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【736号】米地上波ラジオ局が採ったネットラジオサービス対応策とその影響とは?

アメリカのラジオ局のステッカー

by courtesy of John Fischer

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Radio’s Answer to Spotify? Less Variety

 

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2)要約

人気ポップグループのキャピタル・シティーズ(Capital Cities)は、デビューアルバムのプロモーションをしたいのに、なかなかできないという悩みを抱える。というのは、地上波ラジオ局が、ヒット曲以外はなかなか流してくれないからである。

 

デジタルラジオサービスとの競争激化に直面する地上波ラジオ局は、その対抗策として、流す曲数を減らすという手段に出た。というのは、消費者は知っている曲があると聞き続けるが、知らない曲が流れると局を切り替える傾向が強いからである。その結果、10年前と比較して、トップ10の曲の放送回数が二倍近くに増加している。

 

この影響は、レコード業界にも波及する。同じ曲が何度もラジオで流れても、収入が増えないからである。その結果、新曲発売までのリードタイムが長期化し、アルバム売上金額も減少した。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Faced with growing competition from digital alternatives, traditional broadcasters have managed to expand their listenership with an unlikely tactic: offering less variety than ever.

 

4)キーとなる英文の和訳

デジタル代替サービスとの競争激化に直面し、昔ながらのラジオ局はリスナーを増やすために、ありえない方策に打って出た。

それは、流す曲の種類を減らすという方法である。

 

5)気になる単語・表現

alternative

名詞

他の手段(機会);二者択一

broadcast

名詞

(ラジオ・テレビの)放送;放送業界

manage to V

他動詞句

~を何とかやり遂げる

unlikely

形容詞

ありそうもない

tactic

名詞

方策、策略

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

地上波ラジオ曲が直面する競争とは、ネットラジオ局のことで、例えばスポッティファイ(Spotify)。リスナーをネットラジオサービスに奪われないように採ったのは、次のような方法です。

 

【地上波ラジオ局がネットラジオ対抗策】

[1]    ヒット曲を繰り返し流す

[2]    バッテリー・データ通信不要のアプリの流通

 

1は今回のテーマ。2は、利用者の増えるスマホからラジオを無償で聞いてもらえるようにすれば、リスナーが増えるとの考えによるもの。ネクストラジオ(NextRadio)というアプリを、スプリントの端末の多くに標準搭載し、リスナー拡大を図っています。

 

1のヒット曲を繰り返し流す根拠は、次の通り。

 

【ラジオ局がヒット曲を繰り返し流す理由】

消費者は知っている曲は聴き続け、知らない曲は聴かない傾向が強いから

 

多くの人に経験があると思いますが、不思議なもので、知っている曲は聴き続けたいと思うものです。一方、よっぽど曲が気に入れば別ですが、知らない曲が流れていれば、局を切り替えてしまいます。このような消費行動の根拠は特に示されていませんが、これを示す調査結果は多いようです。リスナーを維持するには、ヒット曲を繰り返し流す必要があるのです。

 

実際、10年前と比べて、ヒット曲のラジオ放送回数は飛躍的に増加しており、2倍弱にまで増加しています。

 

【ヒット曲放送回数比較】

[年間1位]749,633回⇔442160回

[年間2位]643,885回⇔405,149回

[年間3位]596,519回⇔392,551回

※2013年⇔2003年

 

その先には、スポンサーの存在があります。聴取率が広告料金に跳ね返るため、聴取率が取れる内容の番組を放送しなくてはならなくなり、その結果ヒット曲が多く流れることになるのです。

 

これだけみると、ラジオ局の変化だけに見えますが、これが思いもよらぬ影響を他業界に及ぼすことになります。

 

【ヒット曲のヘビーローテーションが起こす影響】

[1]    新曲が少なくなり、アルバム売上が減少する

[2]    CM時間に新曲を流す結果、広告収入が減少する

[3]    番組内での会話(トーク)時間が長くなる

 

1は、ヒット曲が繰り返し流れるということは、その分新曲の流れる時間が減るということです。それは、プロモーション機会の減少につながり、新曲の売上減少をもたらします。また、曲が流れる回数に比例して収入が増える作曲家や作詞家と違い、収入がCD販売数量に比例するレコード会社は、売上が伸びません。その結果、プロモーションにあまりお金を掛けられないということにもなります。新曲が売れなければ、アルバムを出すことも難しくなり、アルバム売上も減少します。

 

【アルバム売り上げの減少】

2013年のアルバム売上金額→8%減少

 

2について、とは言っても、ラジオ局は新曲に出会う最も一般的な場所でもあるので、新曲を全く流さないわけにはいきません。ヒット曲を流す時間を減らさずに新曲を流す苦肉の策として考えたのが、CM放送時間。実際、ラジオ局のクリアチャンネル(Clear Channel)は、「アーティストインテグレーション(Artist Integration)」という番組で、CM中に新曲の一部を流しています。この費用はラジオ局持ちなので、ラジオ局の広告収入が減少しかねません。

 

3は、あくまで私の推測。ヒット曲ばかり流れれば、ラジオ局の差別化が難しくなります。そこで、パーソナリティのトークにより差別化を図るのではないないでしょうか。その結果、ヒット曲以外はトークに時間が割かれるかもしれません。思えば、日本のFM局でトークが流れる時間が増えたように感じます。日本は先を行っているのかもしれません。

 

リスナー引き止めのためにヒット曲に依存する地上波ラジオ局。それだけ、ネットラジオサービスとの競争が激しいことを物語っています。

 

Capital Cities 

NextRadio 

Clear Channel 

 

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《今回のヒントのまとめ》

1) ネットラジオサービスとの競争激化に直面する地上波ラジオ局は、リスナーの流出を防ぐために採った手段は、ヒット曲の繰り返し放送と無償ラジオアプリの流通である。

2) ヒット曲を繰り返し流すのは、知っている曲を聴き続け、知らない曲なら局を切り替える傾向が消費者に強いからである。

3) ヒット曲を繰り返し流す結果、次のような2つの影響が出ている。まず、新曲・アルバムの売上減少である。新曲のプロモーション機会の減少は、売上に響き、それはアルバム売上にも悪影響を及ぼす。また、CD販売で売上を稼ぐレコード会社は、ヒット曲が何度も流れても収入が伸びず、その結果新曲のプロモーションにお金を掛けられなくなる。

4) ヒット曲に時間を奪われた新曲は、CM時間中に流れることになる。というのも、ラジオ局は、依然として新曲に出会う最も一般的な場所だからである。その分、広告収入が減少する恐れがある。

5) 最後に予測だが、ヒット曲ばかり流れれば、ラジオ局の差別化が難しくなる。そこで、差別化のために、トークの時間が長くなるかもしれない。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

お正月に飲んだ日本酒がこちら。

スッキリしていて、とても飲みやすく、どんどん進みました。

ちなみに、松竹梅さんの日本酒は始めて。

また飲みたい辛口です。

松竹梅 特選山田錦 特別純米

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

個人的には、AM局の方が好きですね。

毎朝、おはパソ聞いています。

abc1008.com/ohapaso/

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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