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【1061号】新興食品メーカーが大手食品メーカーと提携するメリット・デメリット

High Fiber Cereal - now with TWIGS!!!

◎本日のニュース

1)見出し

Big Food Looks to Startups for Ideas, Innovation

 

 

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2)要約

大手食品メーカーは、新興食品メーカーとの資本提携に力を入れている。というのも、新興食品メーカーの強いヘルシー・ナチュラル食品が消費者の支持を得ている一方で、大手食品メーカーは自社でそのニーズをなかなか掴めないからである。

 

一方の新興食品メーカーは、大手メーカーと提携することで、自社にはない経営資源を活用できるというメリットがある。ただし、売場では競合する両社だけに、提携で得た機密情報を活用して、大手が独自に参入する懸念もある。

 

3)キーとなる英文

Food giants are starting venture capital funds to invest in startups focused on healthier and less-processed foods, betting the younger companies can teach them to be more entrepreneurial and innovative.

 

4)キーとなる英文の和訳

商品大手は、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドを通じて、ヘルシーで加工度の低い食品に力を注ぐスタートアップ企業への投資を始めている。

というのも、スタートアップ企業と提携することにより、起業家精神を高め、今まで以上のイノベーションが期待できるからである。

 

5)気になる単語・表現

mainstay 名詞 頼みの綱
rut 名詞 わだち;決まりきったやり方
validation 名詞 有効化

 

(特に覚えておきたい単語)

おやすみ

 

6)ビジネスのヒント

消費者ニーズの変化により、大手食品メーカーが苦戦していることは、メルマガで何度か取り上げました。この課題に対し、大手メーカーが自社での克服から新興食品メーカーとの資本提携に舵を切っているというのが、今回の記事です。

 

自社開発から提携に切り替えた背景をまとめると、次のようになります。

 

【大手食品メーカーがスタートアップ企業と提携する背景】

  1. 消費者が、大手が苦手とするヘルシー・ナチュラルな食品を好むようになったから
  2. 従来のモデルにどっぷり浸かっているので、市場の変化に迅速に対応できないから

 

1について、大手が作ったという安心感よりも、商品自体の安心・安全面を、消費者が重視するようになったということです。だから、「昔ながらの食品ブランド=加工度が高く体によくない」という思考が、自然と働くのかもしれません。これでは、大手の強みであったブランド知名度の高さが、逆に弱みとなるのです。

 

2について、ならば消費者ニーズに合った商品を開発・販売すればいいと思うのですが、なかなかそうは行きません。というのも、これまで投資してきた加工食品ブランドの方が、利益率が高いからです。逆に言えば、いくら消費者ニーズに合致するからといって、成功するかどうかわからない新たなブランドを立ち上げることはリスクが高すぎるとも言えます。上場している以上、株主からは従来以上の収益性を求められるということも、関係していることでしょう。

 

実際、大手食品メーカーの収益は減速しています。先進国市場で、大手消費財メーカーのシェアは、中小のライバル企業に奪われており、2011年からの五年間で約180億ドルもシェアを失ったという統計もあります。例えば、食品大手のネスレ社は、3年間の長期売上目標を取り下げました。というのも、消費者ニーズに合わせるための構造変化に、時間を要すると判断したからです。

 

大手食品メーカーによる新興食品メーカーとの提携の事例をまとめると、次のようになります。

 

【大手と新興食品企業の提携事例】

  1. ケロッグ社:自社VCファンドを通じて、モリンガスナックを製造するクリクリに420万ドルを投資
  2. ゼネラルミルズ社;自社VCファンドを通じて、ケールチップスメーカーのリズム・スーパーフーズに600万ドルを投資(2度目の出資)
  3. キャンベルスープ社:自社のVCファンドに、昨年1億2500万ドルを投資
  4. タイソン・フーズ社:自社のVCファンドに、昨年1億5000万ドルを投資

 

全体では、2016年VCファンドは66の食品飲料関連投資を実施。前年よりも20%増加しており、この5分の1が大手食品メーカーによるものです。

 

提携する新興メーカーにも次のようなメリットがあります。

 

【新興メーカーのメリット】

  1. 大手食品メーカーの持つ豊富な経営資源を活用できる
  2. 第三者との取引が容易になり、新たなビジネスチャンスをつかみやすい

 

1は特に説明不要でしょう。2について、大手と提携することのより、信用度は向上します。その結果、第三者との取引が増えやすくなるなど、ビジネスチャンスは増加します。

 

一方で、次のようなデメリットも見逃せません。

 

