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【981号】チョコレート大手のハーシー社がバー型のビーフジャーキーを売る理由

Hershey

◎本日のニュース

1)見出し

Hershey Gets Sweet on Dried Meat Bars

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2)要約

チョコレート大手のハーシー社は、8月にグレイブ・プロテインバーというバー型のビーフジャーキーを発売する。クレイブバーは、ドライミーツにマンゴーやキノアなど消費者が知っているヘルシーな原材料を加えたものである。

この背景には、アメリカ人の嗜好の変化がある。ヘルシー志向が高まる一方で、ハーシー社の主体であるチョコレートは、高まるニーズの逆側にある。ニーズに合致したカテゴリーに進出・新商品開発への投資を増やすことによって、顧客獲得・収益拡大を目指しているのである。

ただし、クレイブバーの属するハーシー社のスナック部門は、全売上の2%に過ぎず、菓子カテゴリーが売上の多くを占める。また、競合のマース社は、ヘルシー志向に合致した商品開発を進めるも、チョコレート以外への多角化は行わないという。

3)キーとなる英文

The 122-year-old chocolate maker is turning to meat-based protein bars as healthier eating habits and an increase in alternative snacks are taking hold.

4)キーとなる英文の和訳

122年の歴史を持つチョコレートメーカーは、肉主体のプロテインバーに期待を寄せている。

というのは、よりヘルシーな食事を目指す習慣と代替するスナックの増加が定着しているからである。

5)気になる単語・表現

turn to 自動詞句 (人・辞書・計算器など)に頼る;(本など)を参照する
take hold 自動詞句 確立する
comprise 他動詞 ~を含む;~を構成する
iteration 名詞 繰り返し
confectionery 名詞 菓子類

(今回ピックアップ英単語)

【comprise】

(英英)

  1. 「(団体・組織などが)(部分として)(人・物)を含む;(全体が)(部分)から成る」

have something/somebody as parts or members

  1. 「(部分が)(団体・組織など)を構成する;(部分が)(全体)を構成する」

be the parts or members that form something

(類義語)

  1. 「含む(内に持つ・含有する」

contain, include, embrace, cover

  1. 「なる(成る、成り立つ)」

consist

(メモ)

主語が部分・全体でも通じる、違和感のある単語。

ただし、2の意味では、compose, make upを使うべきで、compriseを誤りとする人も多い。

6)ビジネスのヒント

日 本でもチョコレートで有名なハーシー社がビーフジャーキーを販売しているというのは、初耳であり驚きですが、実は昨年ビーフジャーキーの製造販売会社を買 収しています。クレイブ・ビーフジャーキーという企業で、ハーシー社の傘下に入ることにより売上は2倍に増加したようです。その理由は、ハーシー社の販売 力により小売店で商品が並ぶ棚が増え、ブラックチェリーバーベキューのようなフレーバー入り新商品を発売したからです。今回は、このクレイブのビーフ ジャーキーを使ったプロテインバーの販売について取り上げます。

ハーシー社がクレイブを買収した背景には、アメリカ 人の嗜好の変化があります。具体的には、ヘルシー志向の向上です。このニーズ変化によって割を食らっているのが、チョコレート主体のハーシー社。チョコ レートは、ヘルシー志向の逆側の商品だからです。実際、ゼネいのチョコレート売上増加率は、2010年以降毎年鈍化しており、2015年は年間4.2%だ け。日本人から見れば、4%台でも増加しているだけマシですが、人口増加が続くアメリカ市場では、物足りない成長率なのです。ハーシー社は、主体のチョコ レートが今後も伸びが期待できないだけに、全く別のカテゴリーであるビーフジャーキーに進出したのです。

ビーフ ジャーキーをヘルシー志向に合致させたのが、クレイブ・プロテインバー。クレイブのビーフジャーキーにマンゴーやクランベリー・キノアなどのヘルシー原料 を混ぜた、バー状のスナックです。8月に発売するクレイブバーにより、ハーシー社は一気にニーズの追い風を受けるカテゴリーに進出することになります。

ちなみに、ハーシー社のヘルシー商品への進出は、クレイブバーだけではありません。

【ハーシー社のヘルシー志向合致ブランド】

  1. クレイブ・プロテインバー
  2. ソーフィット

1・2の共通点は、いずれもプロテインを含む商品ということ。これだけで、ヘルシー志向を意識した商品であることがわかります。

1 は、アメリカ人の好きなビーフジャーキーにヘルシー原料を混ぜあわせだけではなく、「持ち運びやすさ」「高プロテイン」「低糖」「自然由来の原材料使用」 という、食品の上位トレンドに合致した特徴を持ち合わせます。ポイントは、バー状という持ち運びやすさ。人気食品にはヘルシーさだけではなく、手軽さも必 要なのです。

