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【984号】赤字拡大・CFO退職など問題続きのシアーズ、その再建策とは?

Sears Kenmore Home Appliances Kitchen sign logo

◎本日のニュース

1)見出し

Sears Revenue Declines, Retailer to Explore Deals for Key Brands

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2)要約

小 売大手のシアーズ・ホールディングス社は、コスト削減に取り組んだにも関わらず、直近四半期の最終損益はさほど改善しないばかりか、赤字が拡大して終了し た。さらに、CFOのシェリーシャイム氏が退職。大株主でありCEOのランパート氏の右腕だっただけに、その悪影響は懸念される。

赤字拡大の要因は、価格競争激化による既存店売上の減少。さらに、大型店の大量閉鎖による売上規模の縮小も、大きく影響した。ただし、ネット通販へのシフトが続くアメリカ小売業界では、実店舗型の小売チェーン全体の業績が振るわなかった。

今後は、店舗拡大よりも、人気PBブランドの外販やホームサービス事業の売却により、黒字転換を目指す。

3)キーとなる英文

Sears Holdings Corp. reported narrow improvement in its bottom line in the first quarter as the retailer trimmed expenses, though revenue continued to slide, and announced the departure of its chief financial officer.

4)キーとなる英文の和訳

シアーズ・ホールディングス社は、第1四半期の最終損益がさほど改善しなかったことを発表した。

というのも、コスト削減を進めたにも関わらず、売上減少が続いたからである。

さらに、CFOの退職も発表した。

5)気になる単語・表現

explore 他動詞 ~を調査する;~を探検する
transaction 名詞 取引
divest 他動詞 ~から(式服などを)脱がす;~から(権利・財産などを)剥奪する
note 他動詞 ~に言及する;~に注意を払う;~ということに気づく
lieutenant 名詞 代理、副官
stumble 自動詞 つまづく;とちる
assortment 名詞 各種取り揃え;類別、分類
source 他動詞 ~の供給先を見つける
depreciation 名詞 減価償却
amortization 名詞 償却

(今回ピックアップ英単語)

【depreciationとamortizationの違い】

(depreciation)

有形固定資産(tangible asset)の減価償却

(amortization)

無形固定資産(intangible asset)の減価償却

(メモ)

どちらも減価償却に違いありませんが、対象資産の性格が異なります。

6)ビジネスのヒント

シ アーズというと、経営再建中の小売チェーンというイメージ。そのシアーズ・ホールディングス社の第一四半期(4月30日まで)の決算発表がありました。結 果は、再建中にも関わらず、赤字拡大。まだ結果は出ていないようです。合わせて、CFOの辞任・退職も発表されました。経営陣の意思疎通がよろしくないの でしょうか。

今回のWSJの記事の中心は、決算内容と今後の施策。まずは、決算内容から。

【1Qの決算内容】

  1. 売上:539億ドル(3%減)
  2. 最終損益:4億7100万ドルの損失(一株あたり41ドルの損失)
  3. 粗利益率:8%(前年同期25.8%からの悪化)
  4. 販管費率:9%(前年同期28.6%からの改善)

簡潔に言えば、減収減益で最終損失の拡大で終わりました。1について、減収の要因は、既存店売上の悪化と、Kマート・シアーズ大型店閉鎖です。前者で268億ドル、後者で149億ドル悪化したようです。

既 存店売上が悪化したということは、顧客からの支持を依然失い続けているということに他なりません。さらに因数分解すると、Kマートの既存店で5%の悪化、 国内(全米)シアーズで7.1%の悪化。シアーズの方が若干悪いですが、5%と7%なのでどっこいどっこいでしょう。外部環境も影響しています。つまり、 ウォルマート・ターゲットなどの競合小売チェーンとの価格競争の激化です。これに、アマゾンなどのネット通販専業企業も加わるので、価格競争は大変激しい ものと言えるでしょう。逆に言えば、シアーズ社は価格競争力の弱さにより、売上減少を招いたとも言えるのです。

大型店を大量閉鎖したのは、赤字垂れ流しを食い止めるため。これは、当初から決まっていることなので、店舗閉鎖による売上悪化は想定内。既存店売上の悪化こそが、売上減少のA級戦犯なのです。

2 について、店舗ビジネスの場合、本社の販管費が比較的大きな割合を持つので、売上悪化はそれ以上の収益悪化を招く事になります。だから、もともと最終赤字 だったシアーズは、赤字拡大という結果に終わります。一株利益は株価に直結するので、一株損失の拡大は株価下落を招き、実際に過去1年間で株価は約7割下 落しています。株式市場において、強烈な売りを浴びせられてきたことがわかります。

3の粗利益率の悪化は、価格競争 の激化によるものでしょう。一方で4の販管費率は改善しています。これは、シアーズ社が、売上拡大よりも経費削減を優先させたからに他なりません。既存店 売上が減少しているだけにあまり喜べませんが、ケチケチ作戦は一定の成果を出していることがわかります。ちなみに、シアーズが取り組んできたコスト削減と は、取扱アイテムの改変、仕入先の変更、価格改定、在庫削減などです。

