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【778号】クールジャパンで「かわいい」を売り込む理屈

Photo:Cool Japan Tokyo Conference By:Danny Choo
Photo:Cool Japan Tokyo Conference By Danny Choo

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Sales Strategy: Stay Cool, Cute and Exclusive

 

 

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2)要約

小売売上高が伸び悩む中、モノが売れる条件として、「クールさ」「かわいさ」「高級さ」を挙げることができる。

 

「クールさ」とは、物珍しさであるが、通常品と違いすぎていれば逆に敬遠される。少し違っている必要があり、その匙加減が難しい。また、クールさの基準は常に変化している。

 

「かわいさ」は、単に注目させるだけではなく、売上につなげる力がある。ただし、見た目が重視され、その恩恵をすぐに受けられる商品にしか効果を及ぼさない。

 

「高級さ」は、他者から羨ましがられることが重要であり、大衆化するとその価値は大きく毀損されることになる。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Shoppers also can’t resist something fun, falling for whimsical items, or anthropomorphized ones. (Think an alligator-shaped stapler.) And finally, customers loyal to high-end brands enjoy having others admire those fancy labels—but bridle at lowering the price of admission to admit more members to the in crowd.

 

4)キーとなる英文の和訳

買物客は、楽しいものに目がなく、風変わりなものや擬人化されたものに魅了される。(ワニの形をしたホッチキスを考えてみるといい)

そして、最終的には、高級ブランド好きの顧客は、他者からその立派なラベルを賞賛される時に心地よく感じる。

しかし、流行の最先端にいる自分たちのグループにより多くの人を入れようと値段を下げることには、立腹する。

 

5)気になる単語・表現

whimsical 形容詞 気まぐれな;風変わりな
anthropomorphized 形容詞 擬人化された
alligator 名詞 ワニ;アリゲーター
admire 他動詞 ~をほめる;~を敬服する、~を敬愛する
bridle at 自動詞句 ~に立腹する
the in crowd 名詞句 a small group of people who are considered fashionable or important and who allow only very few people to join them

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ア メリカ経済では、雇用指標や株価を見ると拡大傾向を強めていますが、小売売上高はそう大きく増加していません。Tepid sales in Mayと表現されているように、「5月は緩慢な売上」だったのです。そこで、売上を伸ばす条件として、大学教授により次の条件が取り上げられています。

 

【売上を伸ばすモノの条件】

[1]   クールさ→既存品と少し違う

[2]   かわいさ→衝動買いを促す

[3]   高級さ→大衆化されず羨ましがられる

 

1について、クールさとは奇抜さのこと。しかし、あまりに違い過ぎていると、狂っている(crazy)と思われ、誰も買おうとしません。少し違っていることが重要なのです。例えば、ミュージシャンに関する調査でも、

「多くのヒットを狙うのではなく、いい曲を作ろうとしているだけ」→一番クール

「大衆にアピールできる曲を作ろうとしている」→普通すぎる

「作りたい曲を作っており、これまでの傾向を全く無視して、全く違うものを作ろうとしている」→奇抜すぎる

という結果が出ています。あまりに違い過ぎると、敬遠されるのです。クールさがあるからこそ、ブランドが生まれ、価格競争を回避できるようになります。また、クールさの感覚は、絶えず変化していることも、クールと感じられることの難しさを示しています。

 

2 について、かわいさが一番力を発揮するのは、食品や衣料品などの実用品。これらのカテゴリーで、かわいい商品が現れると、買物客は既存品よりも長時間接す るようになり、その結果購買に結びつく確率は高くなります。例えば、人形の形をしたアイスクリームスクープでアイスクリームを売れば、既存品の場合よりも 多くのアイスクリームが売れたという事例があるほどです。つまり、かわいさにより、買物客は自分をより甘やかすようになり、その結果衝動買いを行いやすく なるのです。ただし、この効果を発揮するのは、見た目が重視され、その恩恵をすぐに受けられる商品に限られます。金融商品のように、楽しさやその恩恵が感 じられず、未来の結果が重視される商品には効果がありません。

 

3について、買物客が高級ブランド品を購入するのは、製品や ブランドそのものが好きなだけではなく、そのブランドを所有することで、他者に羨ましがられるからという理由も大きいようです。この他者は、「ブランド ツーリスト」と呼ばれ、旅行先を褒め称える旅行者に似ています。ただし、高級ブランドが大衆化すれば、羨ましがられることが少なくなるので、そのブランド 価値は毀損され、売上悪化につながります。大衆化とは、「ブランド居住者」が増えるということ。「ブランド居住者」とは、高級ブランド品の中の低価格品を 購入することで、高級ブランド保有者の仲間入りをしたいと願う人です。言ってみれば、200ドル以下のキーホルダーを購入して、プラダの常連と言い張る買 物客です。この買物客の存在により、1000ドル以上のプラダのハンドバッグを買う本当の常連客は、プラダ製品を購入する意欲が削がれることになります。 売上を拡大したいばかりに、顧客層を下に広げると、ブランドの威光が薄れるリスクがあるのです。エクスクルーシブ感(排他的な感覚)をもたせ続けるために も、高級ブランドのブランドマネージャーには、常連の感覚を管理する力が必要になります。

 

「クールさ」「かわいさ」でピン ときたのが、安倍政権が推し進めるクールジャパン。単に日本製品の品質の良さを伝えるだけではなく、日本製品の持つ「かわいい」も売り込んでいるのが特徴 です。「かわいさ」は衝動買いを引き起こす要素を持ち合わせているので、日本の「かわいい」を売り込めば、日本製品を買ったことのない新規顧客を獲得でき るだけではなく、買い物点数を増やすことによる客単価引き上げ効果も期待できます。ただし、売上拡大を目指すあまりに、大衆化してしまえば、日本ブランド の持つ「高級さ」が失われることにはなりかねません。これが、クールジャパンのリスクとも言えます。

 

クールジャパン

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《今回のヒントのまとめ》

(1)売上を伸ばすには、「クールさ」「かわいさ」「高級さ」が必要となる。

(2)「クールさ」には、既存品と少し違っていることが必要であり、違いすぎると逆に敬遠されかねない。

(3)「かわいさ」により、より注目を受けやすくなり、衝動買いが起きやすくなる。ただし、見た目が重視され、その恩恵をすぐに受けられる食品や衣料品などに効果を発揮するが、結果が重視される金融商品などには、あまり効果がない。

(4)「高級さ」は、他者に羨ましがられることが重要であり、売上拡大を狙って大衆化すれば、そのブランド価値は毀損されることになる。下に顧客層を拡大すると、失敗しやすい。

(5)クールジャパンで「かわいい」を売り込むのは、衝動買いを引き起こすことにより、客数・客単価を引き上げるためと考えれば、妥当な方法と言えるだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

いろいろどら焼きを食べてきましたが、一番は難波の浪芳庵でした。

難波に本店があり、いつも買うのはJR三越伊勢丹ですが。

朝焼きどら焼きが一番美味しいですが、夕方にはいつも売り切れ。

賞味期限が短いのもネックです。

だから、いつも普通のどら焼きか玄米どら焼きを買いますね。

値段も手頃なのも嬉しいところ。

生地がふわふわで、いつも幸せな気分になれます。

www.namiyoshian.jp/

浪芳庵どら焼き 10個入り

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

製品の見た目は、目に飛び込んでくるだけに、とても重要です。

かといって、デザインに凝りすぎても、コストが掛かるだけでその割に売上につながりません。

この按配が一番難しい。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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