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【862号】大手スーパーに販路を広げる中小食品メーカーの強みと弱み

lean cuisine

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Balance of Power Shifts in Groceries

 

 

 

 

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2)要約

有機ブリトーやタイ風チャーハンなどの冷凍食品を製造するエイミーズ・キッチン社は、販売増に対応するため、昨年終わり頃に閉鎖した元ハインツの工場を購入した。この事例が示すように、食品業界では大手メーカーが低迷する一方で、中小の有機・ナチュラルブランドの売上が急増している。

 

この背景には、既存の大手メーカーの製品や原材料を信用しない一方で、有機・ナチュラルブランドを好む消費者ニーズの変化がある。この変化に敏感に反応したのが、大手スーパー。売り場を活性化するために、中小ブランドの発掘を積極的に行っている。

 

従来、規模の大きさは、巨額の販促費や大量生産によるコストダウンなどメリットだった。しかし、今ではそのブランドイメージが大きな障害になっている。一方の中小食品ブランドは、規模の小ささを機敏さで克服している。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Amy’s and other smaller companies focused on natural and organic foods are feasting on shifts in tastes among consumers distrustful of established food giants’ products and ingredients.

 

4)キーとなる英文の和訳

エイミーズ・キッチンやナチュラル・有機食品に特化した他の中小起業は、消費者の嗜好の変化を享受している。

消費者は、既存の大手食品メーカーの製品や食材に不信感を抱いているからである。

 

 

5)気になる単語・表現

feast on 自動詞句 ~を大いに楽しむ;大いに飲み食いする
distrustful 形容詞 信用しない、疑い深い
ingredient 名詞 食材;成分、原料

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

今回もアメリカの食品業界について。食品業界の記事が増えたのは、ハインツがクラフト買収を発表してからです。この大型買収により、改めてアメリカ食品業界で起こる異変がクローズアップされました。この異変の背後にあるのは、消費者ニーズの変化です。

 

【消費者の食品に対するニーズの変化】

(従来)大手メーカーブランドを好む

(今)中小メーカーのナチュラル・有機ブランドを好む

 

一言で言えば、既存の大手ブランドから新興のヘルシーブランドへのシフトです。このシフトに乗った中小ブランドが、売上を急速に増加させています。

 

【食品業界における大手ブランド・中小ブランドの比較】

(大手ブランド)5年で売上シェアは4.5%縮小(2014年45.1%、4180億ドル)

(中小ブランド)同時期32.1%から35.3%に拡大

 

ちなみに、大手が失ったシェアのうち中小が獲得しなかった部分は、大手スーパーのPBブランドが獲得しています。

 

急成長する中小食品メーカーの事例をまとめると、次のようになります。

 

【急成長する中小食品メーカーの事例】

  1. エイミーズ・キッチン社(有機冷凍食品)→閉鎖した元ハインツ工場を買収
  2. カインド社(グラノラバー、2004年創業)→シェアが2011年の5%未満から2014年には6%近くまで上昇
  3. チョバニ社(ギリシャ風ヨーグルト)→創業最初の5年で売上10億ドル到達

 

この急成長を支えたのは、大手食品スーパーです。消費者ニーズの変化に、大手スーパーも反応したのです。

 

【大手スーパーの消費者ニーズへの対応】

(従来)巨額の販促費を投じてくれる大手NBメーカーを中心に販売

(今)売り場活性化のために、中小ブランドの発掘・販売

 

消費者ニーズと対応していることがわかります。しかも、単に中小ブランドを販売するだけではなく、商品開発にまで協力しています。例えば、クローガー社は、コロラドの中小メーカーが製造したブラックジャックド・パンケーキミックスを2,013年度から販売していますが、パッケージデザインの開発やマーケティング戦略の策定、追加フレーバーの決定まで行っています。また、南東部でウィン・ディキシーなどのスーパーチェーンを運営するバイ・ロー・ホールディングス社は、地元食品メーカーに売り場まで提供しています。単にトレンドに乗るだけではなく、自らトレンドを起こそうという気概の持ちようです。

 

このように、外部環境の変化が、中小食品メーカーには強みとして効果を発揮しました。

 

【中小食品メーカーの強み】

  1. 消費者ニーズが大手NBブランドから中小ブランドにシフト
  2. NB製品中心だった大手スーパーが中小ブランドの発掘・販売を強化

 

一方で、売上の急増に際して、中小メーカーの弱みも露呈します。ナチュラル・有機ブランドを製造する新興メーカーの多くは、十分は製造能力を有しません。多くは、手作業で調理(製造ではない)したり、外部工場にアウトソーシングしたりしています。このような生産体制では、全国規模で多店舗展開する大手スーパーからの注文に対応できません。例えば、グラノラ製品を製造する18ラビッツは、製造を外注しているので、全米に展開するホールフーズの8割の店舗への納入がうまくいかず、結果的に1割の店舗でしか販売できていません。

 

【中小食品メーカーの弱み】

製造能力不足により大手スーパーからの注文に対応できず

 

同じことが日本で起こるかといえば、全くその気配はありません。逆に、売り場を見る限り、大手メーカーの寡占が進んでいるとすら感じます。ただし、大手メーカーの商品に依存すれば、他スーパーと差別化できず、価格競争を余儀なくされます。一方で、人口の高齢化によりヘルシー志向が高まるとともに、地方創生の元ローカル企業を応援する風潮が強まりつつあります。当分先かもしれませんが、消費者ニーズに対応した中小食品メーカーには生き残る道はありそうです。

 

また、ナチュラル・有機食品が、日本のスーパーでも一定の売り場を確保できるとなると、この分野への参入がビジネスチャンスとして考えられるかもしれません。

 

Amy’s Kitchen (organic burrito)

Kind (Granola bar)

Chobani (Greek-style yogurt)

FlapJacked (pancake mix)

18 Rabbits(granola) 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ナチュラル・有機食品を製造する中小メーカーが売上を急増させているのは、大手スーパーに販路を拡大しているからである。この背景には消費者ニーズの変化があり、信用できない大手ブランドよりも新興のナチュラル・有機食品を選好する。
  2. この変化に大手食品スーパーも反応し、中小ブランドの発掘・販売のみならず、商品開発や売り場提供まで行っている。
  3. これら外部環境の変化を強みであるが、売上急増に対応できないという弱みもある。新興メーカーの多くは十分な製造能力を持たないために、一部メーカーは製造を外部に委託しているが、全国展開する大手スーパーの注文には十分対応できていない。

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(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

約10年前に買った東レの超音波歯ブラシが故障したため、新調。

気に入っていましたが、東レが撤退したため、以前歯科医に推薦されたパナソニックのドルツにしました。

最新型ではないものの、軽くて機能の十分。

当分手で磨いていたのですが、歯磨き後のツルツル感はやっぱり音波歯ブラシです。

15000円近くした東レはもう昔、今では5000円台で購入できる点もいいですね。

音波振動ハブラシ ドルツ EW-DL2

 

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

供給過剰による価格競争が進む日本の食品業界ですが、アメリカのような動きは今後起こるのでしょうか。

起これば、大きなビジネスチャンスがあると思います。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

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