【700号】ダンキンドーナツが英国市場に再参入する理由とは?
by courtesy of Adam Fagen
◎本日のニュース
1)見出し
Dunkin’ Donuts to Enter U.K. Market
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
ダンキンブランズグループ社は、ドーナツ店で英国市場に再参入する。まずは、大ロンドン地区に、フランチャイズ店を5年間で50店舗まで増やす。その後、英国全体で150店を目標にしている。
約20年前に撤退した英国市場に再参入する上で、ドーナツに特化した前回の失敗を踏まえ、ドリンクやフードなどバランスを取ったメニュー構成で臨むとされている。また、拡大傾向にある英国経済やヨーロッパでの成功体験も、英国再参入の後押しとなる。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Dunkin’ Brands Group Inc. is taking its eponymous doughnut restaurants to London, returning the chain to the U.K. almost two decades after it exited.
4)キーとなる英文の和訳
ダンキンブランズグループ社は、自社の名前が付いたドーナツ店をロンドンに持ち込もうとしている。
これは、約20年前に撤退した英国への再参入にあたる。
5)気になる単語・表現
| eponymous | 形容詞 | 名を冠した |
| take A to B | 他動詞句 | BへAを持っていく |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ダンキンブランズグループ社(Dunkin’ Brands Group Inc.)のダンキンドーナツが、英国市場に再参入するそうです。「再参入」と言うだけあって、過去に撤退しています。過去の失敗理由は、
ドーナツに特化しすぎたから
です。では、今回なぜ失敗経験のある市場に再参入するのでしょうか。その理由をまとめると、次のようになります。
【ダンキンドーナツが英国市場に再参入する理由】
[1] 得意のコーヒーが英国で売れているから
[2] 英国経済が上向きだから
[3] ヨーロッパでの成功体験を活かせるから
[4] 再参入して成功した経験があるから
1について、ダンキンドーナツは「ドーナツ」という名が付いているにも関わらず、一番のウリはコーヒー。サイトでも、コーヒーのページがメニューから独立しているほどです。英国市場とは関係なく、ダンキンドーナツはコーヒーの販売に力を入れていることがわかります。このダンキンの方針と、コーヒーが売れる英国外食市場が合致したことが、再参入の大きな要因と言えます。
実際、英国再参入にあたり、ダンキンドーナツは、マクドナルド社(McDonald’s Corp)・スターバックス社(Starbucks Corp)・ホイットブレッド社(Whitbread PLC)のコスタコーヒー(Costa Coffee)を主要ライバルとし、クリスピー・クリーム・ドーナツ社は競合ではないとのこと。記事では、競合店のコーヒー価格が、英国コーヒー市場の急成長を物語ると説明されているので、恐らくプロモーションが盛んに行われているのでしょう。
2について、実際英国のGDPは右肩上がりの状況です。
イギリスGDP推移 ecodb.net/country/GB/imf_gdp.html
3について、ダンキンドーナツは特にドイツで成功しているようです。ドイツでの成功がヨーロッパでの戦略の正しさを証明し、北部・東部への進出を進めています。英国市場は北部への進出の一つに当たります。
4について、再参入するのは英国が初めてではなく、ロシアへはすでに再参入しています。1999年にロシア市場から撤退したのは、一部のフランチャイズ(FC)店がアルコールやミートパイなど認められていない商品を販売し、損失が拡大したからです。そして、2010年に再参入を果たしました。このロシアへの再参入成功体験が、英国への再参入を後押ししていることは間違いありません。
実際、ダンキンドーナツの業績は好調です。直近四半期決算は増収増益で、好調な既存店売上高なコスト削減が大きく寄与しています。地元アメリカでも好調で、既存店売上高は前年同期比で4%も増加しています。この好調さを追い風に、店舗数が少ないカリフォルニアでの店舗拡大計画を年初に発表。今後5年間で150店まで拡大するようです。
***************************
《今回のヒントのまとめ》
1) ダンキンドーナツが英国市場に再参入する理由は4つある。まず、主要商品のコーヒーの消費量が拡大していることが挙げられる。コーヒーの販売に力を入れる方針で、マクドナルドやスターバックスやコスタコーヒーを競合としている。
2) また、上向きの英国経済も進出の後押しとなる。GDPは名目・実質とも右肩上がりである。
3) ヨーロッパでの成功体験も、同じヨーロッパに位置する英国進出の要因である。特に、ドイツ市場での成功は、その後のヨーロッパ市場での拡大に大きな影響を与えている。
4) ロシア市場への再参入が成功したことも、英国市場への再参入を後押しする。
*************************
毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。(サイトへの掲載は、翌日以降です。)
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
普段、缶コーヒーやペットボトルコーヒーをほとんど飲まないのですが、たまたま飲んだこちらのコーヒーは、本当に美味しかった。
ほんのり香るオレンジの香りが、ペットボトルコーヒーらしからぬ上品な味わいを醸し出していました。
あまり甘くないのも、いいですね。
Café Deli Sunny Orange Latte
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
ダンキンドーナツ、日本から撤退しました。
日本も英国同様コーヒー人気なので、再参入もありそうですが、ないでしょう。
というのは、韓国で苦戦しているからです。
アジアの先進国では、参入障壁の低いコーヒー販売ビジネスは競争がかなり激しいようです。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
ad
関連記事
-
-
【1147号】中国ファストフード大手のヤム・チャイナが復活した理由とは?
Scott Ableman ...
-
-
【1137号】レストランチェーンが多用する期間限定メニューの功罪とは?
◎本日のニュース ...
-
-
【1122号】マクドナルドがハッピーミールを再度ヘルシー化する理由とは?
Majiscup ※火曜日は...
-
-
【1050号】「濡れたキャットフード」みたいなジャック・イン・ザ・ボックスのタコスが教えてくれる、B面式ロングセラーの作り方
Karl-Martin Skontorp &nb...
-
-
【1033号】米マクドナルドがIT活用に力を入れる理由とは?
◎本日のニュース ...
新着記事
-
-
【1154号】今年のマーケットで確実に起こる4つのこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...
-
-
【1153号】グーグルの社内用自転車の盗難が無くならない理由
━━━━━━━━━━━━━━━...
-
-
【1152号】新春スペシャル2:ダイエットしたければ、TRFに従え!
TipsTimesAdmin ...
-
-
【1151号】新春スペシャル1:目標達成したければ、いつするかを真っ先に決めろ!
Kevin Simmons ...
-
-
【1150号】年末商戦におけるネット通販のギフトラッピング最新事情
Annette Young ※火曜日...



コメント/トラックバック
トラックバック用URL:
この投稿のコメント・トラックバックRSS