About

*

【976号】マジメなアラスカ航空とイケイケのヴァージン・アメリカのM&Aに注目すべき理由とは?

 Alaska Airlines "Icon Tails" 727s

 

◎本日のニュース

1)見出し

Alaska Airlines-Virgin America Merger Tests What Fliers Really Want

 

 

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

2)要約

アラスカ航空によるヴァージン・アメリカの買収が承認されれば、業界では珍しいタイプの異なるM&A事例となる。一番の問題は、顧客の要望に合わせながら、サービス内容を統合することである。

 

低コスト運営とフレンドリーな接客が特徴のアラスカ航空と、スタイリッシュでクールなサービスのヴァージン・アメリカは、サービス内容が全く異なる。人気の高いヴァージン・アメリカのサービスを維持すれば、収益性の低下は免れず、逆に削減すれば顧客離れの恐れもある。

 

利用客の変化も、サービス変更をより難しくさせる。余暇旅行の増加と出張の減少により、低価格志向が強まる一方で、寡占化で収益性を高める航空会社へのサービス期待は高まるからである。

 

3)キーとなる英文

If Alaska Airlines wins government approval to complete its proposed $2.6 billion acquisition of Virgin America, two very different approaches to air travel will be merged. What comes next amounts to a referendum on what travelers value most these days and which amenities they are willing to pay for.

 

4)キーとなる英文の和訳

アラスカ航空が政府の承認を得て、26億ドルのヴァージン・アメリカ買収提案を完了できれば、航空旅行に対する2つの大きく異なる試みが統合することになる。

次に問題となるのは、現代の旅行者が最も重視することと、彼らがお金を払ってでも欲しいアメニティーを決めることである。

 

5)気になる単語・表現

referendum 名詞 国民投票
amount to 自動詞句 結局(好ましくないこと)になる;総計~に達する
amenity 名詞 心地よさ;生活を楽しくするもの;楽しみ;礼儀
hood 名詞 ずきん
figure out 他動詞句 ~を考えだす
panache 名詞 羽飾り;華々しさ;堂々とした態度
stingy 形容詞 けちな
bin 名詞 蓋付きの大箱
cheeky 形容詞 生意気な
take up 他動詞 (時間・場所)を取る
deficiency 名詞 不足;欠陥
telltale 形容詞 おのずと表れる;隠し切れない
mundane 形容詞 日常の、fリフレた
fleet 名詞 集団
configure 他動詞 ~を構成する
affluent 形容詞 裕福な
be pining to V 他動詞句 ~しようと悲嘆する
outfit 名詞 衣装一式;一行
incorporate 他動詞 ~を合体させる;~を法人組織にする

 

(今回ピックアップ英単語)

【amount】

(意味)

  1. 総計に達する

His debts amounts to more than he can pay.

「彼の負債は支払い限度を超えている」

  1. (内容・価値などの点で)結局(好ましくないこと)になる、~に等しい、~同然である;結局~することになる(SV to doing)

Her advice amounts to an order.

「彼女の助言は命令も同然だ」

What it amounts to is that he was defeated.

「つまり彼の方が負けたということだ」

not amount to anything

「ものにならない、成功しない」

amount to the same thing

「同じ(ようなもの)である」

 

(メモ)

今回取り上げたのは動詞。

名詞では、「総計、総額」「ある量の~(a 形容詞 ~;形容詞~s)」という意味がある。

 

6)ビジネスのヒント

アラスカ航空によるヴァージン・アメリカの買収は、よくある航空業界のM&Aとは異なるようです。というのも、タイプが全く異なる航空会社だから。ちなみに、アラスカ航空は通常のキャリアなのに対し、ヴァージン・アメリカはLCC、です。まずは、両社の比較から。

 

【アラスカ航空とヴァージン・アメリカの比較】

(アラスカ航空)

  1. 投資は低コスト実現のため
  2. フレンドリーな接客とフライトの正確さで差別化
  3. 座席上の巨大荷物入れが人気

(ヴァージン・アメリカ)

