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【974号】急成長する東南アジアネット通販市場に死角はないか?

 Streets of Hanoi

 

 

 

◎本日のニュース

Betting on Southeast Asia’s E-Commerce Boom

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2)要約

急成長する東南アジアのネット通販市場への投資が活発化している。しかし、実際の市場規模はまだ小さい。さらに、コストが掛かることや民族性や言語・嗜好など各国で異なることも、ビジネスの難しさにつながっている。

 

また、東南アジア独特のネット事情もある。主要都市以外は、PCを飛び越してスマホでのネット接続が主流。また、通販サイトが乱立し、ロイヤルティも低い。さらに、消費者の好む受取り方法・支払い方法も、他の市場とは異なる。

 

3)キーとなる英文

Southeast Asia is the new frontier for e-commerce.

 

4)キーとなる英文の和訳

東南アジアは、ネット通販の新たなフロンティアである。

 

5)気になる単語・表現

be engaged with 他動詞 ~で忙しい;~と面談中である
encompass 他動詞 (考えなど)を含む
ethnicity 名詞 民族性
frequent 他動詞 ~へしばしば行く
no fewer than 形容詞 ~もの
outlying 形容詞 中心から離れた
advocacy 名詞 支持
be poised to 他動詞句 ~する覚悟ができている
incumbent 名詞 在任者、現職者
nuance 他動詞 ~をにおわす
thrive 自動詞 繁盛する
capability 名詞 能力

 

(今回ピックアップ英単語)

【engage】

(意味)

  1. (be engaged to) ~と婚約している
  2. ~を従事させる、没頭させる;(be engaged in)(仕事などに)従事している
  3. (会話などに)(人)を引き入れる(in)、誘い込む
  4. (敵)と交戦する

(メモ)

原義は、「担保(gage)に入れる(en)→契約(誓い)で縛る→従事させる。」

受動態で2の意味としてよく出てきます。

 

6)ビジネスのヒント

今後の人口増とデジタル化が見込まれる東南アジアでは、ネット通販企業への投資が増加しています。この場合のネット通販企業というのは、自社の商品をネットで販売している企業というよりも、楽天市場のようなモール型ネット通販サービスを提供している企業が多いようです。

 

【東南アジアネット通販企業への投資が増加】

  1. アリババ(中国):地元のネット通販企業・ラザダの株式の過半を取得(約10億ドル)
  2. JDドットコム(中国):インドネシアで自社サービスを開始
  3. ソフトバンク(日本):インドネシア最大の通販サイト・トコペディアに1億ドル共同出資

 

この3つの事例はあくまで例示であり、海外企業による投資が増加しているようです。1・3はローカル企業への投資、2は独自の進出という点で異なります。ただし、インドネシアでは海外企業によるネット通販企業への直接投資が禁じられているので、1・2では間接投資という形を採っているものと思われます。

 

このように世界の企業から注目される東南アジアのネット通販市場ですが、成長性が見込まれているからに他なりません。逆に言えば、まだ市場としては未熟なのです。消費のネット比率を示すネット通販率は、まだ3%でしかありません。アメリカ・中国は14%にも達しています。市場規模は60億ドルであり、2500億ドルを超えるアメリカ・中国と比べると、その小ささが実感できると思います。

 

まだ小さいからこそ今後の急成長が見込まれるというので、投資が増加しているのですが、ハードルとなる課題も存在します。

 

【東南アジアネット通販市場の課題】

  1. 高コスト・低収益
  2. 格好で民族性・言語・嗜好・規制が異なる
  3. 信頼できるローカル金融機関・物流インフラの不足
  4. ネット通販への不信感・不慣れ

 

1について、モール型ゆえに出店企業を募集するのにコストが掛かります。さらに、モールへの集客コストも、モール運営会社が負担するようです。このように二重のコストが掛かるので、収益性が低下します。

 

2について、東南アジアと言えども、属する各国は異なる文化を持ちます。よって、答案アジア全体でネット通販事業を展開するとしても、ローカル化を避けることはできません。例えば、表現方法1つとっても、フィリピンでは長文のメールを送るのに対し、ジャカルタは世界一のツイッター普及国のようです。ツイッターは140文字以内という制約があるので、ジャカルタは短文好きということになります。

 

3について、金融機関・物流インフラ不足は、決済・配送における大きなハードルになります。また、4について、商品に実際に触れないと、本当に欲しいかどうかわからない人がまだ多いので、まだまだネット通販慣れをしていません。ただし、4はネット通販の利用が進めば、自然と解消すると思われます。

 

さらに、東南アジアのネット環境の独自性も存在します。

 

【東南アジアネット環境の独自性】

  1. 主要都市以外、PCを飛び越してスマホが普及
  2. 通販サイトが乱立し、ロイヤルティが低い
  3. SNS経由での購入が多い
  4. ネットで買う事自体に価値を置く
  5. 支払いは代金引換、商品引取が人気

 

1について、タイでは主要大都市以外の消費者の85%が、スマホから購入するようです。スマホはPCよりも画面が小さいために、提供できる情報が少なくなるという欠点があります。そのためもあるでしょうか、2のブランドロイヤルティが高まらないようです。

