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【1023号】ウォルマートが撤退した小型店にターゲットが力を入れる理由とは?

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◎本日のニュース

1)見出し

Target Goes After Millennials With Small, Focused Stores

 

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2)要約

ディスカウンター大手のターゲット社が、人口密度の高い都市部や大学近隣に小型店を増やしている。その特徴は、客層に合わせて品揃えを厳選していることである。ネット注文品の受取場所としても活用する。

 

小型店に力を入れるのは、生活必需品のネット購入を増やしているミレニアル世代を集客するためである。都市住民や大学生の獲得に力を入れるアマゾン対策という意味合いもある。

 

ただし小型店は、倉庫が小さく物流コストが膨らみやすいので、収益化が難しい。実際、ウォルマート・ストアーズ社は、今年始めに小型店から撤退している。

 

3)キーとなる英文

The chain is opening several smaller stores in urban areas and college towns from New York City to State College, Pa., as it battles declining traffic and sales at its nearly 1,800-strong fleet of largely suburban stores.

 

4)キーとなる英文の和訳

小売チェーンのターゲットは、ニューヨーク市からステートカレッジまで都市部や大学城下町に小型店を数店開店している。

それは、約1800フィート強の大型郊外店舗の客数と売上の減少に直面しているからである。

 

5)気になる単語・表現

be stated to V 他動詞 ~する予定になっている
mural 名詞 壁画=mural decoration
needle 名詞 天秤ばかり

 

(今回ピックアップ英単語)

[slate]

(意味)

  1. (名詞)スレート、粘板岩
  2. (名詞)(アメリカ)公認候補者名簿
  3. (他動詞)~を(~のことで)酷評する、こきおろす(for)
  4. (他動詞)~を(日時などに)予定する(for);~を(~する)予定にさせる(to do)

(コメント)

4の受動態で「~する予定である」という意味で使われることが、WSJでは圧倒的に多い。

 

6)ビジネスのヒント

ターゲット社の出店が、郊外の大型店から都市部の小型店にシフトしているようです。記事には”Shrinking Stores(小型化する店舗)”というタイトルで、店舗面積が小さくなっている様をイラスト付きでやすく表現されています。

 

【店舗が小型化するターゲット】

スーパーセンター業態(177,000平方フィート)→GMS業態(135,000平方フィート)→都市部のフレキシブル業態(45,000平方フィート)→大学近隣のフレキシブル業態(12,000平方フィート)

 

記事で取り上げられているのは、都市部と大学近隣のフレキシブル業態。「フレキシブル」という名前だけあって、融通のきく店舗を目指しているようです。

 

【都市部・大学近隣のフレキシブル業態の特徴】

  1. 立地は人口密度の高い都市部や大学近隣
  2. スーパーや地元小売店の閉店跡に出店(居抜き?)
  3. 顧客ニーズに合わせて品揃えを厳選、売れ行き・要望を元に随時調整
  4. カフェ・壁画装飾など来店しやすい環境を提供
  5. ネット購入品の受取場所としても活用

 

1について、都市部や大学近隣という人口密度の高い立地の出店することで、商圏が小さくなるデメリットの最小化に努めています。

 

2について、居抜きかどうかは不明ですが、スーパーや地元小売店が閉店した跡に出店。好立地のためでしょうか。

 

3について、顧客ニーズにより適応するために、品揃えを大きく厳選しています。例えば、大学近隣の小型店では、大型店では必須であった子供向けのおもちゃやベビー用品を販売していません。一方で、大学生が好む化粧品やスナックの品揃えを増やしています。

 

4は集客対策。小型店のために商圏が小さくなりがちですが、それを克服するために、利用頻度の高いカフェを併設したり、壁画装飾など雰囲気をよくしたりして、立ち寄りやすい店舗にしています。

 

ターゲットが得意の大型店から小型店重視にシフトしているのは、次のような理由からです。

 

【ターゲットが小型店重視にシフトした理由】

  1. 郊外の大型店が客数・売上ともに減少に転じたから
  2. 消費拡大が期待されるミレニアル世代が、より利便性の高いネット購入を増やしているから
  3. アマゾン・ドット・コム社が、都市住民や大学生を集客することで、実店舗小売の売上を奪っているから

1について、大型店が顧客の支持を受けていないというのが、一番の理由でしょう。そして、その背景には、2のネット通販市場の拡大があります。特に、ミレニアル世代は、日常品の購入まで通販サイトを利用します。それは、手軽だから。大型店にわざわざ足を運んで、店内で商品を探すのが、面倒なのです。だから、ターゲットはスピーディーに買い物ができる小型店に着目したのです。

