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【855号】カナダスーパーのパイレーツジョーズはトレーダージョーズにとって本当に敵なのか?

trader Joe'sMike Mozart

 

◎本日のニュース

1)見出し
This Pirate Sells Treasures From Trader Joe’s to Canadians

 

 

 

 

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2)要約

カナダには、米スーパーのトレーダージョーズの商品を販売するスーパーがある。その名は、パイレーツジョーズ。トレーダージョーズの支店でもなく、公認代理店でもない。アメリカ価格よりも割高なものの、ファンが付くほど人気を博している。

 

人気の理由は、トレーダージョーズの個性的な商品を気軽に買えるから。トレーダージョーズの店舗はカナダに無く、欲しければ長時間の運転とパスポートが必要となる。

 

一方のトレーダージョーズは、パイレーツジョーズを商標違反と詐欺的経済行為として提訴。しかし、巨人相手の訴訟にパイレーツジョーズは勝訴しており、このストーリーも顧客を魅了する要因となっている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The Vancouver-based retailer trades on part of the name and all of the quirky reputation of the giant U.S. grocer.

 

4)キーとなる英文の和訳

このバンクーバー本社の小売企業は、米巨大スーパーの名前の一部と特徴的な評価のすべてを元に、商売をしている。

 

5)気になる単語・表現

quirky 形容詞 一風変わった
reputation 名詞 評判;噂;名声、好評
grocer 名詞 食料雑貨店主;食料雑貨商人(店)

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

パイレーツジョーズは、アメリカの有機食材スーパーのトレーダージョーズの商品を仕入れて販売しているスーパー。その特徴をまとめると、次のようになります。

 

【パイレーツジョーズの特徴】

  1. トレーダージョーズの支店でも公認代理店でもない
  2. トレーダージョーズの限定商品(特にPB)を割高な価格で販売
  3. 店のロゴ・商号はトレーダージョーズに似ている
  4. クレジットカード利用客の40%以上は非アメリカ人

 

隣国アメリカの人気商品と言えども、アメリカより割高な価格で売れるとは驚きです。同盟国であるので、アメリカのトレーダージョーズを知っている人も多いはずだからです。いわゆるアービトラージ戦略ですが、日本で言えば、有料会員小売のコストコ商品を再販する小売店がこれにあたるでしょうか。

 

パイレーツジョーズの業績は、好調なようです。昨年の売上は、65万カナダドル(日本円で約6270万円)。一店舗でこの売上だから、成功していると言っても過言ではありません。その成功要因をまとめると、次のようになります。

 

【パイレーツジョーズの成功要因】

  1. 立地がいいため
  2. 小型店舗で買い物しやすいから
  3. 巨大スーパーのトレーダージョーズに訴訟で買った伝説が口コミになっているから
  4. トレーダージョーズの商品自体がいいから

 

一番の要因は、1の立地でしょう。パイレーツジョーズの店舗から一番近いトレーダージョーズの店舗まで、55マイル。自動車で3時間ほど運転しなくてはなりません。チョコレートだけ欲しい人は、それだけに3時間運転するなら、少々高くてもパイレーツジョーズで買った方がお得なのです。アメリカ旅行でトレーダージョーズの商品を好きになった人も、より身近に購入できるパイレーツジョーズを利用することになります。

 

2について、これはアメリカ人来店客の意見なのですが、パイレーツジョーズを、「トレーダージョーズのエキスプレス版」と表現しています。本家よりも小型で買い物しやすいからです。これも人気の一つでしょう。

 

3について、トレーダージョーズがパイレーツジョーズを商標侵害などで訴訟を起こしていますが、現在勝訴しています。これが、「巨人に勝った」として伝説化し、口コミになっているようです。このストーリーがパイレーツジョーズのブランド化に寄与し、ファン獲得に大きな効果を発揮しています。

 

4は言わずもがな。本家の商品がいいからこそ、それを販売するパイレーツジョーズも人気があるのです。

 

パイレーツジョーズの創業オーナーのマイク・ハラット氏は、パイレーツジョーズの成功で、経済的な成功よりも「ニッチ市場を開拓できたこと」を評価しています。そして、今後、トレーダージョーズの店舗のあるアメリカ以外の世界に、ネット通販を通じて販売するようです。

 

このパイレーツジョーズの成功は、トレーダージョーズにとってマイナスなのか、プラスなのか?実は、大きなプラスなのではないでしょうか。その理由は、

 

今後の進出を考えたマーケティングリサーチを無料でやってくれるから

 

です。パイレーツジョーズでトレーダージョーズの商品が売れるということは、カナダに出店余地があるということに他なりません。ターゲットの失敗など、カナダ小売市場はアメリカとは異なり、成功するのが難しいですが、パイレーツジョーズの”実験”を通じて、その失敗確率は大きく下がるのではないでしょうか。しかも、パイレーツジョーズは、トレーダージョーズから正規で購入している顧客でもあります。パイレーツジョーズの売上増は、トレーダージョーズの売上増に寄与してくれます。

 

一見、パイレーツジョーズはトレーダージョーズの邪魔をしているように思えますが、実は無料でマーケティング活動をしくれるありがたい存在なのです。

 

Pirate Joe’s

Trader Joe’s

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《今回のヒントのまとめ》

  1. トレーダージョーズの商品を割高な価格で売るパイレーツジョーズが人気なのは、立地の良さ、買い物のしやすさ、巨人の訴訟に買った伝説、商品そのものの良さに起因する。
  2. トレーダージョーは、パイレーツジョーズを商標侵害等で訴訟を起こしているが、実際は、未進出地で無償のマーケティング活動をしてくれているありがたい存在なのではないか。正規で仕入れてくれるパイレーツジョーズの売上増は、トレーダージョーズの売上増にもつながる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

微分積分って、得意でしたか?

文系の私は、確か本格的には習ったことがありません。

その微積を経営に活用する方法を説いた新書を、最近読みました。

微積って、その理屈は実は簡単なのです。

大変面白く、微積を使って経営分析すると、新しいビジネスが生まれるのではないか、と思ったほど。

数学嫌いの人も、一読をおすすめします。

「微分・積分を知らずに経営を語るな」 内山力

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

LAに留学中は、トレーダージョーズよりもボンズ(Vons)の常連でした。

ボンズカードを持っていたぐらいですから。

低価格が、貧乏学生には有りがたかった。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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