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【765号】高級レストラン出前サービスのキャビア、その競争力と課題とは?

Photo:T8 By:triplefivechina
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◎本日のニュース

1)見出し
Caviar Raises $13M to Challenge Grubhub, Help Top Chefs Deliver

 

 

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2)要約

高級レストランの料理出前サービスを提供するキャビア社は、1300万ドルの資金調達に成功した。このサービスを使えば、ユーザーは高級レストランに出向かなくても食べることができ、レストラン側はウェブコンテンツ作成から配達まで外注できる。

 

ベンチャーキャピタルがキャビアに着目するのは、競争力が高いからである。キャビアのサービスを利用すれば、レストランは全く新しい収益源を初期投資なしに確保できる。また、配達を自社で行っていることから、提携レストランとの親密度は他サービスよりも優る。さらに、配達のみならず、サイト作成からメニュー更新までワンストップでできる点も、大きな差別化要素である。

 

調達資金より、出前可能地域を全米15都市増やすことを予定している。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Caviar helps high-end restaurants sell and deliver anything on their menu to customers who can’t come in for a meal.

 

4)キーとなる英文の和訳

キャビアを利用すれば、高級レストランは、食事に来れない顧客に全てのメニューを販売・配達することができる。

 

5)気になる単語・表現

rigorous 形容詞 厳しい
inimitable 形容詞 真似できない

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

高級レストラン出前サービスのキャビア社(Caviar Inc.)が1300万ドルもの資金調達に成功した背景には、飲食の通販サービス企業への注目があります。2013年4月以降、少なくとも12のスタートアップ企業が資金調達に成功しています。また、同業の出前サービスを提供するグラブハブ(Grubhub)がIPOしたばかりというのも、注目される要因の一つでしょう。

 

そのキャビアのサービス内容をまとめると、次のようになります。

 

【キャビアのサービス内容】

[1]    提供するサービスは、高級レストランの全メニューを自宅などに出前すること

[2]    提携レストランは、厳格な市場調査と試食を通じて選別

[3]    メニュー画像の撮影からアップロード・文章作成まで、ウェブ関連の作業をすべて代行

[4]    配達は自社で実施

[5]    収益源は販売金額に対する手数料と配送料9.99ドル

 

提携レストランはウェブ関連の作業をすべてキャビアに任せることができ、さらに販売金額に対する手数料を支払うだけなので、スタッフ増員などの初期投資はほとんど発生しません。また、価格も自社で設定でき、販促の自由も確保することができます。

 

これらの内容のうち、次の点から競争力の高さが評価されています。

 

【キャビアの競争力】

[1]    出前に関わる作業をワンストップで提供できる

[2]    新たな収益源を得られるレストランに導入のインセンティブが働き、提携先を見つけやすい

[3]    自社配達することで、他社に真似できないレストランとの強い結びつきを持つ

 

1について、レストランは、ワンストップで出前に関する作業を任せられるので、営業やメニュー開発など店舗運営に専念できます。先述したように、大きな初期投資は不要なので、レストランはキャビアと提携しやすくなります。

 

2ついて、さらにキャビアと提携して出前サービスを提供すれば、レストランは新たな収益源を獲得できます。店員を増員したり、店舗を増やしたりすることなく、売上を伸ばすことができることは大きな魅力であり、キャビアと提携するインセンティブが働きます。一方のキャビアは、提携先探しを容易に進めることができます。

 

3について、自社配達することで、提携先レストラン担当者と配達担当者の接触回数が増えるので、提携先との結びつきが強くなります。高いコストの掛かる自社配達をしているからできることであり、競業の参入が難しくなります。

 

ただ、キャビアにも弱点があります。記事では全く触れられていませんが、キャビアのサービス内容から、矛盾・限界が見えてきます。

 

【キャビアの弱点・課題】

[1]    購入頻度の低い商材ゆえに提携レストランとユーザーを増やす必要に迫られ、コスト増は避けられない。

[2]    自社配達ゆえに固定費が高く、損益分岐点が高くなる。また、サービス提供都市が増えることにより、配達人員増・コスト増が避けられない。

[3]    高級レストランという狭い市場を扱っているため、成長に限度がある。

 

1について、高級レストランはそう頻繁に訪れる場所ではありません。また、価格の高さゆえに、そう頻繁に利用できません。そのため、リピーターが発生しにくく、売上を伸ばすには、提携レストラン数とユーザー数を増やす必要があります。今後のコスト増は避けられないのです。

 

2について、レストランとの関係性強化をもたらした自社配達ですが、一方で固定費を増やすというデメリットもあります。注文があった時だけ配達を外注するのと異なり、自社で配達するとなれば、注文の有無に関わらず、配達人員・自動車を確保する必要があります。必然的に固定費は高くなるのです。その結果、損益分岐点は高くなり、黒字化しにくくなります。さらに、サービス提供都市が増えれば、配達に関わる固定費も増えることになり、損益分岐点が下がりにくくなります。

 

3について、高級レストランという切り口で、グラブハブとの差別化に成功しているものの、一方で高級レストランの縛りを受けることになります。外食市場全体から見れば、高級レストラン市場は小さいもの。小さな市場の付随サービスゆえに、成長は限界に達しやすくなり、成長鈍化に陥りやすくなります。

 

キャビアの損益についての言及はありませんが、自社配達のコスト負担を考えると、今は赤字と思われます。黒字化した時に、本当に注目に値するのではないでしょうか。

 

Caviar

Grubhub

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《今回のヒントのまとめ》

(1)キャビアが多額の資金調達に成功したのは、高い競争力・差別性を有しているからである。コンテンツ作成からウェブ掲載・配達までワンストップで提供するので、レストランは初期投資が殆どなしに利用できる。

(2)また、レストランはサービス利用により新たな収益源を確保できるので、利用するインセンティブが働き、キャビアは提携先を見つけやすくなる。

(3)さらに、自社で配達するため、レストランとの結びつきが強くなり、競合へのスイッチが起こりにくくなる。

(4)ただし、高級レストランへの特化によって起こる弱点・課題を抱えることになります。購入頻度の低い商材なので、売上増のためには提携先・ユーザーを増やす必要に迫られ、コスト増が避けられません。

(5)また、自社配達は重い固定費負担につながり、損益分岐点を高めてしまいます。さらに、高級レストランという限られた市場を相手にするため、早々に成長鈍化に陥る恐れがあります。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

またまた、三ノ宮で美味しい洋食を発見しました。

それは、カツハイシライスです。

ハイシライスというのは、ハヤシライスのこと。

カツとデミグラスソースが絶妙で、ボリュームも満点。

それにしても、サンセンタープラザ地下の洋食めぐりは本当に楽しい、美味しい。

グリル金プラ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

阪神タイガースの強さに驚いています。

ゴメスがここまで活躍するとは、誰が思ったでしょうか。

ただし、打撃好調がこのまま持続するはずもなく、いずれ新井選手・今成選手の出番が出てくるはず。

頑張れ、新井選手・今成選手!

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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