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【1087号】自動車利用が変えるガソリンスタンドのビジネスモデル

Irving Gas Station

 

◎本日のニュース

1)見出し

A Look at the Gas Stations of Tomorrow

 

 

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2)要約

世界の石油メジャーは、自社のガソリンスタンドビジネスに大きな変化を起こそうとしている。天然ガスや水素などの代替燃料の販売だけではなく、レストラン・小売店の設置や、ネット注文品の引取サービスなどである。

 

この背景にあるのは、自動車を所有するモノから利用するサービスと捉える消費者ニーズの変化がある。また、電気自動車の普及や燃費向上など新たな技術開発も、関係している。

 

自動運転車の登場や燃費向上、さらにモノとして自動車が所有されなくなると、ガソリンスタンドのビジネスモデルは根底から崩れることになる。この危機感が、各社に変化を起こさせている。

 

3)キーとなる英文

The world’s big oil companies have all sorts of potential changes on the drawing board, including new fuel options, restaurants and shops, and package-delivery services.

 

4)キーとなる英文の和訳

世界の大手石油企業は、起こりうるあらゆる変化を計画している。

例えば、新たな燃料の選択や、レストラン・小売店、小包配達サービスなどである。

 

5)気になる単語・表現

on the drawing board 副詞句 計画中で
bypass 他動詞 ~を飛び越える;~を迂回する
adapt 他動詞 ~を適合させる
revert to 自動詞句 ~に戻る;~に復帰する
scramble to V 他動詞句 ~しようと先を争う
pilot 名詞 水先案内人
teething 名詞 それに伴う現象;歯が生えること
not least 副詞 少なからず;特に
overly 副詞 あまりにも
passerby 名詞 通行人
shut 他動詞 ~を閉める
work out 他動詞句 (問題など)を苦労して解く
kink 名詞 欠陥;ねじれ

 

(特に覚えておきたい単語)

【adaptと adopt】

(adapt)

to change something in order to make it suitable for a new use or situation

「~を適合させる」(ぴったり合うように修正を加えて採用すること)

(adopt)

to start to use a particular method

「(理論・技術など)を採用すること」

(コメント)

change(修正)があるのがadapt, ないのがadopt。

 

6)ビジネスのヒント

これまでカーシェアリングや自動運転技術などの記事を取り上げてきました。共通するのは、交通サービスとしての自動車。自動車がモノではなく交通サービスとして考えられると、ガソリンスタンドのビジネスモデルにも影響は及びます。

 

【ガソリンスタンドのビジネスモデルの変化】

(従来)ガソリン販売により収益を獲得する

(これから)自動車関連サービスの販売により収益を獲得する

 

従来からも、自動車修理などメンテナンスサービスからの収益は存在しました。ただし、メインはガソリン販売。しかし、今後はガソリン販売は一部になり、ガソリンも含めた燃料販売や各種サービスの提供トータルで、収益拡大を目指すことになります。

 

【ガソリンスタンドの新たな販売商品の例】

  1. 電気も含めた燃料の販売→スマホアプリ活用や宅配サービスにより、利便性向上
  2. レストラン・小売のテナント誘致で集客力アップ
  3. ネット購入品引渡しサービスの提供→拡大するネット通販市場にも対応
  4. カーシェア・自動運転サービスの提供で、収益源の多様化

 

1について、今後はガソリンのみならず、水素・液化天然ガス(LNG)・電気(電気自動車用)を販売します。しかも、ただ販売品目を増やすのみならず、販売方法にもイノベーションが起ころうとしています。例えば、燃料の種類・量・支払いを事前に済ませられるスマホアプリを提供することで、利便性が向上。さらに、燃料の宅配サービスにより、燃料補給のハードルを引き下げます。

 

2について、自動車での来店を期待して、レストラン・小売店を設置。記事には明記されていませんでしたが、恐らくテナントを入れるかFC加盟するのでしょう。燃料補給以外の来店動機を持たせることで、集客力を高めます。

 

3について、ネット購入品の引渡しサービスも、集客策の1つ。ただし、これは拡大するネット通販市場に対応したもの。ネット対策にも工夫を凝らしています。

 

4について、交通サービスとしての自動車にも対応をしています。サービスが主体になり、自動車所有が減少すれば、燃料販売量も現象するからです。具体的には、自社で車両を所有することにより、カーシェアサービスや自動運転車による交通サービスを提供するということです。注目すべきは、自社で車両を所有するということ。これにより、ガソリンスタンドの初期費用はさらに高くなりそうです。

 

このようなビジネスモデルが変化する背景には、次のような事柄が存在しています。

 

【ガソリンスタンドのビジネスモデルが変化する要因】

  1. 消費者ニーズの変化=モノとして所有する対象からサービスとして利用する対象に変化
  2. 新しいテクノロジーの登場=電気自動車の登場、燃費の向上、自動運転技術の開発

 

1・2により、従来の燃料販売だけでは、ビジネスとして成立しない恐れが生じます。この危機感が、石油メジャーを動かしているのです。

 

冷静に考えてみれば、石油メジャーがガソリンスタンドを運営することは、ほんんどないように思われます。というのも、元々粗利が小さいうえに、競争が激しく、儲からないから。しかし、現実には経営の安定のために、自社でガソリンスタンドの運営を行っているようです。

 

