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【812号】有名店の閉店・移転が増えるニューヨークのレストラン業界最新事情

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◎本日のニュース

1)見出し
City Restaurants Multiply, Despite High-Profile Closures

 

 

 

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2)要約

ニューヨークのレストラン業界は、家賃の高騰に直面している。そのため、有名なレストラン・老舗レストランの閉店・移転が増えており、専門ブログまで存在するぐらいである。

 

過去十年間、レストラン業界は活況を呈していた。その時も、家賃の高騰には悩まされてきたが、独立を目指すシェフの増加やエンターテイメント業界のレストラン参入などで、家賃高騰をものともしなかった。今家賃高騰を理由にした閉店・移転が増加しているのは、賃貸契約の切れる物件が増え、新たな家賃での契約更新が進まないからである。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The widely held notion that rising rents are making it nearly impossible to survive as a restaurant in the city received its ultimate endorsement this summer when celebrity restaurateur Danny Meyer said the Union Square Café would move from its longtime home on East 16th Street.

 

4)キーとなる英文の和訳

広く受け入れられている考えがある。

それは、家賃高騰により、ニューヨーク市でレストランを続けることがほぼ不可能になるということである。

これが完全に受け入れられたのは、著名レストランオーナーのダニー・マイヤー氏が、長年営業を行ってきた東16番街からユニオン・スクエア・カフェを移転すると発表した時である。

 

 

5)気になる単語・表現

notion 名詞 考え;意見、見解
hold 他動詞 (考えなど)を心に抱く;~だと思う
ultimate 形容詞 究極の、最終の;最高の
endorsement 名詞 是認、支持

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

日本では信じられませんが、ニューヨーク市のレストラン業界は、過去10年間活況を呈してきたようです。そのレストラン業界が、家賃高騰という問題に直面しています。その結果、有名店や老舗店の閉店・移転が増加。

 

家賃の上昇は、最近起こったことではありません。これまでも上昇しており、その他顧客ニーズの高度化や行政手続きの複雑化など、レストラン業界には課題が山積していました。「顧客ニーズの高度化」とは、より美味しい料理やより良い雰囲気を提供しなければ、人気店になれず、そのハードルが高まってきたことを示します。行政手続きとは、許認可などの手間が増えたということです。

 

その課題を物ともせず成長してきたのは、独立を目指すシェフの増加やエンターテイメント業界の飲食業参入があったから。実際、飲食店の許可数は、2006年の18606件から今年6月の23705件まで27%以上増加しています。

 

現在の家賃高騰の要因は、コスト増と需要増。コスト増とは、管理費など不動産維持コストの増加。需要増とは、小売やレストランの好立地獲得競争が激化しているということです。この競争激化は、比較的家賃が割安なブルックリン地区まで波及し、ブルックリンのレストラン増加率はマンハッタンを超え最大の10%に達しています。(マンハッタンは6%増)

 

では、なぜ今家賃高騰がレストランの移転・閉店の要因になっているのか。それは、賃貸契約切れの物件が増えているからです。15~20年前にオープンした店舗が多く、この契約が切れて、高騰した家賃での契約更新を迫られているのです。契約更新できずに、閉店・移転する物件が増えていることになります。

 

また、ニューヨークのレストラン業界内部にも異変が起きているようです。それは、従来型のフルサービスレストランよりも、バー・カジュアルカフェ・持ち帰り専門店が増加しているという点です。後者の特徴は、前者よりも利益率が高いこと。限界利益が大きいため、固定費が等しければ、損益分岐点が下がります。逆に言えば、少々家賃が高くても、黒字にしやすいということです。このような業態が増えることにより、家賃高騰でも出店意欲が高まり、さらなる家賃高騰を招くのです。

 

さらに、移転しても常連客を維持できるとなれば、

 

高家賃の好立地に出店→常連・固定客獲得後、家賃の安い立地に移転

 

というビジネスモデルがレストラン業界に増えるかもしれません。つまり、人通りが多くメディアでも取り上げられやすい好立地で顧客を獲得し、ある程度の顧客数・固定客数になれば、固定費を下げるために家賃の安い地区に移転するというもの。好立地での運営を顧客獲得のための投資と考え、移転後に回収するモデルです。

 

日本でも家賃高騰が起こるとすれば、それは東京など首都圏でしょうか。首都圏で営業する店舗ビジネスは、ニューヨークの事例を参考にして、家賃高騰にどう対応するのかをそろそろ考えておいてもいいかもしれません。

 

【記事で取り上げられていた有名レストラン】

Union Square Café(移転)

 

Angelica Kitchen(ベジタリアン専門店、倒産危機)

 

Yaffa Café(9月閉店)

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  • 過去10年活況を呈してきたニューヨークのレストラン業界は、家賃高騰に直面し、移転・閉店する店舗が増えている。
  • 過去にも家賃高騰してきたが、独立希望のシェフの増加やエンターテイメント企業の参入などにより、出店意欲は衰えなかった。
  • 現在の家賃高騰が深刻なのは、賃貸契約切れを迎える店舗が多く、家賃引き上げを受け入れられないからである。
  • また、限界利益の大きなバー・カジュアルカフェ・持ち帰り専門店が増えることで、高い家賃でも受け入れられやすくなり、更なる家賃高騰を招いている。
  • 移転後も常連客・固定客を維持できれば、家賃の高い好立地で顧客獲得を目指し、家賃の低い立地に移転後に利益を刈り取るモデルが生まれるかもしれない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

黄桜さんと菊正宗さんで大吟醸対決をしました。

違いは、辛さでしょうか。

黄桜さんの方がまろやかで、菊正宗さんの方が辛口。

さすが、生酛(生もと)造り。

個人的には、菊正宗さんの方が好みです。

ただし、値段は大きく違いますので。

黄桜 大吟醸(芳醇ではない青の方)

菊正宗 超特選大吟醸

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日曜の正午現在、タイガースがCSファイナルに大手です。

ペナント優勝チームに一勝のアドバンテージがあるファイナルは、巨人が圧倒的有利。

それでも、タイガース日本一を心より期待しています。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

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