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【966号】トリーバーチのスポーツブランド・トリースポーツが、単独の大型店をオープンした本当の目的とは?

tory burch shoes

◎本日のニュース

1)見出し

For Tory Burch, the Store Is Her Clubhouse

 

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2)要約

Eコマース全盛時代に、トリーバーチのスポーツブランド・トリースポーツは、高額を投じて、派手な独立店舗をニューヨークにオープンした。表向きは収益拡大だが、本当はマーケティングのためである。

 

売場は頻繁に変更できるように、移動可能な備品を活用している。新鮮な売場を提供することで、来店客の心を掴み、コミュニティ形成を目指している。

 

一方、トリーバーチの業績は芳しく無く、昨年後半にはレイオフを実施している。トリースポーツに力を注ぐことで、より若い新規顧客の獲得を狙っている。

 

3)キーとなる英文

In the age of e-commerce, is an expensive, flashy store really necessary?

Tory Burch made the case for yes on a tour of the designer’s new Tory Sport store in New York City. It is the first permanent retail outpost for a fledgling brand in the world of athleisure, the fast-growing, still-confusing mode of dressing that has overtaken the apparel industry.

 

4)キーとなる英文の和訳

ネット通販の時代に、投資額が高く派手な店舗は本当に必要なのか?

トリーバーチは、ニューヨークの新たなトリースポーツの店舗を紹介しながら、イエスと答えた。

その店舗は、アスリージャーの世界での駆け出しブランドにとって初めての常設店舗となる。

アスリージャーは、アパレル業界に彗星のごとく現れたファッションであり、急成長しているがまだ混沌としている。

 

5)気になる単語・表現

make a case for 他動詞句 ~に賛成の論を唱える
flashy 形容詞 一瞬輝く;カビで一見高そうな
outpost 名詞 前哨基地;出先機関、支店
fledging 形容詞 駆け出しの、未熟な
overtake 他動詞 ~の身に突然ふりかかる
fabric 名詞 布地
alongside 前置詞 ~と並んで;~のそばに置くと
stroke 他動詞 ~をなでる
reproduce 他動詞 ~を再現する;~を再生する
hands-on 形容詞句 実際的な;現場での
tactile 形容詞 触覚の
sleek 形容詞 なめらかな;裕福で洒落た身なりの、スマートな
engage 他動詞 ~を従事させる;~を没頭させる
behemoth 名詞 ベヘモット(巨獣);巨大で力があり危険なもの
chock full of 形容詞句 ~でぎっしり詰まった
stack 名詞 (きちんとした)積み重ね;(~の)山、多数
immerse 他動詞 ~を浸す
seduce A into Ving 他動詞句 ~をそそのかす
fictitious 形容詞 架空の
a spate of 名詞句 多数の
persona 名詞 表向き整った個性
unadulterated 形容詞 混じりけなしの
unvarnished 形容詞 飾らない
in-between 形容詞 中間の
evoke 他動詞 ~を呼び起こす

 

(今回ピックアップ英単語)

varnishとvanish

(varnish)

  1. ニス、ワニス;上塗り、うわ薬
  2. ニス塗り(の表面)
  3. マニュキュア(英)
  4. (家具・油絵など)にニスを塗る;~に光沢をつける;~にマニュキュアを塗る(英)

(vanish)

  1. (目に見えていたものが)(突然または不可思議に)消える、見えなくなる
  2. (今まで存在していたものが)なくなる、消滅する;絶滅する
  3. (数)ゼロになる

(コメント)

rの有無で全く意味が異なります。

rがあればニス、無ければ消える

6)ビジネスのヒント

トリーバーチが、トリースポーツの大型独立店舗をニューヨークにオープンしたようです。これだけでは特に目新しさを感じませんが、従来のマス向けの旗艦店とは違うようです。

 

【トリースポーツの店舗とマス向けの旗艦店との違い】

(トリースポーツのNYC店舗)

  1. 少数の商品を綺麗に陳列した売場
  2. 一番の目的は、ブランドの思想を伝え、商品の特徴を体験してもらうこと

(マス向けの旗艦店)

  1. 品揃え豊富で、ボリューム感のある売場
  2. 一番の目的は、大量の商品を販売すること

 

売場・目的が対照的なのがわかります。トリースポーツの店舗では、売場に陳列する商品の大部分は、サイズが1~2つのみ。つまり、陳列というよりも展示に近く、商品を手にとって体験できることに重きを置いています。更に、店舗全体でブランドの世界観や思想を伝えています。その先には、ブランドのファン獲得・コミュニティ形成があります。

 

従来型のマス向け旗艦店とは、ギャップなどの店舗のことを指しているのでしょう。店頭に並べるのは、全商品・全サイズ。在庫切れの商品は陳列できませんが、売場が許す限り、できるだけ店頭に並べようとしています。それは、店舗の目的が売上の最大化にあるからです。販売機会を逃さないために、できるだけ店頭に並べるのです。

 

このように、トリースポーツの店舗は、従来型の店舗とはちょっと異なります。その目的をまとめると、次のようになります。

 

