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【866号】ディスカウンター・ターゲットの食品売場改革のインパクト

target

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
Target Hires PetSmart Executive Anne Dament to Lead Grocery Revamp

 

 

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2)要約

ターゲットは、元食品スーパー幹部をヘッドハントし、食品売場の改革に乗り出そうとしている。具体的には、PB商品を増やし、有機・ヘルシー食品・地元商品の多い品揃えに変える。また、ヨーグルトやグラノーラなどの若者が好む6つのカテゴリーのゼロベースで見直す。

 

ターゲットが食品売場の改革に力を入れるのは、客数引き上げ、特に来店頻度の向上を目指しているからである。2008年にも来店頻度を高めるために食品売場を拡充したものの、景気後退により大型店の来店が減った。さらに、利益重視のため低価格衣料品を縮小したために、逆に客離れを起こした。

 

ただし、有機・生鮮食品や地元食品の売場を広げる一方で、大手食品メーカーが牛耳る加工食品売場を縮小しなければならない。収益にも寄与してきた大手食品メーカーとの緊張が高まるのは、必至とされる。

 

3)キーとなる英文

Ms. Dament will help implement Mr. Cornell’s plan for expanding private-label products in Target’s grocery aisles, adding more organic and gluten-free foods, localizing assortment and emphasizing categories that younger shoppers prefer.

 

4)キーとなる英文の和訳

ダーメント氏が実行を手伝うコーネル氏の計画とは、ターゲットの食品売り場でPB商品を拡充し、有機・グルテンフリー食品を増やし、地元色濃い品揃えに変え、若者が好むカテゴリーを強調することである。

 

5)気になる単語・表現

collegue 名詞 同僚
fallout 名詞 好ましくない結果
rollout 名詞 発売
stint 名詞 出し惜しみ;制限;仕事の期間
signature 名詞 固有の特徴;署名
lucrative 形容詞 利益の上がる
zero 自動詞 目盛をゼロに合わせる
skew 他動詞 ~をゆがめる;~を斜めにする

※記事全体から、重要単語をピックアップしました。

 

6)ビジネスのヒント

 

記事だけ読んでいると、ターゲットはあたかも食品主体の小売店のようなイメージを受けます。しかし、本当はディスカウンター。ウォルマートと同じ業態であり、個人的には、ウォルマートよりもおしゃれ・ファッショナブルというイメージがあります。特に、アパレルはデザイン重視。ちなみに、ターゲットの食品売場は、全体の20%超。アパレルや家庭用品よりも利益率は低いことから、利益への貢献度はそれ以下と思われます。

 

そのターゲットが食品売場の改革に力を入れています。その目的は、客数を引き上げるため。記事には書かれてありませんが、恐らくネット通販の影響をかなり受けているのでしょう。豊かな品揃えが魅力であった大型店は、完全にそのお株をネット通販に奪われているというのが現状でしょうか。逆に、大型店ゆえに買い物に時間が掛かるというデメリットが目立っているのかもしれません。一方のネット通販は、検索一つで欲しい商品にたどり着けますから。

 

話を戻し、ターゲットが特に目指すには、来店頻度の引き上げです。

 

客数=顧客数X来店頻度

 

と因数分解すれば、来店頻度を高めることは、客数を増やすことにつながります。来店頻度の引き上げに特に力を入れるのは、より儲かるから。記事によると、

 

既存顧客に年間でもう一回来店してもらえれば、一株あたりの利益額が1ドル増える

 

とされています。(もちろん、ターゲットの場合。)顧客数を増やすには、他チェーンから奪う必要があり、コストが掛かります。知らない人に売るには、お金が掛かるのです。一方、既存顧客にもう一度来店してもらうのは、そう難しいことではありません。来店したらいいことがあることを伝えればいいのです。知っている人に頼むのは、知らない人に頼むよりも、より簡単なのです。

 

食品が来店頻度向上につながるのは、毎日消費するものであり、購入機会の高い商材だから。だから、日本のドラッグストアも、菓子やインスタント食品などの食品を売るのですね。

 

ターゲットが行う食品売場改革をまとめると、次のようになります。

 

【ターゲットの食品売場改革まとめ】

  1. PB商品を増やす
  2. 有機商品・ヘルシー食品を増やす
  3. 地元商品を増やす
  4. 若者が好きなヨーグルト・グラノーラ・コーヒー・茶・ヘルシースナック・クラフトビールの売場を増やす

 

このメルマガでも何度も取り上げてきたので、詳しくは説明しませんが、要は消費者のヘルシー志向・ローカル志向に合わせるということです。有機食品・生鮮品・地元食品を増やすことにより、客単価向上にも寄与するのでしょう。少々高くても、ヘルシーで美味しければ売れるからです。

 

この食品売場改革で割を食うのが、大手食品メーカーの加工食品。日本にいると信じられませんが、シリアル・炭酸飲料・缶入りスープなどの加工食品は、本当に売上を落としているようです。簡便性よりもヘルシーニーズの方が消費者にとって高い価値を持つのでしょう。従来、これら大手食品メーカーの加工食品は、食品売場を支配していました。売場確保のために、販促費も相当負担していたと考えると、収益への寄与も大きかったと思います。消費者ニーズに合わせるために売場を縮小すれば、その”ビジネスモデル”が崩れかねません。記事にも記されていますが、今後ターゲットと大手食品メーカーの間に緊張が走ることは避けられないでしょう。

 

ターゲットの本当の狙いは、より利益率の高いアパレル品や家庭用品(雑貨や家具など)の販売拡大。そのためには、来店頻度引き上げに寄与する食品売場をより消費者ニーズに合ったものにする必要があるのです。大手NB商品の低価格販売から有機商品・ヘルシー商品・生鮮品などの高付加価値販売にシフトすれば、集客力が落ちる恐れがあります。それでも、優良顧客の来店頻度が高まれば、客単価向上と客数増により収益アップが図れます。ターゲットの施策が成功するかどうかは、食品の価格競争に悩む日本のスーパーにとっても、注目ではないでしょうか。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ディスカウンターのターゲットが食品売場改革に力を注ぐのは、来店頻度を高めるためである。顧客数を増やすよりも、収益への寄与度は高い。
  2. 具体的な方法は、PB商品の拡充、有機商品・ヘルシー食品・生鮮品売場を拡大、品揃えのローカル化、若者が好むカテゴリーの強調である。
  3. この売場改革の割を食うのが、売場を減らされる大手食品メーカーである。これまでは多額の販促費などにより、量販店の収益を支えていただけに、ビジネスモデルの転換を迫られるだろう。
  4. ターゲットは、食品売場改革で来店頻度を高め、より利益率の高いアパレル品や家庭用品の販売増を狙っている。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

ペットボトルのミネラルウォーターから卒業しました。

卒業というよりも、コスト削減が目的なのですが。

先日、浄水器のブリタを買ったのですが、これが実に便利。

浄水後の水が残っていても、追加ですぐに浄水できます。

しかも、カートリッジ代だけでボトルを買えたので、ボトルはほぼタダ。(今も同じ価格かは知りませんが。)

是非一度、楽天のエディオンを調べてください。

ブリタのお陰で、ペットボトルのゴミも減って、幸せです。

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

ターゲットが食品販売に力を入れるのは、CEOが食品業界出身者ということもあるでしょう。

その元同僚を食品売場改革のトップとして、ヘッドハントしたようです。

そう言えば、この前ターゲットに行ったのは、もう15年以上も前のこと。

相当変わっているのでしょうね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

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