  1. 投資は空飛ぶブティックホテルを実現するため
  2. エンターテイメント設備とムーディーな雰囲気で差別化
  3. 飲食物の注文もできる全座席設置のタッチパネルが人気

 

1の投資に関して、アラスカ航空が力を入れてきたIT投資は、地上業務のコスト削減のため。例えば、20分の荷物受取保証を実施できるのは、IT化のたまもの。自宅での荷物タグ印刷は、業界の先駆的サービスとして開始したたようです。さらに、コックピットで使用する資料を紙からiPadに切り替え、衛星ナビの利用も先駆けて始めました。

 

一方のヴァージン・アメリカは、空飛ぶブティックホテルを実現するために、機内サービスのIT投資に力を注ぎました。その際たるものは、3のタッチパネル式モニターでしょう。LCCで全座席モニターを設置するのは、斬新すぎます。それだけ、機内でのエンターテイメントに投資しているのです。

 

2の差別化に関しては、アラスカ航空が接客や正確さなど真面目さで勝負するのに対し、ヴァージン・アメリカは、エンターテイメント性や大人っぽい雰囲気などカッコ良さで勝負しています。カッコ良さというよりも、イケイケな感じでしょうか。1で取り上げた、アラスカ航空の20分荷物受取り保証は、真面目さの象徴のようなものですね。ヴァージン・アメリカは、注文可能なタッチパネルのために、接客サービスも限定的です。

 

3の人気サービスに関しては、真面目なアラスカ航空は、座席上の手荷物入れのスペースを大きくすることで、利便性を高めています。一方のヴァージン・アメリカは、全座席設置のタッチパネルでエンターテイメント性を重視。さらには、LCCのくせに、ファーストクラスまであるから驚きです。すべては、ブティックホテルというコンセプトのためです。

 

このようにコンセプト・サービス内容が両極端な両社が一緒になるから、サービスの統合は難題そのものです。従来の航空業界のM&Aでは、似た者同士の場合がほとんどだったので、サービス統合はシステム上の問題はあっても、さほど大きな経営課題にはなりませんでした。サービス変更は航空業界ではよくあることですが、ここまでサービス内容が違っていれば、変更の実施以前に、どのように変えるかを決定することから難しくなりそうです。

 

サービス統合の決定で一番優先すべきは、顧客の要望。しかし、その顧客にも変化があるので、既存の顧客だけ考えればいいというわけではありません。

 

【飛行機利用者の変化】

  1. 属性の変化:余暇旅行の増加による若者の増加、出張旅行者の減少、比較的富裕な消費者によるエコノミークラス利用の低下
  2. ニーズの変化;航空会社への期待度の高まり

 

1について、要は価格よりもサービスを重視する消費者の利用が減る一方で、価格重視の余暇旅行者の利用が増加しているとうことです。つまり、利用者の低価格志向が高まりつつあります。特に、低価格がウリのLCCはその傾向はより高いと言えるでしょう。

 

一方で2のように、航空会社への要望は高まるばかり。この背景には、業界の寡占化が進む中で、高収益を上げる航空会社の存在があります。儲けているのだから、もっとサービスをして当然と考える消費者が増えていることです。より安く、一方でより充実したサービスを、と利用者が考えれば、航空会社は、利用者が重視しないサービスのコストを削減さぜるを得ません。

 

アラスカ航空からしてみれば、低価格志向が高まっているので、ヴァージン・アメリカの過剰とも言えるサービスを削減したいものの、一方で特徴的なサービスを止めれば、顧客離れの恐れが生じます。だから、今回のサービス統合は難しいのです。

 

コスト構造で言えば、アラスカ航空よりもヴァージン・アメリカの方が高コスト体質。それは、タッチパネルスクリーンの全座席設置と機内での高速無線LANサービスを提供しているからです。ちなみに、アラスカ航空は、コスト削減のために座席前のスクリーンはなく、電源の提供のみ。(ビデオプレイヤーの貸出はあり)無線LANサービスも、機内ではなく空港だけの提供です。

 

