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【909号】ペプシコがソーダストリームとの提携を強化する理由

sodastream

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
PepsiCo Expands Soda Partnership With Home Carbonation Maker SodaStream

 

 

 

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2)要約

ペプシコ社は、家庭用ソーダ水メーカーのソーダストリーム社との提携を強化する。具体的には、ペプシとシエラミストブランドのソーダストリーム用キャップを、ソーダストリームの通販サイトとベッド・バス・アンド・ビヨンドの全米約50店舗で販売する。

 

この背景に、競合企業の動きがある。ポッド型コーヒーメーカーのキューリグ・グリーン・マウンテン社が、今年秋にコカ・コーラ社とドクターペッパー・スナップルグループ社のポッドが使える家庭用コールドドリンクマシーンを発売する。ペプシコ社とソーダストリーム社の提携強化は、これへの対抗の意味がある。

 

また、全米の炭酸飲料販売数量は10年連続で減少している。これは、消費者のヘルシー志向から、甘いドリンクからペットボトル入り飲料水にシフトしているからである。ホームメイドソーダに対応することで、炭酸飲料の需要回復を目指す。

 

3)キーとなる英文

PepsiCo Inc. is deepening its U.S. distribution deal with home-carbonation company SodaStream International Ltd. , as the cola wars head to the kitchen counter.

 

4)キーとなる英文の和訳

ペプシコ社は、全米の流通面で、家庭用炭酸企業のソーダストリーム・インターナショナル社との提携を深めようとしている。

その結果、コーラ戦争がキッチンカウンターにまで広がるようだ。

 

5)気になる単語・表現

late 形容詞 終わりごろの、後半の
buoy 他動詞 ~を高める;(市場)を活気づかせる;~を浮かせる
fizzle 自動詞 (最初はうまくいくが)失敗に終わる;(飲み物などが)かすかにシューシューと音を立てる
ounce 名詞 オンス(液体は30ml)
at stake 副詞句 危険にさらされて;賭けられて
cold 形容詞 がっかりさせる、面白みがない
exotic 形容詞 珍しい

 

(今回ピックアップ英単語)

【fizzle】

 

(解説)

あまり良い意味では使われない。名詞では「失敗、どじ、へま」「シューシューという音」という意味がある。ちなみに、日本語の「フィズル」は、核弾頭が核爆発をすることに失敗したり、核爆発が不完全な場合を指す用語。

6)ビジネスのヒント

ペプシコ社とソーダストリーム社との提携強化とは、ペプシ・シエラミストブランドのキャップを本格的に販売するということです。キャップとは、ソーダストリームに使うシロップのこと。昨年後半にフロリダの小型店でテスト販売をしていたので、これが売れたから本格販売に踏み切ったのでしょう。販売所は、ソーダストリームの通販サイトとベッド・バス・アンド・ビヨンドの全米約50店舗。GMSやスーパーで販売しないのは、採用されなかったのか、それともそもそも値下げされかねない販路を選択しなかったのは、わかりません。興味深いのは、ベッド・バス・アンド・ビヨンドという雑貨店を選んだということ。ソーダストリームの主要な販売ルートなのでしょうか。

 

要約にも示したように、この提携強化の背景には、ライバル企業の追随があります。コーヒーメーカーのキューリグ社が、コールドドリンクマシーンを今秋発売しに、それに合わせてコカ・コーラ社とドクターペッパー・スナップル社のブランドのポッドを発売するようです。ペプシコからすれば、せっかく進出を狙ったホームメイドソーダ市場を、コカ・コーラ社やドクターペッパー・スナップル社に奪われかねません。もっと深刻なのは、ソーダストリーム社の方。ほぼ独占だったホームメイドソーダメーカー市場に、ポッド型コーヒーメーカー大手のキューリグ社が参入することで、シェアを大きく失う恐れがあるのです。そう考えると、フロリダでのテスト販売の結果は、あまり関係ないとも言えるでしょう。コーラ戦争が、ついにホームメイドソーダ市場でも繰り広げられることになるのです。

 

何度かこのメルマガでも取り上げましたが、炭酸飲料メーカーがホームメイドソーダ市場を目指す背景には、アメリカにおける炭酸飲料販売量の減少があります。なんと、10年連続で減少しているのです。これはヒット商品の有無というミクロの問題ではなく、構造的な問題。だから、ソーダ大手は、新市場への進出を決めたのです。

 

さらに、ペプシコ独自の理由もあります。それは、失われたシェアの回復です。2005年比2014年のペプシブランドの販売数量は、約35%も減少。一方、コークブランドは約18%の減少なので、消費者の炭酸離れの中でペプシがシェアを落としていることがわかります。ソーダストリーム用のフレーバーを投入することで、自分好みのソーダを飲みたい消費者を獲得できるのです。

 

一方でソーダストリームにも、競合対策以外に、ペプシコとの提携を強化する狙いがあります。それは、急減した売上の回復です。今年前半の売上金額が、前年比でなんと27%も減少して、1億9020万ドルにまで落ち込んだようです。特に、全米での落ち込みはひどく、大手小売店での販売不振や、有名炭酸ブランドとの提携失敗があるようです。単に、自宅で自分好みのソーダが作れるというだけでは、売れないということですね。ペプシとシエラミストは誰でも知っている炭酸ブランドなので、ソーダストリームの販売には大きく寄与しそうです。

 

ペプシコとソーダストリーム社の提携強化の狙いをまとめると、次のようになります。

 