【大手食品メーカーと提携するデメリット】

  1. 市場(売場)で競合する大手メーカーに機密情報を握られれば、大手が独自に参入しかねない
  2. 業務プロセスが複雑化し、イノベーションが生まれにくくなる

 

1について、提携の密度が高まれば、新興企業が持つ技術力などの強みが、大手に漏えいする可能性が高まります。獲得した情報を活用して、大手が独自に参入しかねません。売場で競合する企業・ブランドだけに、新興企業は逆に苦境に陥りかねません。

 

2について、大手のやり方が導入されれば、業務プロセスが複雑化する恐れがあります。その結果、消費者ニーズの変化に迅速に対応できなくなり、イノベーションは起こりにくくなります。

 

実際、ケロッグ社は、シリアルメーカーのカシとの提携を強引に進めたため、カシの製品にイノベーションが見られにくくなったようです。このように、大手企業と新興企業の提携を成功させるには、大手が経営にあまりタッチせず、新興企業の持つ独自性を維持した方が良さそうです。買収でなく、少額出資の方がうまくいく事例が多いように思えます。

 

【注目点】

  1. ヘルシー・ナチュラル志向の高まりとは別に、嗜好の多様化があるのではないか?
  2. 小売にとっては、大手と新興企業の提携が進むことで、新興企業との取引がしやすくなるというメリットがある
  3. 大手消費財メーカーは、全くの新ブランドよりも既存ブランドの新商品開発に力を注ぐことにより、収益性の向上を目指す

 

1について、あくまで個人的見解ですが、大手の不振の背景には、嗜好の多様化があるのではないでしょうか。つまり、ヘルシー・ナチュラルではないからではなく、みんなが知っている従来からの有名ブランドの商品だから、大手メーカーの商品は売れないという

考え方です。若者なら、誰も知らないような面白い商品を買って、SNSに投稿したいというニーズが働くことになります。

 

2について、商品を販売する側の小売にとっては、よく知らない新興企業との取引は少し難しいかもしれません。新たに口座を開く必要があるからです。信用も関係するでしょう。特に、上場小売企業なら、その傾向は強くなるでしょう。一方、大手食品メーカーと提携してくれれば、大手の口座から商品を仕入れることは可能になります。小売企業にとっては、より消費者ニーズに合った商品を仕入れやすくなるのです。

 

3について、新興企業との提携に成功すれば、大手食品メーカーは既存ブランドのラインナップを広げることに力を注げます。その方が、知名度の高さなどブランドの強みを活かせ、収益性向上に寄与してくれるからです。新興企業との提携により市場ニーズの変化に対応し、一方で既存ブランドの拡張により収益性向上を目指せるという、二者を追える体制が完成します。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 大手食品メーカーと新興食品メーカーの資本提携が進む背景には、消費者のヘルシー・ナチュラル志向の高まりに、大手メーカーの既存ブランドでは対応できないことがある。
  2. また、従来の収益性の高いモデルを維持する必要上、市場の変化に迅速に対応できないこともある。
  3. 新興企業にとってのメリットは、大手の持つ豊富な経営資源を活用できることが挙げられる。また、信用度が高まることで、新たなビジネスチャンスが増えることも見逃せない。
  4. 一方で、企業秘密など強みを大手に漏れるというデメリットもある。この結果、大手が独自に参入し、売場での競争が激化しかねない。また、提携の結果、業務プロセスが複雑化し、イノベーションが起こりにくくなる恐れもある。
  5. 新興企業との提携により、提携先のブランド活用で消費者ニーズの変化に対応しながら、一方で既存ブランドの拡張により収益性向上を目指せるというメリットを、大手メーカーは享受できる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

年末はふるさと納税を幾つかしたのですが、この御礼品はかなりお得と思いませんか?

 

鹿児島県日置市 本格焼酎ふるさと鹿児島限定セット 小正醸造

 

なんと900mlの芋焼酎が6本も入っているのです。

これが1万円の寄付でもらえます。(もちろん、税額控除されるので、ある程度所得のある人ならば、2000円の負担になります。)

ふるさと納税の芋焼酎を、他の自治体でも調べましたが、1万円で1.8mlX3本が最高。この小正醸造のセットは、900mlながら総量は同じです。900mlの分だけ、注ぎやすいという利点もあります。

 

まだ飲んでいませんが、かなり楽しみです。

 

ちなみに、小正醸造の鹿児島県限定焼酎は、楽天市場でも販売されています。

 

 

7000円ほどなので、7割の還元になりますね。

スゴイコスパです。

 

編集後記

今年初めての風邪を引いたみたいです。

喉が痛く、痰も出てきました。

次は熱でしょうか。

忙しい3月だけに、早く治したいところです。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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