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【786号】ウォルマートの小さくなって大きくなる戦略とは?

中国のウォルマート

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Wal-Mart Looks to Grow by Embracing Smaller Stores

 

 

 

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2)要約

創業時にアマゾンが手本にしたウォルマート。そのウォルマートの全米既存店売上高が、5四半期連続で減少した。その要因は、アマゾンなどのネット通販や急成長する1ドルショップへの顧客の流出である。

 

そこで、マクミロンCEOが推し進めるのは、店舗の小型化とネット通販への投資である。店舗を小型化することで、来店頻度の向上を目指す。ネット通販ではアマゾンを真似て、EDLPから期間限定割引への転換を行った。

 

ただし、マクミロン改革に対して、小型店やネット通販が従来型の大型店とカニバリし、結局利益が毀損されるのではないかと不安視する投資家もいる。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

But now, with the price gap shrinking between Wal-Mart Stores Inc. and its competitors, the retailing giant faces the double sorrow of sluggish sales and traffic.

 

4)キーとなる英文の和訳

しかし今では、ウォルマート・ストアーズ社と競合企業との価格差は縮まったので、小売最大手のウォルマートは、売上と客数の低迷という2つの悲痛に直面している。

 

5)気になる単語・表現

sorrow 名詞 悲しみ、悲痛
sluggish 形容詞 鈍い、緩慢な;不振の、不活発な;怠惰な、無精な;反応が遅い

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ウォルマート・ストアーズ社の全米事業の課題は、既存店売上高の減少が止まらないこと。そして、その要因は、客数の減少にあります。

 

【全米ウォルマートの既存店業績】

[売上]5四半期連続のマイナス

[客数]6四半期連続のマイナス

 

ちなみに、インターナショナル事業では、収賄疑惑と従業員のストという課題があります。

 

そこで、若くしてCEOに上り詰めたマクミロン氏は、次のような改革を行っています。この改革こそ、「小さくなって大きくなる」というものです。

 

【マクミロンCEOの小さくなって大きくなる改革】

[1]店舗の小型化→来店頻度を高めるため

[2]ネット通販で臨機応変な割引と高単価商品の導入→来店頻度を高めるため、新規顧客獲得

[3]きめ細かい店舗運営の実施→顧客流出の回避

 

客数減少が売上減少の要因だとすれば、客数減少を食い止めれば売上もプラスに転じるようになります。客数減少を食い止めるということは、客数増加と客数減少の回避の2つの効果によって達成できます。客数を増やす方法は、来店頻度を高めることと新規顧客の獲得。そして、客数減少の回避は、顧客満足度を高めることによって、可能となります。

 

【客数減少を食い止める方法】

[客数を増やす方法]来店頻度を高める、新規顧客を獲得する

[客数減少を食い止める方法]顧客満足度を高める

 

この3つのことを達成するための具体的な方法が、上記の3つの施策となるわけです。

 

1について、具体的には、1万~4万平方フィートのウォルマート・エキスプレスやネイバーフッドマーケット、そしてコンビニタイプのウォルマート・ツー・ゴーを増やすということです。ちなみに、従来型大型店のスーパーセンターは、20万平方フィート。小型店を増やせば、その分1店舗あたりの商圏は小さくなりますが、来店ハードルが低くなるので、来店頻度が高まることになります。ウォルマート史上初めて、今年の新店数で、小型店が大型店を上回ることになります。

 

また店舗面積以外にも、来店頻度を高めるために、ネット通販商品受取可能店の増設、アルコール販売の強化、ガソリンスタンド併設店の増設などを実施。ネット通販受取店では、ドライブスルーでの受取を可能にするなど、利便性の向上に努めています。ガソリンスタンドに注目するのは、ガソリンはネットで購入できない商品だから。ガソリンは、実店舗からネットへの顧客流出を阻止するための戦略商品なのです。

 

2について、ネット通販の「小さく」とは、臨機応変な価格変動のこと。これまでは、実店舗同様にEDLP(=常時低価格で販売)を採用していましたが、売上を伸ばすアマゾンを真似て、期間限定の値引きへ転換しました。これにより、価格を調べるためのアクセスが増加し、来店頻度の向上につながります。

 

一方で、これまで扱いがなかった146ドルのナイキのサングラスや2500ドル以上もするワインセラーの販売を開始。これにより、ウォルマートをこれまで利用しなかった比較的所得の高い層の獲得が期待できます。これは、新規顧客獲得に他なりません。

 

3について、これら2つの改革は比較的大きな転換であり、そのための投資も大きくなり、効果が表れるまでに時間がかかります。一方、既存店舗の運営をきめ細かく改善すれば、顧客満足度が上がり、顧客流出を防ぐことができます。この「きめ細かい」というのが、「小さくなる」ということです。

 

具体的には、欠品回避や接客サービスの向上や清掃の徹底など。売れる商品の在庫を切らさなければ、売上を伸ばすだけではなく、競合店舗への顧客流出を回避できます。接客サービスや清掃は、飲食店で言うS(サービス)とC(クレンリネス)。サービス業の基本をきめ細かく見直そうというわけです。マクミロンCEOは、これらのきめ細かいオペレーションの改善により、売上を1%伸ばせると見込んでいます。

 

注目点は、世界最大の小売業であるウォルマート・ストアーズ社でさえ、オペレーションの改善という凡事に注目しているということ。凡事徹底は、意外に大きな競争力になるのかもしれません。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)ウォルマート全米事業が直面するのは、既存店売上が下げ止まらないこと。その要因は、客数の減少にあります。

(2)客数回復のために行うのが、小型店の出店、臨機応変なネット通販運営、既存店オペレーションのきめ細かい改善である。

(3)小型店の出店により、来店頻度の向上を目指す。その他にも、アルコール販売の強化、ガソリンスタンドの併設、ネット通販注文受取可能店の増設なども、来店頻度向上につながる。

(4)ネット通販では、EDLPから期間限定割引へ転換。これにより、アクセスが伸び、来店頻度の向上となる。また、高単価品の販売を始めることで、新規顧客獲得を目指す。

(5)既存店のオペレーション改善により、これ以上の顧客流出を阻止。具体的には、欠品の回避、接客サービスの向上、清掃の徹底などである。

(6)最後のオペレーションの改善は、小売業にとっては当たり前のことであり、凡事。凡事徹底は、意外に大きな競争力になるかもしれない。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日、友人から頂いたのが、ルタオのチーズケーキ。

北海道の物産展で試食したことはありますが、本格的(?)に食べたのは初めて。

これが実に美味しかった!

濃厚なチーズが何とも言えませんでした。

ルタオ ドゥーブル・フロマージュ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

先日、JR大阪三越伊勢丹に行ったのですが、大北海道展が大盛況でした。

皮肉にも、業績悪化による改装・縮小前最後(?)の物産展です。

閉店セールは、訴求力の強い販促手法だと実感しました。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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私もごく少ない部数の時に、

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