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【936号】高級レストランのファストカジュアル参入が増える理由とは?

NYC - Eleven Madison Park

◎本日のニュース

1)見出し

Eleven Madison Park Owners Plan a Fast-Casual Restaurant Called Made Nice

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2)要約

ニューヨークの高級レストラン、イレブン・マディソン・パークのオーナーが、ファストカジュアル業態を始める。メイド・ナイスという屋号で、旬の野菜・穀物・タンパクなどのセットを10~15ドルで提供する。ただし、多店舗展開を目指さない。

このような高級レストランのファストカジュアルへの参入が増えている。この背景には、コスト優先の旧来型のファストフードチェーンが客離れを起こし、逆に倫理的な経営や情報開示に積極的なファストカジュアルに消費者の支持が集まっていることがある。

また、利益率が高級レストランよりもファストカジュアルの方が高いことも、レストランオーナーの興味を引いている。ファストカジュアルの成功事例となったチポトレの功績も大きい。

3)キーとなる英文

In the past year alone, a slew of chefs known for singular technique and lavish, multicourse meals have entered the fast-food fray

4)キーとなる英文の和訳

過去一年だけを見ると、並外れた技術や豪華で多数のコース料理で名のしれたシェフの多くが、ファストフード市場に参入しました。

5)気になる単語・表現

reinvent 他動詞 ~を再発明する
sprawling 形容詞 無秩序な
starch 名詞 デンプンを多く含んだ料理
stoneware 名詞 せっ器(陶器の一種)
pipe 自動詞 演奏する
rig 他動詞 ~を着(飾)る;~を人為的に操作する
distinction 名詞 区別;相違
underscore 他動詞 ~を強調する=underline
seismic 形容詞 とても影響の大きい
ethos 名詞 特性、精神
execution 名詞 実行
source 他動詞 ~の供給源を見つける
prominence 名詞 目立つこと
spearhead 他動詞 ~の先頭に立つ
reap 他動詞 ~を(結果として)受ける
a slew of 名詞句 たくさんの
singular 形容詞 並外れた
fray 名詞 口論;けんか
lavish 形容詞 豪華な;豊富な
muiti 形容詞 多くの
fantastic 形容詞 ずばらしい
subsidize 他動詞 ~に助成金を与える
proliferate 自動詞 激増する
odd 形容詞 (数字の後で)あまりの
hinder 他動詞 ~を妨げる
pedigree 名詞 経歴;家系
amass 他動詞 ~を集める
paradigm 名詞 パラダイム;模範
leap 名詞 大躍進
rethermalize 他動詞 再加熱する
immune 形容詞 免疫のある
quandary 名詞 困惑
mock 他動詞 ~をあざける、~をばかにする
prescient 形容詞 先見の明がある
embrace 他動詞 ~に喜んで応じる;~を採用する
impeccable 形容詞 欠点のない

(今回ピックアップ英単語)

【proliferate】

(意味)

自動詞・他動詞ともあり、「激増する(させる)」「(動物などが)繁殖する(させる)」。

(英英)

to increase rapidly in number or amount

(その他)

「急激に」というニュアンスが入ることに注意。

6)ビジネスのヒント

今 回も、「万物の未来(the future of everything)」コーナーから。前回も取り上げたのですが、ライフ(生活)面ということもあり、具体的な事例が満載な反面、英文が極端に長いの で、ビジネスのヒント・要素を端的に取り上げます。詳しく知りたい人は、原文を読むか、私に質問してください。

今回は、アメリカのファストカジュアル市場についての話題。高級レストランのファストカジュアルへの参入が増えているようです。そもそも、

ファストカジュアル=フルサービスレストランの料理をセルフスタイルで提供する(フルサービスの料理+ファストフードの仕組み)

と いう公式が成り立ちます。今回注目するのは、「高級レストラン」の参入が「増えている」ということです。日本ではモスバーガーぐらいしか成立していない ファストカジュアルはなく、なかなかイメージしづらいのですが、アメリカでは急速に市場を拡大しています。その割を食っているのが、マクドナルドなどの旧 来型ファストフードチェーン。

【ファストカジュアルの拡大と割を食う旧来型ファストフードチェーン】

  1. アメリカのファストフード市場=約2000億ドル

(ファストカジュアル)

  1. ファストカジュアル=全体の約10%(約200億ドル)
  2. ファストカジュアルは過去15年間でシェアを5倍以上に拡大

(マクドナルド全米)

  1. 2002年に初めて四半期ベースで純損失に転落
  2. 7四半期連続で減収
  3. 2015年は初めて店舗数が純減

勢力を拡大して既存プレーヤーのシェアを奪うファストカジュアル。だからこそ、高級レストランもその成長市場への参入を目指すのですが、それ以外にも理由があります。

【高級レストランのファストカジュアルへの参入が増えている理由】

  1. 高級レストランよりもずっと利益率が高いから(1桁%⇔30%)
  2. 成功したチポトレが、高級レストランの料理をファストフードスタイルで提供するモデルを開発してくれたから
  3. ファストカジュアルの成功事例の増加で、資金調達が容易になったから
  4. 食べ物に対する情報開示や倫理的な企業姿勢を求める消費者ニーズが強くなったから

1 について、単により儲かるからファストカジュアルに参入するのではありません。その儲けを高級レストランの維持に役立てるためです。つまり、メインは高級 レストランであり、ファストカジュアルはサブ。参入する高級レストランオーナーの多くが、シェフということもあるでしょう。だから、FC展開による規模拡 大を目指すのではなく、自分の理想・情熱の方が大事なのです。ちなみに、利益率が30%なのは、シェイクシャックです。