さて、ランパートCEOの右腕として手腕を発揮してきたCFOを失ったシアーズですが、次のような取り組みにより、経営再建を目指します。

【今後のシアーズ経営再建策】

  1. 有力PBブランドのケンモアクラフツマンダイハードの卸売・ライセンス供与・売却
  2. ホームサービス事業部の売却

1 は、長年消費者に親しまれ、ファンを獲得してきたPBブランドの活用です。シアーズ社傘下の小売チェーンの集客力が弱いならば、より集客力の高い小売企業 に卸売すれば、売上を拡大できます。さらに、他者にPBブランドのライセンスを供与することにより、ライセンス収入を得られます。もしかしたら、虎の子と も言えるブランドの売却もあるかもしれません。このような既存ブランドの活用は、特に大きな追加コストを必要としません。よって、提携先が見つかれば、収 益改善に大きく貢献することでしょう。

2について、ホームサービス事業とは、モノの販売ではなく、メンテンナンス・ リフォームなどのサービス提供。元々潜在性の高い事業だけに、より集客力のある企業に売却することにより、事業拡大が見込めます。シアーズよりも経営・販 売のうまい企業がやれば、うまくいくという考えなのでしょう。

1・2とも、物販とは関係ありません。1はメーカー・マーケティングに近い事業であり、2はサービス事業です。よって、小売業としての再建策ではなく、既存の経営資産の活用により収益改善を目指していることがわかります。

結 局は、再建策と言っても小売業として決してオーソドックスなものではありません。逆に言えば、競合する実店舗型小売チェーンのみならず、ネット通販専業と の競合も激化する中、物販による赤字企業の黒字転換は相当難しいのでしょう。ホームサービス事業に成長見込みがあるということは、モノの販売ではなく、 サービスの販売でしか差別化できなということかもしれません。サービスで差別化できれば、価格競争に巻き込まれにくくなりますから。実店舗小売企業は、 サービス提供が必須ということでしょうか。

他の注目点は、人気ブランドは、物販のみならずライセンス供与・卸売によ る収入が見込めるということです。これらは、先述した通り、追加コストの小さな事業なので、収益性は高くなります。人気ブランドには、それだけ高い将来性 があるということなので、ブランドロイヤルティの向上は、企業にとって最優先事項と言えるのではないでしょうか。

Kenmore(家電ブランド)

www.kenmore.com/

Craftsman(工具ブランド)

www.craftsman.com/

DieHard(自動車用バッテリーブランド)

www.sears.com/en_intnl/dap/shopping-tourism.html

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《今回のヒントのまとめ》

  1. シアーズ社の直近四半期業績は、減収・赤字拡大で終わった。その要因は、競争激化による既存店売上の悪化と、大型店閉鎖による売上の減少である。よって、粗利益率は悪化。しかし、経費削減強化が功を奏して、販管費率は改善した。
  2. 今後の方針は、有力PBのブランドの卸売・ライセンス供与・売却と、潜在力の高いホームサービス事業の売却を進める。これらにより、さほどコストを掛けずに売上を伸ばすことができるので、収益改善が見込める。
  3. ただし、これら再建策は物販とは関係ない。逆に言えば、赤字の実店舗型小売企業の黒字転換は、物販だけでは難しいということである。それだけ、ネット通販専業も含めた競争激化がすさまじいということだろう。
  4. 一方で、潜在力の高いホームサービス事業のように、実店舗小売企業は、サービス販売によりネット通販専業と差別化が可能となる。価格競争に巻き込まれにくく、収益向上に寄与する。
  5. 人気ブランドは、単に物販のみならず、より収益性の高い卸売・ライセンス供与という収益機会を有する。よって、ブランドロイヤルティの向上は、最優先事項と言っても過言ではない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

ホッピーに似た商品として、ハイッピーがあるようです。

飲んだことはありませんが、ハイッピーの方がより経済的だとか。

どちらもビール系の飲料ですが、ハイッピーにはレモン風味あるようです。

個人的には、ホッピー飲むならビール(いや新ジャンル)なので、買うことはないとは思いますが、居酒屋であったら一度ハイッピーも飲んでみたいと思います。

ちなみに、ハイッピーは比較的味が薄く、評価が分かれるようです。

ハイサワーハイッピー(公式サイト)

楽天市場でも売っているのですが、ケース売りだから躊躇します。

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

最近、マクドナルドのメニューが面白い。

クラブハウスバーガーに続き、今はロコモコバーガー。

思わず食べたくなりました。

そして次は、てりやきバーガーやチキンフィレオで裏メニューを提供するとか。

終わったブランドと言われたマクドナルドですが、まだまだ強いブランドです。

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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