【トリースポーツがニューヨークに大型単独店舗を開設した目的】

  1. ブランドの思想を伝え、特徴的な商品を体験してもらうことで、ファンを獲得し、コミュニティを形成するため
  2. トリーバーチではリーチできなかったより若い顧客を獲得するため
  3. ネット通販と差別化するため
  4. 百貨店への出店とは違い、より思い通りの売場を作ることによって、顧客の直接の反応を得るため
  5. 急成長のアスリージャー市場に進出することで、業績低迷から抜け出すため

 

1について、先述した通り、販売よりもブランドの考えの伝達と商品の体験に重きが置かれています。それは、思想を理解したファンを増やし、コミュニティを形成するためです。これにより、長期的な収益拡大が可能になります。来店客を魅了するために、売場を頻繁に変更するようです。そのために、備品のすべてを移動可能・交換可能にしているほどの力の入れ様です。

 

2について、従来のトリーバーチでは獲得できなかったミレニアル世代などの若者の獲得を、目指しています。そのため、価格帯はトリーバーチよりも低めに設定しています。

 

3について、実店舗を持つことで、商品を手に取って確かめるという体験を提供することができます。これは、ネット通販ではできず、差別化になります。

 

4について、「独立店」には、初期投資が高くつくという欠点があるものの、より自由な売場を作り、顧客から直接反応を得ることができるという利点があります。この利点は、百貨店への出店にはありません。顧客との接点がより近くなり、より増えることにより、ファン獲得につながりやすくなります。

 

5について、アスリージャー市場や急成長しており、全米スポーツアパレルの市場規模は、2015年の674億ドルが、2020年までに820億ドルを超えると予想されています。業績低迷でレイオフ(解雇)に追い込まれたトリーバーチは、急成長するアスリージャー市場に進出することで、V字回復を目指しているのです。

 

ここでトリースポーツについて、簡単にまとめておきます。

 

【トリースポーツ概要】

  1. 昨秋にネット通販と小型店をオープンして参入
  2. 主要商品は、テニスウェア・スポーツブラ・スエットパンツ・ニットミディスカート・ヨガパンツ・ランニングジャケット・カシミアセーターなどで、高品質・高機能
  3. 売場は移動可能・交換可能で、ヨガ教室も行える
  4. ターゲットは、トリーバーチ顧客とより若い顧客
  5. 価格帯は25ドルのニットリストバンドから495ドルのレザーカットテニスウェアまで

 

4について、通販サイトの顧客のうち、4割がトリーバーチの既存顧客であるのに対し、6割は新規顧客のようです。顧客層の拡大には成功しているようです。

 

トリースポーツの店舗は、従来の売上のための店舗ではなく、マーケティングのための店舗と言えるでしょう。マーケティングのための店舗を作るのは、トリースポーツのみならず、他のアパレルブランド・スポーツブランドにも見られるトレンドです。百貨店への出店とは別に単独出店を行うのは、トリースポーツ同様に、ファン獲得・コミュニティ形成を成功させることにより、価格競争に巻き込まれずに、長期的な収益拡大に結びつけるためと言えるでしょう。逆に言えば、アパレル業界は、それほど競争が激しくなったのです。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. トリースポーツがニューヨークに初めて単独の大型店を出店したのは、店舗を販売ではなくマーケティングに活用するためである。
  2. 出店目的は5つある。1つ目は、ブランドの思想を伝え、商品を体験してもらうことにより、ファンの獲得・コミュニティ形成を目指している。この結果、長期的な利益拡大が可能になる。
  3. 2つ目は、トリーバーチではリーチできなかった若者顧客の獲得である。3つ目は、ネット通販との差別化である。
  4. 4つ目は、百貨店出店とは異なり、単独店により、より自由な売場を作り、顧客から直接反応を得ることである。5つ目は、急成長するアスリージャー市場に参入することで、業績低迷から脱却することである。
  5. 百貨店出店の多いブランドでも単独出店するのは、売上目的よりも、ファン獲得・コミュニティ形成というマーケティング目的だからであろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

クリアアサヒから新商品が発売されました。

その名もクリアアサヒ・プライムリッチ。

以前から販売されていたので、リニューアルになります。

リニューアル前の商品も飲んだことがあるのですが、今回の新商品の方が、泡立ちがきめ細やか。

この点はサッポロの麦とホップも同じなのですが、コクはプライムリッチの方が上ですね。

麦とホップは少し物足りない。

次からはブランドスイッチするかもしれません。

それだけ美味しかったということ。

アサヒ クリアアサヒ・プライムリッチ

もちろん楽天市場にも売っています。

 

goo.gl/A3CiJp

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

「トリーバーチ 業績」で検索すると、アパレルのルックの独占販売権が切れた記事が出てきました。

人気の海外ブランドを扱うのもいいですが、やはり独自のブランドを築く必要があることをひしひし感じます。

そう言えば、DAKSの広告をよく目にするのですが、三陽商会のブランドではないのですね。

バーバリーに似ている(そう思うのは私だけ?))ので、すっかり三陽だと思っていました。

調べてみると、カテゴリーにより販売権を持つ企業がいろいろあるようです。

ちなみに、紳士服はオンワードで、婦人服は三共生興です。

おもしろいですね。

ちなみに、DAKSの服は一枚も持っていません。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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