【880号】ディズニーが発売するIot玩具・プレイメーションの狙いとリスク

JD Hancock

◎本日のニュース

1)見出し
Disney Bets Big on Wearable, Web-Connected Toy Line

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

（サイトへの掲載は、翌日以降です。）

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。（もちろん無料です。）

2)要約

ディズニー社は、ネットにつながったウェアラブル玩具の開発を進めている。プレイメーションという名前で、独自技術を使ったエコシステムで、ユーザーである子供を囲い込む狙いがある。

従来、ディズニーは、キャラクターを他社にライセンス許与し、サードパーティとの提携・管理のみを行っていた。しかし、プレイメーションでは、技術開発から独自で行い、マーケティングの大部分も自社で行う。成功すれば、本体だけではなく、付属品・ダウンロードできる新ゲームの販売につなげることができる。

子供を持つ父兄に対しては、画面の前でじっと見るだけではなく、動いて遊べる点をアピールする。ただし、価格は決して安くはない。

3）キーとなる英文

Walt Disney Co. is developing a line of wearable, Internet-connected toys that it hopes will draw children into a new technological ecosystem—and keep them there.

4）キーとなる英文の和訳

ディズニー社が開発しているのは、身に付けられ、インターネットにつながった玩具シリーズである。

これにより、子供を新しい技術のエコシステムに導く、留まらせることを期待している。

5）気になる単語・表現

don	他動詞	～を着用する
fist	名詞	指
execute	他動詞	～を実行する
mission	名詞	使節団；伝導；使命
proprietary	形容詞	私有財産として所有される
one-off	形容詞句	一回限りの
elaborate	形容詞	手の込んだ
infrared	形容詞句	赤外線の
radio frequency	名詞	ラジオ周波数

（今回ピックアップ英単語）

【elaborate】

（英英）very complicated and detailed; carefully prepared and organized

（類義語）「苦心の」diligent, labored

「精巧な」delicate, sophisticated

「精密な」precise, exact, delicate, accurate, strict

「緻密な」close, minute

「不備」imperfection, kink

（専門用語）

「日程を立案する」elaborate a programme

6)ビジネスのヒント

ディズニーが発売するプレイメーションは、サイトに掲載されている画像を見てもらえれば一番わかりやすいですが、腕につけて人形に向けて撃って遊ぶ玩具。この説明だけでは、これまでにも存在したおもちゃのようですが、ネットにつながっているというのが一番の違い。所謂、Iot(インターネットオブシングス)の玩具なのです。

【プレイメーションの特徴】

専用の人形や他の本体と交流して遊ぶ
ネットにつながっているので、新しいゲームなどをダウンロードできる。
他社の玩具と互換性のないエコシステム

従来型玩具との違いで言えば、2のネットとつながっていること、3のエコシステムという点。ディズニーにとって一番重要なのは3であり、本体売り切り型の玩具ではなく、プレイメーションというエコシステムを販売することにより、ユーザーである子供を囲い込むことが可能になります。

商品開発・マーケティングという点でも、ディズニーの従来型の玩具とは異なります。

【ディズニーにおける従来型玩具とプレイメーションの違い】

[従来型]他社のライセンス供与で、提携とライセンス管理のみ実施。売り切り型。

[プレイメーション]技術開発から自社で実施。マーケティングの大半も自社で行う。付属品・ダウンロードできる新ゲーム販売につなげることができる。

プレイメーションでは、技術開発から自社で行っており、ディズニーがリスクを負っていることがわかります。開発するのに、3年も掛かったようです。そして、今年10月に第一弾のアイアンマン・グローブを発売します。

プレイメーションの狙いをまとめると、次のようになります。

【ディズニーが期待するプレイメーションの狙い】

エコシステムにより、ユーザーを囲い込む、付属品・ダウンロード型新ゲームを販売を通じて、収益を拡大する

ただし、リスクも存在します。

【プレイメーションのリスク】

決して安くはない価格設定のため、父兄からされる恐れがある
シームレスに使えなければ、子供からそっぽを向かれる恐れがある
自社開発・自社販売のため、売れ残りリスクがある

1について、本体のスターターパックが120ドルで、アクセサリー（付属品）は15ドルから。玩具であるものの、新技術を採用した商品だけあって、割高な価格設定です。父兄が価値を見出さなければ、販売に苦戦する恐れがあります。

2 について、コスト面・安全性から、wifi・カメラなどより精密な機能の採用を見送りました。これにより、子供にとって違和感なく機器同士が作用するかどうか、販売してみなければわかりません。ちなみに、相互作用には、赤外線とラジオ周波数を使い、ダウンロードには、他のwifi機器が必要となり、ダウンロードしたソフトはブルートゥースを通じて本体に移すようです。

ライセンス供与により提携企業から玩具を販売していた時代は、玩具をキャラクターのロイヤルティ向上の手段として活用していたと言えるでしょう。しかし、プレイメーションは、技術開発から自社で担い、そのエコシステムを活用して収益拡大を狙っています。ディズニー社は、プレイメーションにより、玩具事業をビジネスとして本格展開する意気込みのようです。

Playmation

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

《今回のヒントのまとめ》

ディズニーが、プレイメーションの発売で狙っているのは、エコシステムによるユーザーである子供の囲い込みである。他社と互換性がないことで、本体のみならず、付属品・新ゲームの販売により、収益を拡大できる。
ただし、リスクもある。安くはない価格設定で父兄から敬遠されるリスク、シームレスに作用せず子供がそっぽを向くリスク、不良在庫リスクである。
従来の玩具は、提携企業へライセンス供与し、提携とライセンス管理のみを行っていた。商品開発・マーケティングは提携企業が担っていた。
プレイメーションでは、技術開発から携わり、大半のマーケティングも自社で行う。
キャラクターのロイヤルティ向上のための玩具事業が、収益拡大を目指すビジネスに転換したと言えるだろう。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