【大手石油メジャーがガソリンスタンドの運営に力を入れる理由】

  1. 原油暴落時に収益の急速な悪化を和らげてくれたから
  2. 燃料需要の拡大する新興国市場に大きなビジネスチャンスがあるから

 

1について、以前は自前での運営を減らしてきました。しかし、原油価格の暴落時に、石油メジャーの収益は急激に悪化。ただし、その悪化度合いを緩和してくれたのが、ガソリンスタンドビジネスだったのです。というのも、ある程度安定した需要・売上が期待できるからです。緩衝材としてのスタンド運営が見直されるようになりました。

 

さらに、2のように、新興国では燃料需要の拡大が見込まれます。これは、ビジネスチャンスに他なりません。例えば、BP社は、メキシコ・インドでスタンド運営を拡大・開始するようです。

 

各社は新しいガソリンスタンドモデルを開発して、差別化に勤しんでいます。

 

【石油メジャー・その他石油関連企業のスタンド差別化事例】

  1. ロイヤル・ダッチ・シェル社

今後12~18ヶ月で、代替燃料(水素・LNG・電気など)を販売する実験を世界で実施。

ネット通販購入品を受取るロッカーの設置を検討。

オランダで燃料宅配サービスを計画。

レストランの設置を計画(現在は軽食販売のみ)。

  1. BP社

世界の50軒のガソリンスタンドで、電気自動車用チャージャーを設置。

利便性の高いスマホ支払いアプリを実験。

  1. エクソン・モービル社

高燃費車向けの新しいガソリンスタンドモデルを開発中

  1. トータル社(フランス)

欧州に電気チャージスタンド・天然ガススタンド、ドイツに水素スタンドの設置を計画。

  1. モル・グループ社(ハンガリー)

自動運転車の開発、カーシェアリングサービスの拡充。

 

2について、BP社のスマホアプリを使えば、スマホ上で燃料の種類・購入量・スタンドを選択し、登録済みクレジットカードで事前に支払うことができます。スタンドで行うのは、燃料補給のみ。待ち時間もほとんど生じないため、燃料補給の利便性が大きく向上します。

 

3について、エクソン・モービル社が高燃費車対策を進めるのは、世界で燃費規制が厳格化しているため。燃料を多く食う「おいしい」車は、今後減少せざるを得ないのです。もちろん、これはガソリンスタンドにとって大きな痛手です。

 

ただし、このような多様なサービスを提供する新型ガソリンスタンドにも、課題があります。それは、燃料購入者だけではなく、近隣の人に役立つサービスの提供に躍起になれば、本来注力すべき燃料販売が疎かになりかねません。これでは、石油メジャーがガソリンスタンドを運営するメリットが無くなります。

 

【注目点】

  1. 川下は概して利益率は低いが、安定している。
  2. カーシェアリング・自動運転サービスなど交通サービスとしての自動車は、自動車関連ビジネスに変化を余儀なくさせる。

 

1について、川下商売は概して立地に縛られがちです。しかし逆に言えば、それだけ安定しているということにもなります。だからこそ、石油メジャーを襲った原油価格暴落に対しても、緩衝材の役割を果たしたのです。

 

2について、交通サービスとしての自動車が普及すれば、自動車稼働数=自動車販売数は明らかに減少します。ガソリンスタンドなど、自動車の台数に依存したビジネスは、ビジネスモデルを変えざるを得ないのです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ガソリンスタンドのビジネスモデルが変化するのは、自動車を所有するモノから利用するサービスとして捉える消費者が増加したからである。
  2. また、電気自動車の登場や燃費向上、自動運転技術の開発など、新たな技術の登場により、従来の燃料販売だけではビジネスとして成り立たなくなる恐れが出てきたからである。
  3. 具体的には、電気も含めた燃料販売、レストラン・小売店の設置、ネット通販購入品引渡しサービスの提供、カーシェアリング・自動運転サービスの提供である。
  4. 大手石油メジャーがガソリンスタンド運営を行うのは、原油暴落など経済の異変に対して緩衝材の役割を果たしてくれるからである。また、燃料需要の拡大する新興国にビジネスチャンスがあるという理由も大きい。
  5. サービスとしての自動車利用が増えれば、自動車関連ビジネスは変化を余儀なくされる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

またまたふるさと納税ネタ・小正醸造ネタです。

 

ふるさと納税で頂いた3升の焼酎が、予想以上に美味しかった。

フルーティーな黄猿しかまだ飲んでいませんが、あまりの美味しさにもったいなく感じ、ちびちび飲むほどです。

ここまでフルーティーな芋焼酎を飲んだことはありません。

さらに、ワイン酵母で仕込んだ麦焼酎の白猿は、飲むのが楽しみで仕方がありません。

今年もいただこうかと思います。

日置市さん・小正醸造さん、ありがとうございます。

 

【ふるさと納税】赤猿・黄猿・白猿の1升瓶3本セット 小正醸造

 

 

もちろん、楽天市場で販売もありますよ。

いいもの作るなぁ、小正醸造さんは。

 

 

編集後記

自動車は、5ナンバーにこだわっていたのですが、乗り心地を考えると3ナンバーの方が勝っています。

車幅が広がる分、運転・駐車などうまく立ち回れるか、少し不安。

さぁ、もっと悩もう。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

 

 

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