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【971号】小売企業がスマホアプリに注目する本当の理由とは?

Groceries
1)見出し

Shoppers Flock to Apps, Shaking Up Retail

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2)要約

以前は、スマホの小さなスクリーンで買い物することが苦痛と考えられていた。しかし、今では、小売企業がこぞって利便性の高いアプリを提供し、ポイントまで付与してくれるので、スマホアプリを通じて買い物をする消費者が増加している。

所謂「アプリ通販」の普及は、小売企業の販促に大きな影響を及ぼす。というのも、スマホはほぼ終日手元にあるので、買い物機会が増えるからである。しかも、アプリを通じて端末に蓄積されたデータを活用すれば、いとも簡単に衝動買いを起こせるからだ。

一方でアプリ通販には、客単価が低いので運送コストが嵩むという欠点がある。また、データ収集に対するプライバシー懸念も生じかねない。

3)キーとなる英文

The so-called appification of shopping promises to radically transform the retail industry by creating new shopping habits, reshaping sales tactics and carving out winners and losers.

4)キーとなる英文の和訳

所謂ショッピングのアプリ化は、小売業界を劇的に変えることは間違いない。

その変化とは、新しい買い物習慣を作り、販売戦略を再構築し、そして優勝劣敗が鮮明になるということである。

5)気になる単語・表現

glue A to B 他動詞 AをBに接着剤でつける;AをBにくぎ付けにする
savvy 形容詞 有能な、心得た
burst 名詞 突発;一気;爆発;集中射撃
invasive 形容詞 私事を詮索する;(病気などが)健康な組織を冒す
cater 他動詞 ~の料理をまかなう
catch 名詞 捕まえること

(今回ピックアップ英単語)

おやすみ

6)ビジネスのヒント

スマホがこれだけ普及すれば、スマホを通じた通販利用も増えるのは当たり前です。ただし、より詳しく見ると、スマホのアプリを通じた通販(いわゆるアプリ通販)が伸びているのが現状のようです。ちなみに、「アプリ通販」とは私の造語ですので、悪しからず。

従来は、スマホ通販はその小さなスクリーンゆえに毛嫌いされていました。スマホ通販が伸びるようになったのは、簡単に買い物できるアプリが増えたから。そして、それを提供するのは、小売企業に他なりません。

【スマホ通販が伸びた要因】

  1. ワンクリックで買い物が完了するなど使いやすいアプリが増えたから
  2. ポイント付与という経済的動機があるから
  3. おすすめ商品の提示など受動的に買い物ができるから

小売企業がこぞってスマホアプリを提供するのは、スマホ通販が美味しい市場だからに他なりません。というのも、

スマホ=ほぼ終日手元にある端末

のために、スマホ通販の販売機会はほぼ終日だから。PCを通じたネット通販がPCの利用時だけなのに対し、スマホ通販はスマホ利用時=ほぼ終日なのは、誰が見てもビジネスチャンスの大きさが異なります。

しかし、小売企業が通販アプリを提供する本当の理由が他にもあるのです。それは、

ほぼ終日衝動買いをさせるため

です。それを可能にさせるのは、アプリ・スマホの次のような特徴です。

【アプリ通販が衝動買いを引き起こす理由】

  1. アプリを通じて端末から購入確率を向上させるデータを収集できるから
  2. スマホはほぼ終日手元にあるため、アプリを通じてユーザーにいつでもリーチできるから
  3. スマホはPCよりも簡単に買い物ができるから

1 について、アプリを通じて得られるデータとは、端末の種類や居場所など。端末の種類がわかれば、その利用者の客単価が推測できるようです。つまり、単価の 高い端末のユーザーは、比較的客単価の高い優良顧客の確率が高いようです。居場所がわかれば、その場所にいるユーザーのニーズを推測できます。例えば、ア メリカが冬の時でも、ユーザーがオーストラリアに旅行していることがわかれば、水着を薦めれば購入確率は跳ね上がります。

2 について、1のようにアプリを通じた取得したデータを使えば衝動買いを引き起こせやすくなるのですが、いつも手元にあるスマホなので、衝動買いをほぼ終日 起こせやすくなることになります。つまり、スマホアプリは、いつも顧客の目の前にある衝動買い棚(例えばガムの並ぶレジ近くの売場)なのです。

3 について、スマホ通販は、手元にあることだけが魅力ではありません。常に電源がオンになっていることも、大きな利点です。一方で、PCを通じたネット通販 は、まずPCの電源を付けなくてはなりません。このわざわざ電源をつける必要があるかないかの違いは、大きな購入ハードルになります。

小売企業が、スマホアプリを提供する理由が他にもあります。それは、

スマホアプリを通じて実店舗売上を向上させることができるから

で す。チェックイン機能をつけることにより、来店時にアプリを通じて顧客に通知してもらいます。これにより、来店した顧客と通販IDとのひも付けが可能にな るので、来店時の接客でネット通販での購入履歴・閲覧履歴というデータを活用できます。これで、紐付け出来ない場合よりも、購入確率を引き上げられるので す。