 

2について、まだ黎明期とも言える東南アジアのネット通販市場。そのため、通販サイトが乱立しています。よって、気になる商品があれば、検索エンジンで調べて、通販サイトに到達することになります。この結果、特定のサイトを利用するのではなく、複数のサイトで買い物する人が増えることになります。これでは、ブランドロイヤルティが醸成されません。

 

3について、通販サイトが掲載する情報への不信感があるのでしょうか、SNSを通じた口コミから商品を購入することが多いようです。SNS経由になることも、通販サイトへのロイヤルティが高まらない要因です。

 

4について、通常ネット通販で購入する一番多い理由は、価格が安いから。しかし、答案アジアでは、ネットで買う事自体に価値があるから、通販サイトを利用するようです。単に価格を下げれば売れるというわけではありません。

 

5について、通販サイトへの不信感やクレジットカード所有者の少なさからか、代金引換が主流のようです。商品引取が多いのは、物流インフラ不足が要因でしょう。

 

よって、次のような成功ルールが記事では提示されています。

 

【東南アジアネット通販市場での成功のルール】

  1. 変化が激しいから、大胆に直接・大きく投資せよ
  2. 地域・国・商材に応じて、適切なパートナーを探せ
  3. 人材不足でローカライズに時間が掛かるので、じっくり根気よく続けよ

 

このようにハードルばかりの東南アジアネット通販市場ですが、閾値に達しようとしているようです。1億人がネット通販購入経験があり、さらに1.5億人が商品検索・問い合わせの経験があるとのこと。今後、検索・問い合わせをした人が購入すれば、2.5倍に市場が広がることは必至です。また、服と靴のネット通販率は24%、旅行サービスは18%と、ネット通販で購入しやすいカテゴリーのネット通販化はどんどん進んでいるのです。これらのカテゴリーでネット通販に慣れれば、他のカテゴリーでのネット購入にもつながり、市場の急拡大が見込めます。

 

人口増が見込める東南アジアは、人口減少に日本にとっては魅力そのもの。しかし、日本と同じ形を現地で展開しても、成功するとは限りません。いや、失敗する確率の方が高いでしょう。そう言えば、楽天市場は東南アジアから撤退しましたね。

 

楽天ネット通販、東南アジア撤退 海外戦略見直しへ(朝日新聞デジタルより)

 

 

サービスのローカライズは必須。さらに、ローカル人材をいかに活用するかが、成否を分けるのでしょう。特に、後者は結果が出るまでに時間が掛かります。成功のルールにもあるように、じっくり待てるかも問われることでしょう。

 

(記事で紹介された東南アジアの通販サイト)

Lazada

Tokopedia

Uskoop

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 海外企業からの投資が増える東南アジアのネット通販市場であるが、課題も存在する。それは、高コスト低収益、各国での文化の違い、信頼できるローカル金融機関・物流インフラの不足、ネット通販への不信感と不慣れである。
  2. さらに、ネット環境にも独自性が強い。主要都市以外ではPCを経験せずにスマホ通販が主流であること、サイト乱立でロイヤルティが低いこと、SNS経由での購入が多いこと、ネット購入自体に価値があること、代金引換・商品引取が主流であること、などである。
  3. 市場規模もまだ小さいが、閾値に達しようとしている。商品検索・問い合わせ経験者が購入すれば、市場は5倍に拡大する。さらに、靴・衣類や旅行サービスのネット通販比率は高まっており、このカテゴリーでネット通販に慣れれば、他のカテゴリーでのネット通販も拡大するだろう。
  4. 成長性の高いだが、進出・投資するにはローカル化は必須である。さらに、ローカル人材の活用は、時間の掛かることなので、辛抱強さも試される。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

満月ポンを知っていますか。

小学生の頃に好きだった、あのぽんせんです。

たまたまスーパーで見つけた買ってみたら、美味しさにハマってしまいました。

美味しさもいいですが、シンプルな原材料も魅力的。

だからか、カロリーも他のスナックに比べて、少なめです。

メーカーの松岡製菓さんは、楽天市場にも出店されており、訳あり商品も販売されていました。

そして、これを注文して食べたところ、さらに美味しい。

味が薄いのやら濃いのやら、薄っぺらいのやら、いろいろ味が楽しめるのがいいです。

送料無料なのも、有り難いですね。

満月ポン

【ぷっしゅん満月ポン】色んな食感が楽しめる!送料無料!130g(8袋)(規格外商品)

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

今、格安simのBICsimを使っているのですが、低速モードでも十分なことが多いので、データ容量が毎月余ってしまいます。

もちろん、低速モードでの利用を少なくすればいいのですが、緊急時の時に高速モードを使いたいので、ついつい貯めてしまいます。

翌月までしか持ち越しできないのですが、余っている人に何か恩恵がないものかといつも考えてしまいます。

例えば、年間の余ったG分を寄付できるという企画でも、うれしいですよ。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

ご質問・ご相談・ご感想がございましたら、ご連絡ください。

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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