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【798号】地ビール人気で生まれた新ビジネスとは?

craft beer brewery

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Hot New Venture: Migrant Beer-Canning Expert

 

 

 

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2)要約

地ビールの容器が、瓶やジョッキから缶にシフトしている。この変化に着目した新ビジネスが、移動式ビール缶充填サービスである。このサービスは、缶充填機材を醸造所に持ち込み、数時間掛けて充填を行う。その後、別の醸造所に移動する。

 

地ビール醸造所は、缶に切り替えることにより、密封度が増し、品質劣化を防げる。さらに、物流費を削減でき、スーパーなどに販路を拡大できる。一方で、ビール好きにとっては、「缶=大量生産型ビール」という先入観があり、顧客が離反する恐れがある。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Because most craft brewers can’t easily afford their own canning lines, a new type of company was popping up: mobile canners.

 

4)キーとなる英文の和訳

大部分の地ビール醸造所は、独自の缶充填ラインを簡単に持てるほどの余裕はない。

そこで生まれたのが、移動型缶充填サービスという新型企業である。

 

5)気になる単語・表現

afford 他動詞 ~する余裕がある;~を持つ余裕がある
can 他動詞 ~を缶詰にする
pop up 他動詞句 ひょっこり現れる

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ビールの移動型缶充填サービスとは、缶に充填する製造工程を代行するというもの。その着想は、ワイン業界から得たそうです。ワイン業界では、小型ワイナリー向けの移動型瓶詰め代行サービスが存在します。このビール版が、移動型缶充填サービスなのです。

 

過去3年間に、約12の企業が移動型缶充填サービスを始めました。これほどまでの参入があったのは、このサービスに将来性があるからに他なりません。移動型缶充填サービスのニーズの強さをまとめると、次のようになります。

 

【移動型缶充填サービスの将来性・ニーズの高さ】

[1]   潜在顧客が多い

[2]   潜在顧客のニーズが高い

 

1について、潜在顧客とは、自社で缶充填を行えないビール醸造所。ずばり、規模の小さな地ビール醸造所です。地ビール醸造所は、全米に3000以上存在し、過去10年で倍増しました。この背景にあるのは、地ビール人気に他なりません。

 

2について、さらに地ビール醸造所は、この代行サービスを利用する動機がかなり高い。動機が高い理由は、次の通り。

 

【地ビール醸造所が移動型缶充填サービスを利用する動機が高い理由】

[1]   缶にすれば、品質が向上するから

[2]   缶にすれば、コスト削減できるから

[3]   自社で缶充填を行えるほどの余裕がないから

[4]   売上拡大が期待できるから

 

1について、缶にすれば、従来の瓶やコルク付きジョッキよりも、密封性が増すだけではなく、光による品質劣化を防止することができます。さらに、缶の方が物流コストを削減できます。缶と瓶の物流を比較すると、以下のようになります。

 

【缶と瓶の物流比較】

[重量]缶のケースは瓶の約3分の1

[コンテナ配送ケース数]缶は2000ケース、瓶は1350ケース

[運賃]缶はケース2ドル、瓶は3ドル

※運賃は、東海岸までのトラック輸送

 

3について、缶にすることで、スーパーやビール専門店などへの販路が広がり、売上拡大が見込めます。従来の瓶やコルク付きジョッキでは、醸造所まで買いに来た個人客や地元の居酒屋・食堂への販売がほとんど。実際、缶に切り替えることで醸造量が二倍になった醸造所もあるほどです。

 

このようにコスト削減と品質向上ができ、メーカーにとってはメリットばかりなのですが、一方で導入コストは高く付きます。生産数量が少ない地ビール醸造所にとっては、缶充填ラインはなかなか導入できないもの。これも、代行サービスの利用動機を高めます。

 

このように、潜在顧客も多くそのニーズも強い移動型缶充填サービスですが、デメリットもあります。

 

【移動型ビール缶充填サービスのデメリット】

[1]   時間とノウハウを要する手間の掛かるビジネス

[2]   缶=大量生産という偏見があり、地ビールにそぐわない

 

1について、このビジネスには、長時間の移動、スケジュールの不確かさ、運転資金の大きさ、機械の故障修理ノウハウが必要となり、決して楽に儲かるビジネスではありません。スケジュールの不確かさとは、ビール醸造所のビール製造スケジュールがよく変わるために、予定通り充填作業が行えないという点。車による長時間移動とともに、時間の掛かるビジネスなのです。さらに、缶やその他材料の在庫を多く抱えなければならず、多くの運転資金が必要となります。時間をコストと考えれば、サービス遂行にお金が掛かるのです。これに、缶充填機や運搬用トレーラー・ラベル機などへの初期投資が掛かるので、参入にもそれなりのお金が掛かるのです。

 

2については、懸念は薄れつつあります。サービス当初は、ビール好きが「缶=大手メーカーのビール」と認識し、顧客離れが懸念されました。しかし、缶入りの地ビールが増えるに従い、慣れる人が増加しているようです。

 

移動型ビール缶充填サービスは、ビール醸造における製造工程の一部を代行するもの。そして、このサービスが生まれた背景には、消費者が小規模メーカーの商品を選ぶ消費行動があります。もし、大手メーカーの商品を選ぶ消費者がほとんどで、小規模メーカーのモノがほとんど売れなければ、製造工程のアウトソーシングは生まれません。ということは、ビールのような小規模メーカーの商品が売れる業界ならば、同様の代行サービスが生まれる余地があるということになります。

 

(記事の中で紹介されていた移動型ビール缶充填サービス企業)

We Can Mobile Canning

Mobile Cannning LLC

Can Van LLC

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)移動型ビール缶充填サービスとは、ビール充填基材を地ビール醸造所に持ち込み、缶への充填を行い、その後別の醸造所に移動する代行サービスである。

(2)このサービスが生まれた背景には、自社で缶充填を行う余裕のない地ビールの人気がある。

(3)将来性の高さは、潜在顧客の多さとニーズの高さによる。地ビール醸造所は、パッケージを缶にすることで、品質向上とコスト削減ができる。一方で自社で缶充填を行う場所・資金が不足するため、代行サービスを利用する動機は高い。

(4)ただし、初期投資・運転資金とも大きく、さらに時間も掛かるというデメリットがある。「缶=大手メーカー品」という偏見は薄れつつある。

(5)地ビールが人気のビール業界のように、小規模メーカーの商品が人気の業界では、せい製造工程の一部を代行するサービスの参入余地があるのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日、有馬の蕎麦屋さん「土山人」で飲んだのが、こちらの日本酒。

辛口というよりも、スッキリしたタイプです。

普段辛口が好きなのですが、月に雁もかなり気に入りました。

飲みやすくて、すぐに酔ってしまいましたが。

ネットで調べてみると、日本酒度は+3(プラスが大きいほど辛口、マイナスが大きいほど甘口)なので、さほど辛くないタイプのようです。

久しぶりに冷酒を飲んだのですが、日本酒のマイブームが起こりそうな予感です。

次は白鶴か松竹梅か?

小玉醸造 ひやおろし月に雁

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

地ビールに関して、阪急・阪神の両百貨店で箕面ビールが無くなりました。

欠品していると思いきや、大丸には有りました。

何かあったのかな?

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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今回は私が恩返しします!

 

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