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【942号】直販を強化する米ナイキ、それに怯える中小スポーツ店

Nike Store Canada

 

◎本日のニュース

1)見出し

Sportswear Stores Struggle in Race to Reach Consumers

 

 

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2)要約

スポーツ用品最大手の米ナイキ社は、改めて消費者直販を強化する。直近四半期では、ナイキドットコムの売上は50%上昇し、直販全体でも26%増加した。売上増加率では、卸売よりも直販の方が高い。

 

これを恐れるのは、中小スポーツ専門店である。既に、ネット通販の拡大や大手専門店の大規模化という逆風に直面しており、苦痛の種がさらに増えることになる。メーカーが直販を強化すれば、専門店と顧客の関わりが薄れ、ロイヤルティ低下を起こしかねない。

 

実際、中小スポーツ店の中には、倒産・事業清算する企業まで生じている。大手量販店やネット通販専業との差別化が急務である。

 

3)キーとなる英文

Nike Inc. ’s business is booming but mom-and-pop sneaker shops find little reason to cheer.

 

4)キーとなる英文の和訳

ナイキ社の事業は拡大しているが、中小のスニーカー専門店にはそれを喜ぶ理由はあまりにあい。

 

5)気になる単語・表現

struggle with 自動詞句 ~に取り組む;もがく
toe-to-toe 形容詞句 一対一の、直接対決の
gill 名詞 えら
underscore 他動詞 ~を強調する=underline
demise 名詞 消滅

 

(今回ピックアップ英単語)

[struggle]

(意味)

「(自由になろうとして)もがく、あがく、じたばたする」「(逃れようとして)闘う、取り組む(物に対してはwith、人に対してはagainst)」「苦労して進む(to, through, in)」「(努力したにもかかわらず)失敗しようとしている、つぶれようとしている(進行形で)」

(英英)

try very hard to do something when it is difficult or when there are a lot of problems

move somewhere or do something with difficulty

fight against somebody/something in order to prevent a bad situation or result

fight somebody or try to get away from them

compete or argue with somebody, especially in order to get something

(メモ)

difficultやbad・hardなシチュエーションで、何かに取り組む時に使われる。

面白いのは、失敗した時にも使うこと。(この使い方はまだ見たことないですが)

 

 

6)ビジネスのヒント

好業績の米ナイキ社ですが、それを牽引するのが消費者直販。まだ卸主体ですが、売上成長率では、直販の方が高いようです。その直販の中でも、高成長を遂げているのがナイキドットコムというネット通販。新たな直販強化策は、ネット通販強化なのは間違いないでしょう。

 

ナイキが直販を強化する理由は、収益にプラスに働くからに他なりません。

 

【ナイキが直販事業を強化する理由】

  1. 直販の方が、変化の激しいファッショントレンドに対応しやすいから
  2. 事前注文主体の卸売事業は、在庫増を招くから
  3. ブランドロイヤルティを高めやすいから

 

1について、スポーツ用品なのに、なぜファッショントレンドと関係するのかから説明しましょう。アメリカのみならず世界でブームになっているのが、アスリージャー(athleisure)。その単語からもわかるように、スポーツ用品がファッションアイテムとして消費されているのです。だから、ナイキもファッショントレンドの急速な変化に対応する必要があります。

 

2について、一方の卸は、事前注文が一般的。中小スポーツ洋品店ならば、6ヶ月前に注文しなければなりません。それに対応するのは、メーカーのナイキだから、卸売は変化の激しいファッショントレンドに対応するのが難しく、在庫が膨らみがちになります。実際、直近四半期の在庫は11%増加し、その要因は卸売商品の8%増だったようです。

 

3について、小売を介せず直接消費者に販売することで、商品の特徴のみならずブランドの思想を消費者に伝えやすくなります。これは、ブランドロイヤルティの確立に有利に働きます。

 

従来、メーカーによるネット通販は、ブランド認知度を高める上で有効であり、その結果、中小のスポーツ用品店にとってもメリットでした。しかし、今では競合相手になっています。その他中小スポーツ洋品店が直面する逆風・苦境をまとめると、次のようになります。

 

【中小スポーツ洋品店が直面する課題・苦境】

  1. 拡大するネット通販や大規模化を進める大手量販店との競争激化
  2. アスリージャーブームによる販路拡大で、競合相手の増加(=競争激化)
  3. 直販強化を進めるメーカーとの直接的競合(=競争激化)
  4. 原則6ヶ月前発注による消費者ニーズとの乖離・在庫増

