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【787号】社会的ニーズの強いシェアサイクルがうまくいかない原因

シェアサイクル

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
City Bike-Sharing Programs Hit Speed Bumps

 

 

 

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2)要約

アメリカの都市に広がるシェアサイクルプログラム。しかし、その実態は成功とは程遠い。その要因は、民間の協賛金がなかなか集まらないだけではなく、利用者からの売上も想定したほど獲得できないからである。またプログラムに参画する企業が中小企業主体であり、その企業体力の弱さも、プログラムの運営に支障をきたしている。

 

そもそも、レンタサイクルプログラムは、市民の健康を向上させるだけではなく、自動車の大気汚染を減らし、環境にやさしいというイメージを都市にもたらすという効果が期待されているからこそ、実施する都市が増えている。期待の大きい一方で運営に課題は多く、そのビジネスモデルは発展途上と言える。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Bike-sharing programs are spreading across the U.S., with more than 21,000 shared bikes in at least 36 urban areas from Boston to Fort Worth, Texas, to Denver, up from just six programs in 2010, according to researchers.

 

4)キーとなる英文の和訳

専門家によれば、自転車シェアプログラムは、全米に広がっており、21000台以上が稼働し、少なくとも36都市区域に広がっている。

その都市は、ボストンからテキサス州のフォートワース、デンバーまで及ぶ。

2010年の6プログラムから増加している。

 

5)気になる単語・表現

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

シェアバイク、自転車シェアリングとは、利用者で自転車を共有するということ。カーシェアリングの自転車版になります。日本で言えば、レンタサイクルに近いかもしれませんが、自転車を返す場所は、区域にある複数のステーションであるため、借りた場所に返すレンタサイクルとは若干異なります。そこで、シェアサイクルと呼ぶことにします。

 

シェアサイクルプログラムを導入する都市が増えているのは、導入することで、次のようなメリットがあるからです。

 

【シェアサイクルプログラムを導入するメリット】

[1]市民の健康状態の向上

[2]自動車の大気汚染減少

[3]環境にやさしいというイメージの向上

 

これらのメリットばかりが取り上げられた結果、安易な導入が広がり、うまくいかない事例が増えています。記事によれば、シェアサイクルプログラム全体の半数以上が、何かしら大きな課題にぶち当たっているようです。その課題をまとめると、次のようになります。

 

【シェアサイクルが直面する深刻な課題】

[1]初期投資金・運転資金の獲得困難

[2]利用料金の伸び悩み

[3]技術的な課題

[4]供給企業の業績悪化

 

1について、何と言ってもお金の問題が一番です。自治体から公的資金を導入されたとしても、それだけでは開始するのが難しく、民間マネーの獲得を目指します。それがなかなか難しい。

 

2について、今度は利用者からの売上の伸び悩みも想定外の課題のようです。例えば、テネシー州のチャッタヌーガ市のシェアサイクルプログラムでは、年間会員が予算の1割しか集まらず、売上が全く足りない状態に陥っています。売上のほとんどは、1・3日だけ利用できるライトユーザーから獲得しています。逆に、巨大都市・ニューヨーク市では、年間95ドルの年間会員は多く集まったものの、旅行者などの一時的利用が思ったほど少なく、利益が出ていません。

 

3について、低予算で運営を行わなければならないので、鍵の開閉や料金の受け渡しに使う機械のトラブルが頻発しているようです。これが原因で、運営開始が遅れる事例が発生しています。

 

4について、シェアサイクルプログラムに関わるのは、中小企業中心。よって、その企業体力の脆弱さが運営に悪影響を及ぼしています。例えば、自転車と必要な装置を提供していた企業が倒産したために、シェアサイクルの開始を中断せざるを得なかった都市もあるようです。

 

これらの要因によりプログラムが課題に直面すれば、それは利便性の低下という形でサービスの質に悪影響が及ぶようになります。例えば、資金不足ならば、好立地に駐輪所を設置できなくなり、その結果ユーザー獲得が思うように行かず、利用料収入が想定を下回ることになります。その結果、さらに資金不足に陥り、更なるサービス低下を余儀なくされ、悪いスパイラルに陥るのです。

 

このように半数のシェアサイクルプログラムが深刻な問題に直面する一方で、うまく運営されているプログラムもあります。その共通点を上げれば、次のようになります。

 

【シェアサイクル成功事例の共通点】

[1]民間スポンサーを開始前に獲得

[2]広告収入の獲得

 

1は当たり前として、2の存在は無視できないようです。つまり、利用料以外の収入を確保するということです。

 

そもそも、利用料金が思ったほど獲得できないのは、シェアサイクルの需要は高いものの、お金を支払ってまで利用したいというほどの強い需要ではないからです。健康を維持・向上させたいと考えるなら、自転車に乗らずに歩けばいいのです。わざわざ自転車に乗ろうと思うのは、歩くには遠いからであり、その場合は自動車(カーシェアリングやレンタカー)が競合に浮上します。広い国土や買い物の荷物を考えれば、自転車よりも自動車の方が利便性は相当高く、利用料金がシェアサイクルよりも高くても、コスパはカーシェアリング・レンタカカーの方が高いかもしれません。利用者からの利用料収入がそう見込めないならば、他の収益源を見つけなくてはなりません。その一つとして、広告収入があるのです。

 

欲しいと思う消費者はいるけれど、その大半はお金を払ってまで欲しいとは思わない。この場合、ビジネスとして成立しないかのように思えますが、その確かな需要を他の収益源に結びつければ、持続可能なビジネスに進化できます。少なくともビジネスとして考えた場合、公的資金や企業からの協賛金が無ければ成立しないビジネスは、ビジネスと言えないのではないでしょうか。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)半数以上のシェアサイクルプログラムが苦戦するのは、公的・民間資金獲得に苦戦、利用料収入の伸び悩み、技術的な課題、脆弱な供給企業が要因である。

(2)一方、成功したプログラムの共通点は、民間企業の協賛金の獲得に成功し、広告収入を獲得していることである。

(3)シェアサイクルは、需要はそれなりに高いものの、お金を支払ってまで利用したいという強い需要ではない。だから、利用料収入が想定よりも伸び悩んでいる。

(4)確かに存在するが弱い需要の場合、利用者からの売上はそう期待できないので、他の収益源の確保が考えなければならないだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日、友人から頂いたのが、ルタオのチーズケーキ。

北海道の物産展で試食したことはありますが、本格的(?)に食べたのは初めて。

これが実に美味しかった!

濃厚なチーズが何とも言えませんでした。

ルタオ ドゥーブル・フロマージュ

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

タイガース、絶好調ですね。

このまま突っ走るとは思いませんが、優勝することも頭の片隅に置いておく必要があるみたいです。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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