【ペプシコとソーダストリーム社の提携強化の狙い】

(ペプシコ)新市場参入による新規顧客獲得でシェア回復を狙う=客数増

(ソーダストリーム)有名ブランドの投入で、売上回復を狙う=客数増

 

ソーダストリームユーザーは、少々お金が掛かっても自分好みの炭酸飲料を飲みたい消費者なので、価格よりも品質を重視するはず。ならば、ソーダストリームユーザーを獲得することによって、ペプシコは、将来高単価・高付加価値の商品を投入することも可能になるのです。単価を引き上げることによって、たとえ販売数量の減少が続いても、売上は伸ばせることになります。

 

逆に、ソーダストリームは、ペプシブランドの投入することで、ペプシファンの獲得が可能となり、顧客数の拡大につながります。

 

WSJの記事には、両社の他の施策も紹介されているので、まとめておきます。

 

【ペプシコのシェア拡大策】

  1. アスパルテーム不使用のダイエット・ペプシ発売→ヘルシー志向の消費者の獲得
  2. 珍しいフレーバーのソーダが作れるスタボーン・ソーダの投入→話題性・新規性重視の若者の獲得
  3. クラフトソーダの投入→手作り・希少性を好む消費者の獲得

【ソーダストリーム社の売上回復策】

  1. 「スパークリングウォーター製造機」としてリブランド→ヘルシー志向の消費者の獲得
  2. 炭酸シリンダーの回収・デリバリーサービスの開始(予定)→利便性を重視する消費者の獲得
  3. ミックスマシンの投入(予定)→非炭酸のホームメイドという新市場への進出

 

ちなみに、ソーダストリームの3は、あらゆる液体をソーダにできる「ミックス」を来年第二四半期に、冷たい飲料と熱い飲料をミックスできる「ウルティマット」を来年第三四半期に発売するようです。

 

気になる値段ですが、ソーダストリーム社とキューリグ社を比較すると、次のようになります。

 

【ペプシのソーダストリームとコークのキューリグの価格】

(ペプシ・ソーダストリーム陣営)

フレーバーキャップ→500ml用で4個パック3.49ドル(500mlあたり約87セント)

ソーダストリーム本体(炭酸シリンダーは別売り)→80~200ドル

(コーク・キューリグ陣営)

ポッド→240ml用で1ドルから(500mlあたり2.08ドル)

コールド版キューリグ「コールド」の本体(炭酸シリンダー不要)→300ドル以上

 

500mlあたりのフレーバー価格だけ見ると、ペプシ・ソーダストリーム陣営の方がかなり割安。ただし、コーク・キューリグ陣営は、炭酸シリンダー不要というメリットがあります。価格はそう変わらないのではないでしょうか。

 

炭酸飲料の顧客獲得が期待できるホームメイドソーダ市場ですが、課題もあります。

 

【ホームメイドソーダの課題】

  1. 飲むまでに約45秒かかる(缶・ペットボトルの場合は開栓の約3秒だけ)
  2. 味が缶・ペットボトルと違う

 

1について、カスタマイズを楽しむためには、時短という利便性は犠牲になるようです。よって、時間に余裕のある週末ユースと考えた方が良さそうです。2について、本当のペプシファンは、味の違いに耐えられないかもしれません。逆に言えば、ヘビーユーザーが既成品からホームメイドにシフトすることを回避できるので、これはメリットとも言えます。

 

いずれにしても、コーラ製品は、単に缶やペットボトルの販路拡大や値下げ・フレーバー投入だけでは、需要を増やすことのできない成熟商品なのです。その成熟商品がホームメイド市場で需要を喚起できれば、他の成熟商品にもこのやり方を適用できるのではないでしょうか。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ペプシコ社がソーダストリーム社との提携を強化する背景には、炭酸飲料市場の10年にわたる縮小がある。
  2. また、競合のコカ・コーラ社がキューリグ社のコールドメーカーで、ホームメイドソーダ市場に参入することへの対抗の意味もある。
  3. ペプシコ社独自の理由は、失ったシェア回復である。ホームメイドソーダ市場に参入することで、新規顧客、特に価格よりも品質重視の優良顧客獲得につながる。
  4. 一方のソーダストリーム社は、量販店での販売不振や有名ブランドとの提携失敗により急減した売上回復を狙う。誰でも知っているペプシブランドのキャップ投入により、ホームメイドソーダ市場の拡大が期待できる。
  5. 販路拡大や値下げでは需要を喚起できない炭酸飲料は、成熟商品の最たるもの。ホームメイド市場で需要を喚起できれば、他の成熟商品にも同様の方法が適用できるのではないか。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

久しぶりに自己啓発本を読みました。

ユダヤ人の99歳実業家が、孫に教えた成功の手引。

これが、意外に学べる点が多かったのです。

この手の自己啓発本は、すでに知っている理論・思想の焼きまわしが多く、大抵目次だけ読んで終わりですが、この本は再度読みたくなったほど。

ちなみに、一番重要と感じたのは、

「今の時代で一番お金が儲かる仕事」と「自分が100%情熱を捧げることのできる仕事」という2つの視点で、世界を観る

という箇所です。

全体に通じて言える点は、本当に元気が出る本ということ。

落ち込んでいる人・時にぴったりでしょう。

「99歳のユダヤのスーパー実業家が孫に伝えた、無一文から大きなお金と成功を手に入れる習慣」

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

優勝しそうにない阪神タイガース。

チーム防御率・打率などチーム成績だけを見ると、Bクラスでもおかしくない成績です。

今年は奇跡なのです。

できれば、最後まで奇跡を見せて欲しい。

そうなれば、また10年に及ぶ暗黒時代を乗り切れますから。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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