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【959号】米ディスカウンター・ターゲットの品揃え縮小作戦は成功するか?

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◎本日のニュース

1)見出し

Target Corp. Culling Products in Its Stores to Help Resolve Out-of-Stock Issues

 

 

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2)要約

米小売大手のターゲットは、売場に並ぶ商品の種類を減らそうとしている。その狙いは、できるだけ売場に商品を並べることで、倉庫在庫を減らし、現在直面している欠品問題を解決するためである。また、品揃えを縮小する動きは、小売企業・消費財メーカーでも増えている。

 

さらにターゲットは、客数が増加から減少に転じている。これは、アパレルや生活雑貨など購入頻度の低いコアカテゴリーに注力しすぎたからである。品揃え縮小とともに、購入頻度の高い食品の販売にも力を入れ、客数回復を目指す。

 

3)キーとなる英文

The discount retailing chain is cutting the number of sizes, flavors and in some cases brands on its shelves to help fix out-of-stock issues plaguing its 1,800 stores.

 

4)キーとなる英文の和訳

ディスカウント小売チェーンのターゲットは、棚に並ぶサイズ・フレーバー、さらにある店舗では、ブランドの数を減らしている。

その目的は、1800店が苦しむ欠品問題を解決しやすくするためである。

 

5)気になる単語・表現

cull 他動詞 ~をより抜く;(花)を摘む
comb 他動詞 (場所)を徹底的に捜査する
plague 他動詞 ~を苦しめる;~に損害を与える
surgical 形容詞 目標を特定した
acne 名詞 ニキビ
meander 自動詞 あてもなくさまよう
come off 他動詞句 ~から落ちる;(ある時期)を終える
merchandise 他動詞 ~の販売を促進する;~を売買する
clutter 他動詞 ~を取り散らかす
rebuke 名詞 非難
figure out 他動詞句 ~を考えだす

 

(今回ピックアップ英単語)

rebuke

(英英)

(often passive) speak severely to somebody because they have done something wrong

「間違ったことをしたことで非難する」

(類義語)

「叱る」 scold, admonish, reprimand, correct, lecture, lambast, chide, reprove, bawl out, blow up, call down

「叱責」lecture, reprimand, reproof, reproach, a slap on the wrist

「とがめ」blame, accusation, qualm

「非難する」criticize, blame, accuse, condemn, censure, reproach, denounce

 

(コメント)

上記英訳は、他動詞での意味。記事では名詞で登場。

「非難する」などは、政治記事などによく出るので覚えておきたい。

6)ビジネスのヒント

ターゲットが売場の品揃えを縮小するようです。この背景には、欠品問題と客数減少問題があります。

 

【ターゲットの直面する課題】

  1. 欠品問題:実店舗販売・ネット通販販売双方に対応するために品揃えを強化するも、欠品が多発
  2. 客数減少:5四半期連続で客数増加するも、減少に転じる

 

1について、リアル店舗とネット通販双方に販売するために在庫が増えたと記事にあるので、恐らく、店舗がネット通販の出荷倉庫としても機能していたと推測されます。そのために、品揃えを増やしたものの、逆に在庫管理がうまくいかず、欠品が多発。ちなみに、記事のコメント欄にあったのですが、欠品はターゲット固有の問題ではなく、米小売店で頻繁に起こっているようです。

 

【米小売業界で広がる欠品問題】

  1. 米成人の75%が欠品を経験
  2. そのうち33%が店舗の不満
  3. そのうち58%が別の店舗で購入または購入をあきらめる

 

出典は不明ですが、欠品が小売のみならずメーカーにとってのチャンスロスにつながっていることがわかります。

 

2の客数問題は、アパレル・生活雑貨・玩具・ベビー用品を主要カテゴリーとして販売に力を入れたことが要因のようです。これらの商品は購入頻度が低いので、来店回数が減るのも無理がありません。

 

これらの課題に対する対策が、品揃えの縮小と食品(特に生鮮品)販売の強化です。

 

【課題に対する対策】

  1. 品揃えの縮小・倉庫在庫の削減→品揃を減らすとともに、売場の棚を拡張することで、より多くの商品が売場にならぶようにする。その結果、倉庫在庫が削減され、在庫管理が簡素化。
  2. 食品販売の強化→購入頻度の高い食品販売を強化すれば、来店回数・客数の増加につながる。これまで食品販売に苦戦していたので、オーガニック品を増やすなど生鮮品の販売を特に強化。

 

1について、売場のアイテム数を減らすとともに、棚は拡張するようです。この結果、少数のアイテムがより多く売場に並びます。一方で、バックヤードである倉庫の在庫が減ることになり、在庫管理が簡単になり、欠品の発生確率を下げることができます。

 

2について、来店回数を増やすために、食品の販売を強化します。これまで苦戦していたために、サプライチェーン・人材教育・生鮮品の販売に特に力を入れるようです。

 

品揃えを減らす動きは、ターゲットに限らず、小売・消費財メーカー全体に広がっているようです。

 