 

3について、ネット通販対策というもあります。特に、アマゾンは会員制であるプライムで、都市住民や大学生の獲得に成功。これが、実店舗小売の売上減を引き起こしているとするならば、都市住民・大学生の集客に力を入れる必要があります。

 

しかし、小型店というのは、なかなか成功しにくいものです。実際、ウォルマート・ストアーズ社は、今年早々に小型業態から撤退しています。

 

【量販店が小型業態で失敗しやすい理由】

  1. 倉庫(バックヤード)が狭いために、配送頻度が多くなり、物流コストが嵩むから
  2. 売り場面積の関係で、食料品の品揃えが乏しくなるため、来店頻度が高まらないから
  3. 品揃えが小さいために、アパレルなど高収益商材が売れにくいから

 

1について、バックヤードが小さいと、持てる在庫の数も小さくなります。その結果、大型店よりも配送頻度を多くしなければならないので、物流コストは高くなります。低コスト運営・低価格販売の量販店にとって、このコストアップは大きなハードルになります。

 

2・3は売り場面積と品揃えの影響です。品揃えが乏しくなるので、集客商品である食料品だけではなく、収益商品であるアパレルの品揃えの乏しい売場になりがちです。利便性は高いものの、全体的に魅力の乏しい店舗になる確率が高くなり、集客力に悪影響を及ぼします。

 

実際、ターゲット社は、2012年に都市型フォーマットを開発し、「シティターゲット」や「ターゲットエキスプレス」として出店。しかし、うまく行かなかったのでしょう、後に「ターゲット」にブランド転換しています。そこで、今回のフレキシブル業態では、次のような方法で、小型店の課題を克服しています。

 

【フレキシブル業態の工夫】

  1. 売場スペースを最大限に活用するために、小型パッケージ品を増やし、ブランドを厳選
  2. 顧客層に応じて品揃えを厳選、売れ行きや顧客の要望に応じて随時販売商品を調整

 

1は狭い売場の克服であり、2は乏しくなりがちな品揃えの克服です。

 

このような小型店シフトのターゲットに対し、アナリストの意見は分かれています。

 

【分かれるアナリストの意見】

(賛同)客層がウォルマートよりも若く、所得も高いので、受け入れられやすいのではないか。

(疑問)大きな収益プラスは期待しづらく、成長余地は限定的。

 

【注目点】

  1. 小型店は、人件費・物流コストからコスト高になる一方で、客数が比較的少ないために単価を引き上げる必要があるため、収益化は難しい
  2. アメリカでも品揃えのローカル化が進んでいる
  3. ネット通販市場の拡大は、実店舗型小売業に変化を余儀なくさせている

 

大量仕入れでコストを下げる事により、低価格販売でも高収益を得る。このチェーンストアの成功の方程式が、アメリカでも崩れていることを、ターゲットの小型店シフトは物語っているように思えます。

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ターゲットが小型店にシフトするのは、大型店の客数・売上が減少に転じたからである。この背景には、ミレニアル世代がネット購入を増やしているということがある。
  2. 都市住民・大学生の獲得で成功するアマゾン対策もあり、都市部・大学近隣への小型店の出店を進めている。
  3. その特徴は、顧客ニーズにより適合するために、品揃えを厳選し、売れ行き・要望に応じて随時品揃えを調整していることである。また、カフェ・壁画装飾など来店しやすい環境も整える。
  4. バックヤードの狭さゆえの配送コスト高に対しては、小型パッケージ品の販売と品揃えの厳選で対応。また、売場面積の小さなデメリットに対しては、顧客ニーズに合った品揃えに限定することで対応する。
  5. ネット通販市場の拡大は、大量仕入れ低価格販売のチェーンストアの方程式を転換させていると捉えることもできる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

図書館で借りたのですが、このマーケティング本は本当にわかりやすい。

USJという身近な成功例から、わかりやすく成功するマーケティングを述べています。

実は、読破する前に返さざるを得なかったのですが、買って読もうと思うぐらいです。

調べてみると、アマゾンでもカテゴリー別1位なんですね。

納得。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

 

楽天ブックスにももちろんありますよ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

最近やることがすべて裏目に出てしまいます。

本厄だけに、あまり派手に動くのはやめておきます。

 

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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