 

1は、スポーツ小売市場のみならず、小売業界全体で起こっている事柄です。M&Aによる大手の規模拡大・寡占化は、中小小売店にとって大きな影響を及ぼします。一方のネット通販による影響は、じわじわとしたものでしょうか。

 

2について、アスリージャーブームは、スポーツ用品の販路に変化を及ぼします。つまり、従来は大部分がスポーツ専門店であったのが、ブティック・百貨店などアパレル用品の商流にも流れることになるのです。その結果、中小スポーツ用品店が直面するのは、競争激化に他なりません。

 

3について、ナイキが直販の強化に動けば、アディダスなどの競合メーカーが追随するのは避けられないでしょう。ナイキのみならず、大手メーカーの直販店(サイト・実店舗)とも直接競合することになるのです。

 

4について、中小スポーツ用品店の注文システムでは、原則6ヶ月前に共同発注しなければなりません。これでは、変化の激しいファッショントレンドに対応できません。一方、大手量販店はメーカーに直接注文できるため、品揃えだけではなくトレンドに合った仕入れも可能になるのです。消費者がどちらを選ぶかは、言うまでもないでしょう。

 

ネット通販市場の拡大は、メーカーの小売市場への参入を容易にしているとも言えるでしょうか。ナイキのようにシェアの大きなブランドの場合、メーカーの直販事業は、小売企業にとって脅威になるかもしれません。

 

逆にメーカーにとっては、人気ブランドにさえなれば、直販を行うことができ、小売企業の影響を小さくすることができます。だからこそ、ブランドロイヤルティの確立・向上を目指すメーカーが増えているのかもしれません。

 

Nike.com

Foothills Running Co.(記事で紹介された中小スポーツ洋品店)

City Sports Inc.(事業清算をよぎなくされた中小スポーツ洋品店)

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ナイキが直販事業(特にネット通販)を強化するのは、ファッショントレンドに対応しやすいからである。一方の卸売事業は、在庫増により収益を圧迫している。また、ブランドロイヤルティを確立しやすいのも、直販の強みである。
  2. 中小スポーツ用品店は、メーカーの直販強化だけではなく、他にも課題に直面している。その多くは、競争激化であり、ネット通販の拡大や大規模化する大手量販店、アスリージャーブームで生まれた新たな販売店などとの競争を余儀なくされている。
  3. しかも、卸売の発注システム上、6ヶ月前に共同注文する必要があり、変化の激しいファッショントレンドに対応しにくくなる。一方、大手量販店はメーカーに直接注文できるため、品揃えが豊富でトレンドに沿った売場を作れる。よって、中小スポーツ用品店は、消費者から支持を得られにくくなる。
  4. ネット通販市場の拡大は、メーカーによる小売参入(直販)を容易にする。だからこそ、ブランドロイヤルティの確立に力を注ぐのだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

コストコで買ったゆずポン酢が、最高によかった。

これまでは、ミツカンの業務用ゆずポン酢を使っていたのですが、今回は少し割高の寺岡の牡蠣だし入りゆずポン酢を購入。

割高とは言っても、さすがコストコだけあって、家庭用のゆずポン酢よりは割安ですよ。

瓶入りで高級感のあるデザインは、開封すると、ゆずの強烈な香りに襲われます。

どんだけゆず入れるねんと、思うほどで、その香りを嗅ぐだけで、幸せな気分になるほど。

水炊きの後の雑炊に少し垂らすと、別の料理になったかと思うほどの美味しさでした。

家庭用もあるようなので、ゆず好きの人は是非。

寺岡家の牡蠣だし柚子ぽんず

楽天市場でも売っていますよ。

 

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

年明けから、世界株安が進行しています。

これがリーマン・ショック級の大暴落になる可能性も否定できないですが、金融危機ではないため、さほど企業業績には影響しないのではないでしょうか。

中国経済の失速も、今に始まったことではないですし。

不気味なのが、原油安によるシェール債券の暴落・破綻。

これはアメリカ経済を相当冷やし、その悪影響が日本企業にも及ぶ恐れがありますね。

だから、恐る恐る買いを入れています。

まぁ、いずれ(恐らく参院選前)また2万円には戻るでしょうから。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

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今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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