【小売企業がスマホアプリを提供する理由】

  1. ほぼ終日の衝動買い機会を得るため
  2. スマホ通販の方が利用ハードルが低いから
  3. 実店舗の売上向上に寄与するから

ただし、アプリ通販にも問題点はあります。

【アプリ通販の問題点】

  1. 利用者の客単価が低いこと
  2. 客単価が低いために、運送コストが高く付き、利益率が低下すること
  3. 閲覧商品が必ずしも欲しい商品とは限らないこと
  4. アプリで調べても、最終的にはPC版通販サイトで購入することが多いこと
  5. セキュリティ・プライバシーの懸念がユーザーで起こる恐れがあること

1 について、PC版のネット通販の客単価は、アプリ通販よりも約5ドル高いという事例があります。(男性用アパレル通販の場合)このように、気軽に購入でき る一方で、よりじっくり調べたい高単価商品は、スマホよりもPCで買いたいという動機が生まれます。その結果、アプリ通販での客単価は比較的低くなりま す。

2について、1のように客単価が低いものの、運送コストは一定以上かかります。その結果、アプリ通販での利益率はPC版ネット通販よりも低くなります。

3について、気軽にアプリで買い物ができるということは、さほど興味がない商品でも閲覧できるということになります。その結果、閲覧商品が必ずしも欲しい商品とは限らない事例が増えることになります。データの信ぴょう性に問題が生じます。

4 について、1との関連するのですが、気軽に使えるアプリで調べても、結局はPC版のネット通販や実店舗で購入することも十分起こりえます。実際、デスク トップでの購入の約40%は、アプリ・モバイルサイト閲覧後に発生したという調査結果もあります。ただし、たとえそうだとしても、アプリを通じてネット通 販売上が増加することには変わりないので、さほど大きな問題点ではないでしょう。

5について、アプリダウンロード時に、データ利用に関する許諾を取っていても、実際にその内容を精査しているユーザーはごくわずか。アプリを通じたデータ収集が度を越えると、ユーザーにプライバシー・セキュリティ不安が生じる恐れがあります。

では、わざわざアプリを開発・提供しなくても、モバイルサイトでもいいのではという意見もあるでしょう。その答えは、次のデータを見れば一目瞭然です。

【スマホアプリとモバイルサイトの比較】

アプリの平均利用時間=3時間5分

モバイルサイトの平均利用時間=51分

※2015年全米調べ

アプリ利用時間が圧倒的に長いことがわかります。消費者は、モバイルサイトよりもアプリを選好しているのです。だから、小売企業は、多額の投資をしてでも、アプリを開発・提供しているのです。その理由は、アプリの方が使い勝手良い、つまり利便性が高いからに他なりません。

【小売企業がアプリをこぞって提供する理由(まとめ)】

  1. 衝動買いの機会をほぼ終日得ることができるから
  2. 利便性の高いアプリ通販は利用ハードルが低いから
  3. 実店舗の売上向上に寄与するから

そして、これら3つの理由は、小売企業の売上増に寄与することになります。

小売企業にとって、スマホの一番の衝撃は、終日衝動買いを引き起こせるということと言えるでしょうか。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 小売企業がアプリ通販に力を入れるのは、衝動買いの機会をほぼ終日得られるからであり、利便性の高いアプリ通販は利用ハードルが低いからである。また、実店舗の売上増にも寄与する理由もある。
  2. ただし、アプリ通販にも課題はある。気軽に買い物できる一方で客単価が低く、その結果運送コストが高く付き、利益率が低くなる。
  3. また、使いやすいために、閲覧商品が必ずしも興味がある商品というわけではない。さらに、実際の買い物は、より比較検討しやすいPC版通販サイトで行われることが多い。
  4. アプリを通じたデータ収集が度を超えると、利用者のセキュリティ・プライバシーの懸念が生じかねない。
  5. 小売業界のアプリ通販の一番のメリットとは、衝動買いの機会をほぼ終日得られることだろう。だから、アプリ開発に多額の投資を要しても、断行する。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

満月ポンを知っていますか。

小学生の頃に好きだった、あのぽんせんです。

たまたまスーパーで見つけた買ってみたら、美味しさにハマってしまいました。

美味しさもいいですが、シンプルな原材料も魅力的。

だからか、カロリーも他のスナックに比べて、少なめです。

メーカーの松岡製菓さんは、楽天市場にも出店されており、訳あり商品も販売されていました。

そして、これを注文して食べたところ、さらに美味しい。

味が薄いのやら濃いのやら、薄っぺらいのやら、いろいろ味が楽しめるのがいいです。

送料無料なのも、有り難いですね。

満月ポン

【ぷっしゅん満月ポン】色んな食感が楽しめる!送料無料!130g(8袋)(規格外商品)

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

個人的には、通販アプリを通じた購入はほとんどしません。

アマゾンぐらいでしょうか。

他のサイトの場合は、ポイントサイトを通じて買った方が得だからです。

私にとっては、PCの方が使い勝手がいいというのもありますね。

windows8以降のOSならば、起動時間も短いですし。

スマホでは買い物カゴに入れるまでですね。

ポイントサイトってどの程度使われているのかは、興味があるところです。

ちなみに、私が日々愛用しているのはハピタスです。

300ポイント(300円相当)から現金化(銀行振込手数料無料)できる点が、一番の特徴でしょうか。

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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