れたかどうかわからないのは、大きな欠点ですね。
ただ、一度試してみたい気がしないでもないですね。
どこで採用されているのか、知りたいです。
と思って、検索したところ、意外に普通のトイレットペーパーですね。

※Mokaに関するブログ sustain.cascades.com/blog/

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!

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