この難題を解くために、アラスカ航空は、両社のロイヤル顧客を対象に調査を実施します。例えば、制服について。アラスカ航空はシンプルな紺色であるのに対し、ヴァージン・アメリカはスタイリッシュな赤・黒・グレー。この両者を統合するために、顧客だけではなく、ヴァージン・アメリカの従業員の要望を取り入れて、統合後の新たな制服をデザインするようです。

 

また、アラスカ航空は高コストのタッチパネルにも、注目しています。というのも、航空会社側に顧客の管理ができるというメリットがあるからです。ロイヤル顧客の調査によると、飛行機に乗る際は、空腹さをある程度自分で管理する必要性を感じるようです。自由に飲食物を注文できるタッチパネルの存在は、そのストレスを下げる効果があるのです。だから、タッチパネルは、単にエンターテイメントのためだけの高コスト設備とは言えないのです。

 

LCCのヴァージン・アメリカで過剰とも言えるサービスを継続できるかは、かなり難しいと言えるでしょう。実際、高コスト体質のために、モバイルアプリなど営業面で必要な投資ができなほど、財務体質は脆弱化しています。

 

しかし一方で、LCCにも関わらず驚きのサービス・雰囲気があるからこそ、人気を得ているのも事実。顧客が価値を感じる部分はできるだけ残しつつ、付加価値とは関係ない部分は止めるという、メリハリが求められます。

 

冷静に考えれば、フルキャリアとLCCと”業態”が異なるのだから、無理やり統合する必要がないとも感じます。しかし、ヴァージン・アメリカの高コスト体質の解消は、アラスカ航空にとって一番の課題であるのも事実。ある程度のサービス縮小は避けられないでしょう。ただし、それだけではサービス改悪という印象しか残らないので、コストの掛らない程度にアラスカ航空の長所を取り入れればいいのではないでしょか。

 

いずれにせよ、アラスカ航空が何を維持・強化し、何を削減したかを見れば、航空会社への消費者ニーズをある程度読み取ることは可能です。だから、このM&Aは注目に値するのです。

 

 

***************************

《今回のヒントのまとめ》

  1. アラスカ航空によるヴァージン・アメリカの買収は、サービス内容が両極端なほど異なるので、従来の航空業界のM&Aとは異なる。
  2. アラスカ航空は、利便性重視・低コスト運営の堅実サービスが特徴であるのに対し、ヴァージン・アメリカは、空飛ぶブティックを目指したスタイリッシュな雰囲気をウリにしている。
  3. LCCの割に機内サービスの充実したヴァージン・アメリカは、その高コスト体質のため、モバイルアプリの開発など営業面の投資ができないほど、財務体質が脆弱化している。
  4. 両社のサービス統合が難しいのは、飛行機利用者の低価格志向が強くなっているのに対し、サービス要望も高まっているからである。コスト削減のためにサービスを廃止すれば、顧客離れを起こしかねない。
  5. サービス統合の決定に一番影響を与えるのは、顧客ニーズ。だから、統合後のサービス内容を見れば、航空サービスへの消費者ニーズがわかる。

*************************

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

満月ポンを知っていますか。

小学生の頃に好きだった、あのぽんせんです。

たまたまスーパーで見つけた買ってみたら、美味しさにハマってしまいました。

美味しさもいいですが、シンプルな原材料も魅力的。

だからか、カロリーも他のスナックに比べて、少なめです。

メーカーの松岡製菓さんは、楽天市場にも出店されており、訳あり商品も販売されていました。

そして、これを注文して食べたところ、さらに美味しい。

味が薄いのやら濃いのやら、薄っぺらいのやら、いろいろ味が楽しめるのがいいです。

送料無料なのも、有り難いですね。

満月ポン

【ぷっしゅん満月ポン】色んな食感が楽しめる!送料無料!130g(8袋)(規格外商品)

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本でもLCCは普及していますが、欠航が多いというイメージでなかなか利用に踏み切れないですね。

神戸空港が近いというのもありますが、スカイマークの方が信用できるというイメージはあります。

まぁ、それよりも新幹線が一番ですが。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

ad

関連記事

新着記事

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

ad

PAGE TOP ↑