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【860号】ハインツ・クラフト合併を後押しした外部環境の変化とは?

kraft foods

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Kraft, Heinz Brands Need Some Catching Up

 

 

 

 

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2)要約

合併を計画するH.J.ハインツ社とクラフト・フーズ・グループ社は、いずれも長年親しまれたブランドを擁する。その一方で、消費者の好みとヘルシー志向の高まりに対応できていないという共通点も持つ。

 

中小メーカーのナチュラル・有機ブランドと競争が激化するが、一方で年間売上10億ドル以上のブランドを8つも持ち、収益力は高い。合併により、スーパーとの関係をより強化し、より目立つ売り場確保に動くとされている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

H.J. Heinz Co.’s planned acquisition of Kraft Foods Group Inc. unites brands that have been commonplace in American kitchens for decades but are, in many cases, struggling to keep pace with changing palates and healthier diets.

 

4)キーとなる英文の和訳

H.J.ハインツ社が計画するクラフト・フーズ・グループ社の買収は、長年アメリカの台所でありふれたブランドを統合する。

しかし、多くの場合、変化する好みとよりヘルシーな習慣に対応するのに苦戦している。

 

5)気になる単語・表現

acqusition 名詞 企業買収;獲得
unite 他動詞 ~を結合する;合体させる
commonplace 形容詞 ごくふつうの、平凡の;つまらない
keep pace with 他動詞句 ~に遅れないように付いて行く
palate 名詞 好み、味覚
diet 名詞 習慣店なもの;飲食物

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

ハ インツ社とクラフト・フーズ社の合併は、アメリカの大手食品メーカー同士であり、世界的にも知名度の高いブランドのため、WSJでは大きく取り上げられて います。最初は、この合併を主導した投資ファンド・3Gキャピタルの経営手法について取り上げようと考えていましたが、マーケティングとして面白い記事な ので、今回はこの記事を採用しました。

 

記事のテーマは、ハインツとクラフトの強みと弱み。強みは、そのブランド力と収益力の高さに他なりません。

 

【ハインツ・クラフトの強み】

[ブランド力]

クラフト製品はアメリカ世帯の98%が利用

[収益性]

  • 毎年280億ドルの売上と数十億ドルの純利益を産み出す
  • 年間売上10億ドル以上のブランドを8つ持つ

※収益性の数字は両社合計

 

キーセンテンスにもあるように、アメリカの台所では馴染みの商品であり、ブランドを好きな消費者も多いようです。しかしその一方で、実際には買わない消費者も増えているようです。これが弱みになります。

 

【ハインツ・クラフトの弱み】

消費者の好みの変化とヘルシー志向の高まりに対応できず

 

要は、消費者ニーズの変化に対応できていないということです。この変化とは、ヘルシー・ナチュラル志向の高まり。実際、中小メーカーの急成長するナチュラル・有機ブランドとの競争が激化し、売れ行き悪化により販売量・シェアとも減少傾向にあります。

 

【ハインツ・クラフトの苦戦】

[ハインツ]

  • オーレ・イーダ・ベーグル・バイツ(冷凍フライドポテト)の売上は2010年以来20%減

[クラフト]

  • チーズウィズ(瓶入りチーズソース)の売上は2010年以来10%減→全米シェアを40%まで落とす

 

ヘ ルシー志向を強めた消費者が加工食品離れを起こしているという点は、前回取り上げたコカ・コーラ社と同じです。それに対し、ハインツ・クラフトは合併を選 択することで、スーパーとの関係強化に動くようです。その目的は、より売上を増やせる“好立地”の売り場確保のため。より目立つ場所で売ることで、低迷す る収益をV字回復できると考えているようです。

 

あくまで推測ですが、この背後には売り場面積の縮小があるのかもし れません。つまり、店舗の小型化です。また、PB商品の増加により、ハインツ・クラフト製品のようなNB製品の売り場が縮小していることも十分考えられま す。一方で、ヘルシー・有機製品が拡大しているとなると、従来型の加工食品は売り場がさらに狭まることになります。

 

食 品メーカーのM&Aでよくあるパターンは、消費者ニーズを捉えた製品を持つ中小メーカー・ブランドを大手メーカーが買収するというケース。前回取り上げた コカ・コーラ社も、エナジードリンクのブランドを買収しています。しかし、今回のような大手メーカー同士の合併は、最近珍しいケースです。この合併によ り、まずはコスト削減に取り組むようです。この背後には、景気回復著しいアメリカでも依然続く節約志向があるのでしょう。

 

日 本でも、PB製品の売り場拡大・店舗小型化など、NB製品には逆風が吹いています。さらに、NB製品も大手メーカーの製品に集約しています。一方で、ロー カルニーズを捉えようと、地元産・地元ブランドの製品を増やそうという動きもあります。アメリカのヘルシー・有機食品を、地元産・地元ブランドの食品にす れば、同じ現象が起こっていると考えることができます。ならば、日本では、大手メーカー同士の合併よりも、中小の地元メーカーの買収が今後起こる確率の方 が高いと思われます。

 

日本での食品メーカーが直面する一番の課題は、原材料など製造コストの上昇。これも、食品メーカーのM&Aを後押しするかもしれません。

 

Heinz 

Kraft Foods 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ハインツとクラフト・フーズが合併する理由は、消費者のヘルシー志向の高まりに対応できずに収益が低迷しているからである。
  2. 一方で、依然高い収益力を擁し、メガブランドも複数持つ。合併のよりコスト削減を行うことで、収益性の向上を目指す。コスト削減を目指す背景には、依然根強い節約志向があるのだろう。
  3. また、スーパーなど販売者との関係を強化することで、より売上が見込める売り場確保を目指す。この背景には、PBの拡充や中小のヘルシー・有機ブランドとの競争激化・店舗の小型化により、大手メーカーの加工食品の売り場が狭まっているということがあるだろう。
  4. 日本では、地元産・ローカルブランドを強化する動きが小売チェーンである。一方で、コスト上昇に悩むメーカーも多いので、大手メーカーが中小メーカーを買収する事例が増えるのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

ダイエー創業者の中内さんとは、もちろん面識がありません。

最近秘書をやっていた人の回顧録を読んだのですが、中内さんはとても面白い人のようです。

結局ダイエーは破綻したのですが、それでも憎めないその人柄。

波瀾万丈ですが、中内さんの人生こそ、一番幸せと言えるかもしれませんね。

勇気と笑いを貰った書籍です。

「中内功のかばん持ち」 恩地 祥光

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本のスーパーで最近よく目にするのは、飲食店ブランドの製品。

例えば、最近では鯖寿司専門店ブランドの鯖寿司(総菜)が販売されていました。

より馴染み・知名度の高さが、売れる要因ということでしょうか。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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