【895号】エッティ・エアビーアンドビーなどマイクロコマースの利点と欠点

Scott Beale

◎本日のニュース

1)見出し
At Etsy, 86% of Sellers Are Female

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2)要約

手作り品のマーケットプライスを提供するエッティ社の発表したリポートによると、販売者の特徴は、86％が女性で、他に主要な収入源を持つという。つまり雇用がフルタイムの正規雇用からシフトし、複数の収入源を持つ人が増えていることを示す。

エッティなどのプラットフォームを利用すれば、柔軟な勤務や独立性、起業ハードルの低下などのベネフィットが得られる。一方で、取引成立を急ぐあまり、安全性や収入の安定性、雇用の保証がないがしろにされやすいという批判もある。

起業は、これまで雇用創出の起爆剤として歓迎されてきた。しかし、プラットフォームを利用したマイクロ起業家は、自分の収入を最大化するために大部分が一人で運営し、雇用創出に寄与しにくい。

3）キーとなる英文

For the rest, sales offer supplemental income, another feature of the app economy—it has allowed perhaps millions of Americans to find fractional employment, in which people earn extra money if and when they need it.

4）キーとなる英文の和訳

残りにとっては、売上は補完的な収入となり、これはアプリ経済の別の特徴と言える。

アプリを使うことで、恐らく何百万ものアメリカ人が断片的な雇用を見つけることが出来た。

その雇用は、必要ならば、余分に稼げる機会となる。

5）気になる単語・表現

involvement	名詞	巻き込まれること、かかわりあい
supplement	名詞	補足；増刊号
feature	名詞	特徴、特色；買おの造作；顔立ち
fractional	形容詞	小部分の、断片的な；わずかな
median	名詞	中央
chauffeur	名詞	お抱え運転手
hasten	他動詞	～を急がせる
come with	自動詞句	～に付属する；～を伴う
breed	名詞	種類；品種

（今回ピックアップ英単語）

Involve

「～を必ず含む、～を必要とする」（通例進行形不可）

His new job involve a lot of travel.

「彼の今度の仕事はかなり旅行を伴うものだ。」

This assignment will involve you living abroad.

「この仕事につくと君は海外に住む必要が生じるだろう」

「（事が）（人）を［議論・事件などに］巻き込む、巻き添えにする」

Be involved in an accident.

「事故に巻き込まれる」

The topic involved her in the argument.

「その話題のために彼女は議論に巻き込まれた」

［ニュアンス］

「重要」「必要」「結果」「（犯罪など）巻き込まれる（参加）」「影響」という意味合いがある。

［類義語］

「参加する」 take part in, participate, go in for, join

「携わる」 engage, go in for

「伴う」「付随する」 accompany, attend, carry, attendant

「熱中する（させる）」 absorb, drown, apply, be caught up in

「含む」 imply, connote

「没頭する（させる）」 absorb, engross, be immersed in, immerse oneself in, devote, bury

「巻き込む、巻き込ませる、関与させる」 be caught in, get O into trouble, mix up

6)ビジネスのヒント

タイトルは、

「エッティでは、売り手の86％が女性」

というもので、エッティなど売買プラットフォームの売り手の属性が述べられています。そこから、マイクロ起業家の利点・欠点に繋げられています。いきなり結論になりますが、アメリカでは、売買プラットフォームを活用して副業する人が相当増えているようです。その延長線上に起業があり、起業のハードルが相当下がっているのです。

アンケート結果やその他リポートが取り上げられているのは、エッティとウーバー。エッティは手作り品の売買プラットフォームであり、ウーバーは配車依頼者と運転手をマッチングさせるプラットフォームです。これらは、売買できるマーケットプレイスであり、個人による通販サイト、つまりマイクロコマースと呼ぶことができます。

まずは、マイクロコマースの利点について。一言で言えば、簡単に副業ができるということになります。

【マイクロコマースの利点】

柔軟な収入源を得られる（別に主要収入源あり）
追加収入になるので、年収が増える→消費増？
起業・独立がしやすくなる

1 について、プラットフォーム上の売り手が一番優先するのが、その柔軟性です。柔軟性とは、小遣いが欲しい時に、気軽に仕事ができるという意味。だから、オンデマンドワーカー（必要な時に仕事をする人）と呼ばれるのです。オンデマンドワーカーの75％が、サービス収入額よりも柔軟性で仕事を選ぶようです。

2 について、副業としてプラットフォームを利用する人が大半なので、その分年収は増えます。例えば、エッティでは、売り手の家計収入の中央値は56180ドルであり、全人口の年収中央値よりも少し上とのこと。通常の仕事を持った上で、プラットフォーム上で販売しているのです。

3について、スマホをタップ・フリックするだけで仕事にありつけ、これまでの銀行との交渉や大きな初期投資も不要。つまり、起業・独立のハードルが大きく下がったことになります。

一方で、ユーザーにとっても「オンデマンド」なサービスなゆえに、欠点もあります。

【マイクロコマースの欠点】

取引成立を優先するあまり、安全性・収入の安定性・保証が疎かになりやすい
個人運営がほとんどのため、雇用創出につながりにくい

1は、柔軟な雇用がもたらす欠点と言えるでしょう。決まった仕事量をこなす必要がないために、安全性が不安であり、また一方で売り手にとっては収入面で不安定になります。もちろん、正規雇用と違って、雇用保険などの保証はありません。

2は、経済全体での欠点。従来、起業は雇用を創出する力があるので、自治体は促進してきました。しかし、個人運営が主体のマイクロコマースの場合は、雇用創出は期待できません。従業員を雇って規模を拡大する人は少なく、副業の延長線上の人がほとんどだからです。

ちなみに、記事で掲載されていたマイクロコマースの売り手調査をまとめると、次のようになります。

【マイクロコマースの売り手の特徴】

最終学歴が大学卒業（エッティ）
別に主要収入源あり（エッティ）
86％が女性（エッティ）
正規雇用だけの人よりも年収は多い（エッティ、ウーバー）
75％が柔軟性で仕事を選ぶ（その他）
仕事の少なさ・報酬の低さに不満を持つ（その他）
有給の従業員を持つのは5％だけ（その他）

※「その他」とは調査機関による調査、企業名はその企業による調査

日本でも同様の変化が起きているのではないでしょうか。その立役者は、オークションサイト・フリマアプリ。さらに、クラウドソーシングもサービス提供企業が増えてきました。副業規制の緩和・廃止が進めば、一気に副業するのが当たり前の時代が来るかもしれません。副業がその人の能力・信用を高めることを証明できれば、副業がより有利な転職を促すようになるかもしれません。日本人の職業観も、相当変化するかもしれませんね。

Etsy

Uber

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《今回のヒントのまとめ》