2は、プロテイン主体の健康食品で、ひまわりの種やアーモンドをプロテインでコーティングしたものや、パウチに入ったフルーツ味のプロテインスムージーなどがあります。ソーフィットも、パッケージが小袋タイプやパウチタイプなど持ち運びやすさを訴求しています。

全 米のチョコレート売上の成長率が鈍化する一方で、全米のミートスナック売上は、2010年以降年平均10.4%増加しています。「ミート(肉)」と言う と、ヘルシー志向とは関係ないと思われますが、アメリカ人の好きなミートにヘルシー原料を混ぜた商品により、ミートスナック全体の市場が拡大しているので しょう。そういう意味では、ハーシー社のクレイブ買収は、アメリカのスナック市場のトレンドに合致したものと評価できます。

こ れらのヘルシー商品の属するのが、スナック部門。ハーシー社は、新商品開発の主体を、成長の鈍化したチョコなどの菓子部門から、高い成長の期待できるス ナック部門にシフトするという戦略を採っています。しかし、この戦略でハーシー社が成長できるほど、ハーシー社の規模は小さくありません。

【スナック部門への投資を拡大するハーシー社の課題】

全売上の大部分は菓子部門であり、スナック部門はたった2%にすぎない

要 は、成長率は高いものの、売上規模は小さいために、売上の大部分を占める菓子部門を支えることは期待できないのです。だからこそ、競合するマース社は、ス ナックカテゴリーに進出するのではなく、主体であるチョコレート商品でヘルシー志向対応商品の開発を進めているのです。

注 目点は、チョコレート大手のハーシー社が、M&Aまでしてヘルシー志向に対応しようとした点。通常、ハーシーほどのブランド力があれば、マース社 のようにハーシーブランドのチョコレートでヘルシー志向に合致した商品を発売すれば、対応できそうなもの。しかし、ビーフジャーキーメーカーの買収まで 行ったということは、チョコレート市場に吹く逆風がそれほど強いという認識なのでしょう。

健康志向を高めるアメリカ の消費者は、より加工度の低い商品を求める傾向が強いとされています。ハーシー社の戦略から考えると、チョコレートを含むスイーツは、ヘルシーさを訴求し たとしても、消費者ニーズに対応できないのかもしれません。まさか、市場が縮小するとは思えませんが、それに近い成熟市場に落ちぶれることは十分ありえま す。

Krave protein bar(ブログ記事)

SoFit(ビジネスインサイダー記事)

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ハーシー社がバー状のビーフジャーキー・クレイブプロテインバーを発売するのは、アメリカ人に広がる健康志向の高まりに対応するためである。ヘルシー原料の使用だけではなく、持ち運びやすさ・高プロテイン・低糖・自然由来の原料という特徴も持つ。
  2. 消費者ニーズとは逆側にあるチョコレートの全米市場は、成長が鈍化している。だから、チョコレート大手のハーシー社は、M&Aまで駆使してヘルシー志向に対応しようとした。
  3. 全米ミートスナック市場は、過去5年間で年平均10%超成長している。よって、ハーシー社は、クライブバーの属するスナック部門への開発投資を増やすことにより、成長が鈍化する菓子部門を補おうという戦略を採る。
  4. しかし、ハーシー社の売上主体はチョコレートを含む菓子部門であり、スナック部門はたったの2%に過ぎない。スナック部門の高成長で、菓子部門を補えるかは不明である。
  5. それでも、スナック部門の新商品開発に力を注ぐのは、ヘルシー志向の高まりにより、チョコレートを含むスイーツの売れ行きがさらに悪化すると予想しているからではないか。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

ホッピーに似た商品として、ハイッピーがあるようです。

飲んだことはありませんが、ハイッピーの方がより経済的だとか。

どちらもビール系の飲料ですが、ハイッピーにはレモン風味あるようです。

個人的には、ホッピー飲むならビール(いや新ジャンル)なので、買うことはないとは思いますが、居酒屋であったら一度ハイッピーも飲んでみたいと思います。

ちなみに、ハイッピーは比較的味が薄く、評価が分かれるようです。

ハイサワーハイッピー(公式サイト)

楽天市場でも売っているのですが、ケース売りだから躊躇します。

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

最近気温が急激に高くなったからか、少し体調を壊しました。

ふと薬箱を覗いていると、使用期限切れの薬ばかり。

薬箱のメンテナンスは定期的に行う必要がありそうです。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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