2について、ファストカジュアルの成功事例の最たるものは、チポトレメキシカングリル。 創業時は、高級レストランの開業資金集めのためにファストフードを始めたようです。これは驚きですね。そのブリトーがヒットした時に、高級レストランの料 理をファストフードスタイルで提供するモデルを作り出したとされています。このモデルを使えば、高級レストランのファストフード(カジュアル)参入障壁は 一気に下がります。

3について、そもそも初期投資の大きなレストランビジネスだから、開店時の資金調達は重要な経営項目。これについては、ファストカジュアルの豊富な成功事例が、金融機関の融資姿勢を緩めてくれます。

4 について、消費者ニーズの変化は、ファストカジュアルの盛況の大きな要因。逆に言えば、旧来型のファストフードチェーンの没落要因でもあります。要は、消 費者の関心が、価格よりも価値にシフトしたということ。価値と言っても、ただ美味しいだけではありません。倫理的な食材調達手法や原材料などの情報開示姿 勢など、企業の経営姿勢そのものです。一方で、旧来型のチェーンが優先するのは、コスト。店舗拡大により低コスト化・低価格を目指すチェーンストア理論そ のものですね。これまでは、それが消費者の価格重視姿勢に沿っていましたが、価値優先になった今では全く消費者ニーズとはそぐわないものになりました。だ から、シェアをファストカジュアルに奪われているのです。

面白いのは、旧来型チェーンがその経営資源ゆえに、消費者ニーズに対応しづらいということ。つまり、消費者ニーズの変化には十分気づいているのですが、それになかなか対応できないというわけです。

【旧来型ファストフードチェーンが倫理重視・情報開示重視の消費者ニーズに対応出来ない理由】

店舗数など規模が大きすぎるから→消費者ニーズに合う仕入れをその規模に沿って行えないから

例 えば、全米のマクドナルドは、約14000店舗余りあります。その全ての店舗で、放し飼いで育てた鶏の卵を使うとなると、必要量を確保するのに最低でも 10年は掛かるのです。同様に、抗生物質を使わない鶏肉に完全に切り替えるのには、2017年3月まで掛かるとされています。一方で、高級レストランの ファストカジュアルは、その規模が小さいが故に、消費者ニーズに合った食材に随時変更できるのです。従来では強みであった規模の大きさが、今では弱みに転 換したと言えるでしょう。

記事で紹介されている大手ファストカジュアルは、チポトレとシェイクシャック。 いずれも、倫理的仕入れ方針や情報開示が人気を読んでいますが、課題があるのも事実。記事で取り上げられているのは、チポトレで起こった食中毒(大腸菌) です。この要因は、保存料の少ない食材を使用していたから。規模が小さければ、食材の保管・使用方法を管理できますが、規模が大きくなると、その管理が行 き届かないことが出てきます。今回は、それが食中毒に発展しました。

規模拡大を重視しないと言っても、ブランドがヒットすれば出店要請が増えていき、結果的に多店舗展開に発展します。多店舗展開しても、従来の倫理的企業活動・情報開示といって企業姿勢を維持できるか。これが、そのブランドの成否を分けるのではないでしょうか。

株 式情報を果たしたチポトレやシェイクシャックは、規模拡大を避けることはできないでしょう。実際、チポトレの創業者兼CEOのエルス氏は、あらゆる料理 を”チポトレ方式”(ファストカジュアル業態)で出店することで、規模でマクドナルドを超えることを明言しています。一方で、高級レストランオーナーが開 発するファストカジュアルは、規模拡大を目指さない独立店舗型。ファストカジュアルで、収益拡大と見込み客の開拓を目指し、本丸の高級レストランへの誘客 を狙っていると言えるでしょう。

日本でも、高級レストランの入門編として、有名シェフによるファストカジュアルが増えるかもしれません。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 高級レストランのファストカジュアル参入が増えるのは、利益率が相対的に高く、チポトレの開発したモデルが参入障壁を低くし、さらに成功事例の増加により資金調達が容易になったからである。
  2. また、消費者ニーズの変化に対応する意味もある。価格よりも倫理的行動や情報開示などの企業姿勢を重視する消費者が増えたことで、マクドナルドなどの旧来型ファストフードチェーンからシェアを奪えるチャンスが広がっている。
  3. 旧来型チェーンも、消費者ニーズの変化に気づくが、その規模の大きさゆえに、仕入れ面で迅速に対応できない。規模の大きさが、強みから弱みに転換している。
  4. ただし、人気ゆえに規模が拡大すれば、大量調理に向かない食材の保管不手際から、食中毒が起こる恐れがある。
  5. 高級レストランのファストカジュアル業態は、収益獲得と見込み客の開拓に貢献するだろう。その新規開拓顧客を高級レストランに誘客すれば、高級レストランの収益拡大にもつながる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

コストコで買ったゆずポン酢が、最高によかった。

これまでは、ミツカンの業務用ゆずポン酢を使っていたのですが、今回は少し割高の寺岡の牡蠣だし入りゆずポン酢を購入。

割高とは言っても、さすがコストコだけあって、家庭用のゆずポン酢よりは割安ですよ。

瓶入りで高級感のあるデザインは、開封すると、ゆずの強烈な香りに襲われます。

どんだけゆず入れるねんと、思うほどで、その香りを嗅ぐだけで、幸せな気分になるほど。

水炊きの後の雑炊に少し垂らすと、別の料理になったかと思うほどの美味しさでした。

家庭用もあるようなので、ゆず好きの人は是非。

寺岡家の牡蠣だし柚子ぽんず

楽天市場でも売っていますよ。

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

体調の悪さが継続。

口内炎にも悩んでいます。

ネットで調べると、舌癌の恐れもあるとか。

治りに時間が掛かれば、歯科に相談した方がいいでしょうね。

これだけ体調がすぐれないと、私にとっての今年の漢字は「病」でいいでしょう。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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