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【792号】国内外で売上低迷に悩むコーク社、その打開策とは?

レトロなコーク自販機

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Coke Under Pressure as Sales Abroad Weaken

 

 

 

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2)要約

北米でコーク売上減少に悩むコカ・コーラ社は、海外でのコーク売上に成長を頼っていた。しかし、この勝利の方程式にも陰りが見えてきた。海外のコーク売上成長率が鈍化しているからである。

 

そこで、海外の成長に依存出来ない以上、北米市場のテコ入れが必要と認識。北米市場の経営陣刷新、マーケティング強化、新たな販促キャンペーン・容量変更、ボトリング改革などに着手している。

 

しかし、投資家はしびれを切らしつつある。株価はS&P500が年初来17%上昇したのに対し、コカ・コーラ社は1%の下落。動かない経営陣、行動の遅さを批判する声が上がっている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Now that it can no longer lean on its foreign markets for reliable growth, it must turn around its U.S. business, which contributes nearly 45% of revenue and less than 25% of its profit.

 

4)キーとなる英文の和訳

海外市場に確かな成長を頼れなくなった以上、アメリカ市場のテコ入れをしなければならない。

というのも、アメリカ市場は、売上の約45%、純利益の25%弱を占めるからである。

 

5)気になる単語・表現

now that 接続詞句 いまや~だから、~である以上
lean on 自動詞句 ~に寄りかかる、もたれる
turn around 他動詞句 ~の向きをぐるりと変える;~を好転させる
contribute 他動詞 ~を与える;~を寄稿する

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

まずは、国内外で売上低迷に悩むコカ・コーラ社の事実認識から。

 

【国内外で売上低迷に悩むコカ・コーラ社】

[国内]北米市場のコーク販売数量は10年以上減少

[全世界]3年連続で炭酸飲料の売上増加率が減少

[全世界]99年以来初、第一四半期のコーク売上数量が減少

 

つまり、アメリカ市場での売上減少をこれまで全世界の売上増でカバーしていたものの、全世界の売上増加率も鈍化しており、カバーしきれなくなりつつあるということです。そこで、コカ・コーラ社は北米市場のテコ入れに動いています。というのも、収益への貢献度が依然高いから。その方法をまとめると、次のようになります。

 

【コカ・コーラ社の北米市場テコ入れ策】

[1]   経営陣の刷新→現状認識

[2]   マーケティングの強化=新製品の投入→元顧客奪還・新規顧客獲得

[3]   新たな広告キャンペーン・容量変更→購入頻度向上、利益率向上

[4]   ボトリング改革=物流部門の再FC化→利益率向上

 

1について、北米部門の経営陣を刷新し、現場視察を強化しています。販売現場では実際に何が起こっているのかを、この目で知ろうというわけです。そこで目にしたのが、価格を気にしない買い物客の多さです。富裕層の多い地区でのことなので、ある程度割り引いて考える必要がありますが、コーク不振の要因を物語っているとも言えます。コークの売上が伸びないのは、肥満や人工甘味料を気にする消費者が増えているから。値段が高いから購入を控えているのではありません。逆に言えば、値段を少々上げても、そう売上数量は落ちないかもしれないのです。この現状認識が、3の容量変更につながっています。

 

また、富裕層の多い地域の視察を通じて、ネイルサロンや床屋、携帯ショップなど消費者が行列を作る確率の高い場所にビジネスチャンスを見出しています。行列が出来る場所では、移動・時間に制約があるため、購入商品がより直感的に選ばれがち。さらに、販売先ではそう多くの商品を揃える必要がないので、トップブランドが選ばれやすくなります。価格競争とも無縁のルートとなるので、客単価・利益率の向上に寄与することになります。

 

2について、消費者ニーズの変化に対応して、マーケティング費用を増額しています。全世界レベルでは、2013年33億ドルに対し、今後3年間で10億ドルも増やすようです。ちなみに、コカ・コーラ社の全売上は468.5億ドル。マーケティング費用がいかに大きいかがわかります。マーケティング強化とは、ざっくり言えば新製品の投入に力を注ぐということです。消費者のヘルシー志向を鑑みて、次のような新製品を投入します。

 

【直近のコカ・コーラ社の新製品投入】

[1]   今年8月、コカ・コーラ・ライフを発売→ステビアを甘味料として使った中カロリーのコーク飲料。ダイエットコークの売上減少を補う目的

[2]   来年、自宅で作れるコークキットの発売→Kカップコーヒーのキューリグ・グリーン・マウンテン社との共同開発

 

1は人工甘味料を嫌う消費者に対応してものであり、2は甘さを調整したい消費者向きの商品です。ちなみに、ダイエットコークは、2013年に6.8%も売上が減少、さらに今年第一四半期も6.9%も売上を落としており、泥沼に嵌った状態です。

