About

*

【856号】デジタル化を進めるメーシーズが、折込チラシを増やす理由とは?

circular from wal mart

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Retailers Can’t Shake the Circular Habit

 

 

 

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

2)要約

世界中でデジタル化が進む一方で、毎週日曜日に折り込まれるチラシに力を入れる小売チェーンは、依然多い。新聞購読者は減少し、しかも折込チラシはネット広告よりもコストが掛かるにもかかわらずだ。

 

 

新聞ビジネスが衰退するにもかかわらず、折込チラシを見る人は年間延べ5000万人。これは無視できない数字であり、実際折込チラシからネット広告に変えた小売チェーンも、客数減少に直面したことから、折込チラシを復活させている。

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The world may be going digital, but the brightly colored advertising inserts that spill out of newspapers every Sunday somehow missed the memo about the decline of print.

 

4)キーとなる英文の和訳

世界でデジタル化が進んでいるかもしれないが、毎週日曜日の新聞にあふれんばかりの鮮やかな色の折込広告を見る限り、紙媒体の衰退はさほど見られない。

 

5)気になる単語・表現

insert 名詞 挿入物;折込広告;~を差し込む
spill out of 自動詞 ~からこぼれる

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ネット広告市場が拡大していますが、日本でも折込チラシやポスティングチラシはさほど減っていないように思えます。その理由は、紙媒体のチラシが意外に効果的であるからでしょう。アメリカでも、産業全体でデジタル化が進む中、折込チラシは依然残っているようです。

 

ただし、新聞折込チラシの広告収入は、年々縮小しています。

 

【新聞折込チラシの広告収入データ】

[2014年]58.4億ドル←13年の62.7億ドルから6.9%の減少

※ピークは2006年の82.2億ドル

 

金融危機後に大きく減少したのですが、景気回復が始まってから少しは戻ったものの、頭打ち。景況感や雇用環境で言えば、2013年よりも2014年の方がいいのにもかかわらず、折込チラシ市場は縮小しています。デジタル化も要因ですが、消費行動が金融危機を境に大きく変わったのかもしれません。

 

とは言っても、デジタル化を考えると、折込チラシ市場の縮小はごくわずか。それだけ、小売チェーンが折込チラシを依然重視していることがわかります。逆に言えば、広告のデジタル化が上手く進まなかったと言えるでしょう。

 

【広告のデジタル化に失敗した小売チェーン】

[ウォルマート]

2011年・12年に、一部地区で折込チラシを止めて、ネット広告に転換。

→その結果、来店客数が減少し、チラシを復活

 

折込チラシと同等の効果をネット広告に求めても、なかなかうまくいかないようです。実際、

 

バナー広告→非効率

検索連動型広告→積極的に探している人にだけ有効

メールクーポン→多くは迷惑メールフォルダーに行く

 

という結果になることが多く、新聞のネット版読者の1%未満しか、掲載された広告をクリックしないという結果も出ているようです。原則無料のネットでは、紙媒体以上に広告が張り巡らされています。消費者の多くは、広告をスルーする技術を身につけているのでしょうか。それほど、ネット広告はなかなか効果を生み出しません。

 

一方の新聞折込チラシは、新聞発行部数こそ減っているものの、年間で延べ5000万もの人が見てくれるようです。新聞社にとっても、平均で収入の1/5を占めるほどの売上なので、折込チラシの広告主獲得に力を入れているのでしょう。

 

とは言っても、紙媒体のチラシは、ネット広告とは異なり、

 

コストが掛かる

顧客の属性に応じた内容に変更できない

 

というデメリットがあります。そのデメリットを克服しつつ、視認率の高い折込チラシのメリットを享受する動きもあります。

 

【ターゲッティング折込チラシの事例】

[コールズ]

  1. 顧客を4つのグループに分類し
  2. 最上位のグループが最も集中している地区だけに落ち込みチラシを投入
  3. 従来のチラシからのコスト削減分を、他グループをターゲットに他媒体の広告に利用

※分類→上顧客、その下、たまに利用、新規

※地区→ZIPコード(日本で言う郵便番号)で区分

※他グループで利用する広告媒体は、ラジオ・テレビ・SNS・ネット広告など

 

日本では、どちらかというと折込チラシは止める傾向にあり、ネットに移行しています。ダイエーも毎週末折り込んでいたチラシを、随時に変えました。コスト削減が目的でしょうか。高齢者ほど新聞を定期購読している割合が高いと考えれば、日本でも新聞折込チラシが復活するかもしれません。

 

***************************

《今回のヒントのまとめ》

  1. 世界でデジタル化が進むものの、新聞折込チラシを活用する小売チェーンは依然多い。
  2. その理由は、折込チラシを見る人は年間延べ5000万人と多い一方で、ネット広告は積極的に探している人以外にはさほど効果を発揮しないからである。
  3. ただし、折込チラシにはネット広告よりもコストが高いというデメリットがある。そのデメリット克服のために、上位顧客の多い地区だけに折込チラシを投じて、費用体効果を高める動きもある。

*************************

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

微分積分って、得意でしたか?

文系の私は、確か本格的には習ったことがありません。

その微積を経営に活用する方法を説いた新書を、最近読みました。

微積って、その理屈は実は簡単なのです。

大変面白く、微積を使って経営分析すると、新しいビジネスが生まれるのではないか、と思ったほど。

数学嫌いの人も、一読をおすすめします。

「微分・積分を知らずに経営を語るな」 内山力

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

チラシ好きの私にしては、折込チラシが増えることは歓迎です。

最近のトレンドは、求人広告が増えてきたということでしょうか。

人手不足深刻なようです。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

 

ad

関連記事

新着記事

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

ad

PAGE TOP ↑