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【1001号】ホールフーズマーケットの成長鈍化が深刻な理由とは?

whole food market

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Whole Foods Profit Falls; Sales Slip

 

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2)要約

ホールフーズマーケット社は、直近四半期の業績で、またしても成長鈍化を印象づけた。既存店売上高は、2.6%の減少で、アナリスト予想とほぼ同じ結果となった。

 

成長鈍化の一番の要因は、競合スーパーがナチュラル・有機食品を扱うことによる競争激化である。競合対策として値下げを実施したが、これにより収益性は低下した。また、値下げ原資を確保するために、人員削減を実施。ミレニアル世代など新たな顧客層を獲得するために、小型・割安業態を開発した。

 

ただし、既存店近くに出店する新業態はカニバリの恐れがある。また、行政による自社工場への安全面の指摘もあり、イメージ悪化につながる。

 

3)キーとなる英文

Whole Foods Market Inc. offered a pessimistic outlook for the coming months as it reported another quarter of weak sales amid stiff competition and declining food prices.

 

4)キーとなる英文の和訳

ホールフーズマーケット社は、今四半期の悲観的な見通しを発表した。

というのも、報告したばかりの直近四半期は、競争激化と食料価格の下落により、売上が弱かったからである。

 

5)気になる単語・表現

pilot 形容詞 予備の、試験的な;案内役をする
hallmark 名詞 特徴
beset 他動詞 ~を包囲する;(困難などが)~につきまとう

 

(今回ピックアップ英単語)

【beset】

(使い方)

a village beset with mountains

「山で囲まれた村」

be beset by doubts

「疑念にかられている」

The problem was beset with difficulties.

「その問題には困難がつきまとった」

 

6)ビジネスのヒント

ホールフーズマーケットと言えば、ナチュラル・有機食品が特徴的で、客単価の高い好業績スーパーというイメージです。しかし、もうそれは過去のようです。

 

【ホールフーズマーケット社の業績】

  1. 売上金額 37億ドル(2%増)
  2. 最終利益 1億2000万ドル(1%減)
  3. 既存店売上 6%減

※7月3日までの第三四半期

 

既存店が振るわない中での売上増は、出店によるプラス分。小売業は、既存店売上で顧客の支持・業績モメンタムを計るので、ホールフーズは業績不振ということになります。実際、既存店売上高は2012年の8.7%をピークに、その後鈍化し、今期はマイナス転落の恐れが現実味を帯びています。

 

ホールフーズの業績鈍化の要因をまとめると、次のようになります。

 

【ホールフーズの既存店が振るわない要因】

  1. (独自)競合スーパーのナチュラル・有機食品取り扱い増による、競争激化
  2. (独自)行政からの安全面警告によるイメージ悪化
  3. (業界共通)タンパク源食材価格の下落

 

1・2はホールフーズ独自の要因。1について、ホールフーズの差別化要素であるナチュラル・有機食品が、威力を失いました。というのも、クローガー社など競合スーパーが、取り扱いを増やすことで、同質化したからです。これにより、従来なら遠方からの来店が見込めたり、頻繁な来店が見込めたりした顧客が減少するので、客数が減少することになります。この対策として、値下げを実施。その影響が利益率低下を引き起こしています。

 

2について、詳しくは書かれてありませんが、アメリカの保健局から、加工食品等の自社工場の安全面について、警告を受けているようです。この悪い広報の影響は、イメージ悪化につながりかねません。そもそも「ホールフーズ=ナチュラル・有機食品の取り扱いの多い安全・安心のスーパー」という印象が強かっただけに、このイメージ悪化は、相当大きな客離れを引き起こしても不思議ではありません。

 

3は業界全体の要因。牛肉や卵・牛乳など購入頻度の高いタンパク源の価格下落が、客単価の下落を引き起こしているようです。その影響の大きさにより、ホールフーズの場合、買い上げ点数は0.1%だけですが、辛うじて増加したにもかかわらず、客単価は2.7%の下落。これが既存店売上に大きく影響しています。

 

このような業績不振に対して、ホールフーズは次のような施策を打っています。

 

【ホールフーズの業績不振対策】

  1. 人員削減
  2. 新規顧客開拓のための新業態の導入

 

1について、競合対策として、値下げとロイヤルティプログラムの導入(実質的には会員専用クーポンの発行)を実施していますが、その原資を確保するために、人員削減を実施しています。その規模は、全従業員の2%。2000以上のポジションを廃止しています。

 

2について、以前のメルマガでも取り上げましたが、割安・小型業態として「365 by Whole Foods Market」をオープンしました。狙いは、コスパ・時短ニーズの高いミレニアル世代の獲得です。従来業態では敷居が高いために、ミレニアル世代の来店は少なかったようです。価格に値ごろ感があるため、一回当りの買物点数は比較的高いようです。

 

ただし、今後新業態が増えることにより、既存業態とのカニバリリスクが生じます。同じナチュラル・有機食品を取り扱うものの価格が異なれば、安い方を選ぶのが普通。今年の後半にオープンするシアトルの店舗は、既存業態に比較的近い立地なので、既存業態の売上を注視する必要があります。

 

【注目点】

  1. 取り扱い品だけの差別化では、優位性の維持は時間の問題
  2. 後追いで競合他社と同じ土俵に乗ると、大規模企業有利の消耗戦に陥る

 

1について、ホールフーズの一番大きな差別化要素は、ナチュラル・有機食品の販売。しかし、販売品目だけでの差別化は、いずれ競合に真似されることになります。今回は、まさにこれが起こりました。ホールフーズとしては、取り扱い品の差別化が有効な間に、別の差別化要素を作り出す必要があったのではないでしょうか。

 

2について、ホールフーズが競合対策として実施した値下げとロイヤルティプログラムの導入は、競合が既に実施している施策に過ぎません。よって、ホールフーズは、遅れて同じ土俵に乗ったことになります。もし、ホールフーズがスーパー業界で規模が大きく、規模の経済が働ければ、それでも効果はありますが、現実にはホールフーズは規模ではクローガーなど大手チェーンに敵いません。よって、後追いで同じ土俵に乗っても、さほど効果があるとは思えません。

 

それにしても、記事の中で「deflation」という単語が使われていたことには、びっくりしました。雇用環境は大きく改善しているアメリカですが、予想以上に節約志向は高いのかもしれませんね。

 

ホールフーズマーケット社の第三四半期報告書(英語)

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ホールフーズマーケット社の既存店売上がマイナスなのは、最大の差別化要素であるナチュラル・有機食品の取り扱いが、競合の同質化により機能しなくなったからである。その結果値下げを余儀なくされ、利益率も悪化している。
  2. また、行政による工場の安全面への警告は、イメージ悪化につながりかねず、客数の減少を招く。
  3. さらに、タンパク源となる食料価格の下落により、客単価の低下を引き起こしている。
  4. このような業績悪化の対策として、人員削減と新業態の開発を実施。ただし、今後新業態は、近くにある既存業態とカニバリする恐れがある。
  5. 取り扱い品だけの差別化では、その優位性はあまり維持できない。また、後追いで競合と同じ土俵に乗れば、規模が大きくなければさほど効果を発揮しないのではないか。

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価格は少し高く感じますが、11万円ほどであり、パナソニックのレッツノートや東芝KIRAよりも割安。

次買い換える時は、候補に上がること間違いなしです。

 

 

 

 

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編集後記

日本でも有機食材の取り扱い店舗は増えていますが、店内での露出はまだまだ小さめです。

やはり価格の高さが購入ハードルとして大きいのでしょうね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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