 

3について、北米市場が冴えないコカ・コーラ社ですが、かすかな光明もありました。それは、「シェア・ア・コーク」キャンペーンの大成功。個人の名前(ファーストネーム)がランダムに印刷されたパッケージの20オンスボトルが、今年7月飛ぶように売れたようです。日本で言う「ネームボトル」ですね。これは、コークそのものが売れたというよりも、企画の面白さが受けたからでしょう。アメリカでもSNSを意識したネタ消費が人気のようです。

 

既成品のキャンペーンとしては、小容量商品の販売に力を注いでいます。12オンス缶・20オンスボトル・2リットルボトルの格安販売で売上増を図っていたここ10年の試みとは、全く逆のやり方です。この手法で目指すのは、利益率の向上。例えば、ミニ缶では1オンスあたり5~7セントであるのに対し、12オンス缶では3~4オンスしかありません。製造コストがどの程度変わるのはわかりませんが、オンスあたりで見れば小容量の方が確実に儲かるのです。そのせいか、第二四半期の炭酸飲料売上数量は横ばいながら、売上は3%も上昇したようです。

※1オンス(液量)=128分1米ガロン=29.6ミリリットル

 

4について、利益向上策として4年前にボトラーを買収しましたが、今後物流部門を再FC化させるようです。まるで買収が失敗したかのようですが、買収することで効率化に成功。一方で営業利益率が20.7%から11.3%に悪化したので、製造・物流ではなく物流部門のみFC化させるようです。恐らく、製造をFC化させないのは、規模の経済が働くからでしょう。また、物流部門は販売店への販売も兼ねるので、地域性をよく知る地元企業に販売を任せた方が、より効率よく販売できると考えています。

 

客単価・客数の視点からまとめると、次のようになります。

 

【コカ・コーラ社の北米市場テコ入れ策】

[客単価向上策]小容量商品の投入・新規ルートの開拓

[客数向上策]新製品の投入・新たな販促企画

[収益向上策]小容量商品の投入・新規ルートの開拓・物流部門の再FC化

 

最後に、記事で興味深い消費者が取り上げられていました。その消費者は、24歳女性オフィス勤務。従来は、ダイエットコークを毎日のように飲んでいました。しかし、今では大抵ラクロワ(La Croix)炭酸水を飲みます。その理由は、「炭酸が好きだが、甘味料が不要だから。」ラクロワの特徴は、甘味料など人工添加物無添加。そして、彼女にとって、ダイエットコークはもう日常的に飲む商品ではなく、特別な時のデザートなのです。つまり、ダイエットコークは、ケからハレの商品になることで、購入機会が大きく減ったということです。ダイエットコークの元ユーザーが、彼女のような消費者ばかりではないにしても、ヘルシー志向から購入頻度が低くなったことは、ダイエットコークの売上減少の大きな要因ではないでしょうか。そして、それは、北米市場のコーク低迷の要因でもあります。

 

ハレの商品になったならば、価格は購入決定にそう影響を及ぼしません。よりも、少しだけ飲みたいというニーズに答えて、より単価の高い小容量商品を投入することは、 消費者ニーズに対応したと言えるかもしれません。また、記事のコメントにもありましたが、サトウキビ由来の天然甘味料を使ったメキシコ産コークは、高くても売れているそうです。それも、甘味料が天然だからという理由で。ならば、天然甘味料を使った「オリジナルコーク」のような商品を投入すれば、売上低迷に歯止めが掛かるかもしれません。

 

問題は、容量を減らせば、製造数量が減少し、製造コストに跳ね返ってくることでしょうか。このあたりの按配は、大量販売型大企業の永遠の課題でもありますね。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)コカ・コーラ社が北米市場テコ入れに動くのは、海外市場での売上増に今後あまり期待できないから。

(2)具体的には、経営陣の刷新・マーケティング強化・新キャンペーンの実施・ボトリング改革を行っている。

(3)これらの結果、小容量品の投入と新ルート開拓で客単価向上を、新製品の投入と新販促企画で客数向上を、小容量品の投入と新ルート開拓・物流部門の再FC化で収益向上を目指す。

(4)消費者のヘルシー志向を考えれば、価格よりも品質で選ぶ傾向が高いので、小容量品や原材料を刷新した新製品の投入は、消費者ニーズに合致していると言えるだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

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容量縮小で一見実質値上げのように見えますが、中身は大きく改良。

実に美味しく、思わずお代わりしそうになるほど。

24缶入りで1850円は、懐にやさしいです。

カインズ 黄金

 

 

 

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WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

2日に甲子園にタイガースを応援に行ったのですが、試合開始直前で中止が決定。

確か、2・3分前だったかと思います。

こんな直前に中止になったなんて、初めてです。

内部で何かあったのでしょうか。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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