【メーカー・小売で広がる品揃え縮小の動き】

  1. ウォルマート社→主要商品中心の売場にして、アイテム数を削減
  2. P&G社→強化するカテゴリーを狭めるとともに、不採算ブランドを売却・撤退

 

品揃えを縮小することで、来店客にもメリットがあるようです。それは、あれこれ悩む必要が無くなり、買い物がしやすくなること。品揃えを増やすことは、一見選択肢を増やすことになるので、来店客にとっては望ましいことのように思えますが、逆に似た商品が増えることで、混乱させてしまうというデメリットがあります。あれこれ悩むうちに、選ぶのが面倒になり、購買意欲がしぼむことにもなりかねません。逆に、消費者は、それだけストレス耐性が低下したとも捉えることができます。

 

記事で紹介されてあったので、ターゲットが行う具体的な行動も記しておきます。

 

【品揃え縮小におけるターゲットの具体的な行動】

  1. 取扱アイテムを減らす
  2. できるだけ売場に商品を並べ倉庫在庫が減るように、売場の棚を拡張
  3. 棚に並ぶ商品数を最大化できるように、商品の規格などを仕入業者・メーカーに変更依頼

 

販売者・消費者双方にとってメリットのある品揃えの縮小ですが、欠点もあります。欠点に対するターゲットの対策も一緒にまとめると、次のようになります。

 

【品揃え縮小の欠点とその対策】

  1. 販売機会を失うサプライヤーの反発→特に無し
  2. お気に入り商品が買えなくなる顧客の反発→1店舗で先行実施し、顧客の反応を見ながら他店舗に広げる

 

1について、削減される商品を扱う仕入れ業者にとって、売上減につながります。これに対して、ターゲットは直接悪影響を受けないので、特に対策はありません。しかし、長期的には、仕入業者数が減ることで、仕入業者の力が相対的に増す可能性があります。それは、仕入れコストの上昇という形で、ターゲットに悪影響を及ぼしかねません。

 

2について、削減される商品のリピーターにとっては、購入できないという事態に直面することになります。この不満・反発は相当なもののようです。実際、ウォルマート社では、6年前に、販売上位商品に品揃えを絞る一方で、経済的に余裕のある顧客を意識した整然とした売場に転換しました。その結果、お気に入りの商品が見つけにくくなったとして、顧客の怒りを買う事態に発展しました。ウォルマートのこの実験失敗を反面教師にして、ターゲットは、品揃えの縮小を1店舗で実験し、さほど反発がなければ他店舗に広げる方法を採用します。

 

記事では言及されていませんでしたが、小売業界での品揃え縮小の背景には、ネット通販市場の拡大があるのではないでしょうか。品揃えでは、売場に際限のないネット通販にリアル店舗は敵いません。消費者も、品揃えの豊富な店舗で商品を探すよりは、検索で瞬時に見つかる通販サイトで買う方を選好するでしょう。逆に、実店舗において、品揃えの豊富さは、スピーディーに買い物ができないデメリットに捉えかねられません。

 

品揃え豊富なリアル店舗では、今後検索できる機器が店舗に設置されるかもしれません。

 

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ターゲットが品揃えを縮小するのは、欠品問題を解決するため。合わせて棚の拡張をすることで、バックヤードの在庫を減らし、在庫管理を簡素化できる。
  2. 来店客にとっても、商品を探す・選ぶ手間が小さくなり、時短に繋がるというメリットがある。
  3. ただし、サプライヤーにとっては売上減、お気に入り商品が買えなくなる顧客にとっては来店動機が小さくなる。顧客離れにつながりかねない後者に対しては、アイテム削減を1店舗で実験してから、他店舗に広げるという手法を採る。
  4. ターゲットが直面するもう一つの問題は、客数減である。これに対しては、購入頻度の高い食品の販売を強化する。特に、サプライチェーンの改善・人材育成・生鮮品の販売に力を入れる。
  5. 小売業界に広がる品揃え縮小の動きの背景には、品揃えで敵わないネット通販市場の拡大があるのではないか。

 

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

昨年いろいろふるさと納税先からプレゼントをいただきましたが、浜田市ののどぐろが一番かもしれません。

のどぐろとカレイ・白イカの干物セットなのですが、のどぐろが本当に美味しかったですよ。

調味料を何も使わなくても、味は濃厚。

カレイも白イカも、お酒(日本酒がベスト)のあてにぴったりです。

のどぐろはサイズの小ささが残念ですが、まぁふるさと納税なので仕方ないでしょう。

大切な人へのギフトにもいいかもしれません。

 

島根県浜田市 のどぐろ・水カレイ・白イカ干物セット

楽天市場でものどぐろの干物は売っていますよ。

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本でも、品揃え豊富なことが強みであるGMSが苦境からなかなか脱出できません。

最大手のイオン・セブン双方とも、GMS事業が営業赤字なのがその問題の根深さを物語っています。

一方で、異質なGMSとも言えるドン・キホーテは、インバウンド需要の拡大もあって、絶好調。

この差の要因を考えると、結構面白いです。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

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