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【689号】売り時を間違えなければ、株式投資はうまくいく?

stock investment

by courtesy of chauromano

 

◎本日のニュース

1)見出し
Can You Be Bound for Glory?

 

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2)要約

株価上昇時には、前もって決めた売却価格まで待つのは難しくない。しかし、株価急落時には、その約束を守るのはとても難しい。というのは、株価売買を自分の意志に頼っているからである。

 

事前に決めた約束事と利益の大きさに関して、心理科学者による面白い実験がある。その実験結果によると、意志だけに頼る人は、より大きな利益ために待てる確率は低いという。一方、待つことが難しいと理解して、事前に決め事をした人は、脳の中で利益についてより深く考えるようになり、待てる確率が高いという。

 

この実験結果からわかるのは、株式の売却を意志の力にだけ頼って行えば、収益機会を逃しやすいということである。そこで工夫が必要となる。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

A new study sheds light on why people who “precommit” to structured decisions that lock them into a plan are better able to stay the course than those who rely on willpower alone—and how precommitting might be rewarding in itself.

 

4)キーとなる英文の和訳

新たな研究が、次の事項に光を当てている。

それは、計画に縛り付けるために機械的な決め事を事前に守ると約束した人が、意志の力だけに頼る人よりも、なぜ計画を実行できるのか、ということである。

また、事前の約束が、どのようにしてそれ自体利益をもたらしているか、についてである。

 

5)気になる単語・表現

shed light on 熟語 ~に光を当てる
commit 自動詞 約束する
structure 他動詞 ~を組み立てる
willpower 名詞 意志力、自制力
reward 自動詞 ~に報いる

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

株式の売り時が難しくなっています。というのは、乱高下が激しいからです。例えば、S&P500指数は、1500から1600に達するまでに13年も要しました。一方、1600から1700まで上昇するのに必要としたのは、たったの90日間。それだけ、上昇スピードが早いということです。逆に、下がる時は大きく下がっています。

このボラティリティの大きな環境の中、個人投資家が困るのがその売り時をいつにするかということ。事前にいくらになったら売るかと決めるのはいいものの、その決まり事を守るかどうかは、その時々に掛かっています。株価が上昇している時は、その決め事に従うのは難しくありません。しかし、ついつい含み益が出来てしまうと、利益を確定したいと思うもの。一方、株価が急落している時は、なかなか損切りができにくいものです。それは、今が底で上昇するかもしれないと思うからです。決め事の意志の力で行おうとすると、ついつい、早めの利益確定・遅めの損切りになり、収益機会を逃すことになります。

意志の弱さを克服するには、決め事の実行を事前に約束すればいいかもしれません。そこで気になるのが、

[1]    なぜ、事前に約束した方が、意志の力だけに頼るよりも決め事を実行しやすいのか。

[2]    どのようにして、事前の約束自体が利益をもたらすのか。

という2つのことです。

これについて、神経科学者による実験が行われました。その実験内容・結果は、次の通りです。

【事前の約束と意志の力に関する神経科学者による実験】

◯78人の男性に対し、服を不十分にしか着ていない女性の写真を見せるという報酬を与える。

◯十分待つと、より裸に近い写真を見ることができるが、待てないと服に覆われた部分が多い女性の写真しか見られない。

【実験結果】

[1]事前に約束した人よりも、意志だけに頼る人の方が、十分待てる確率はより低い。

[2]待つことが難しいと判断し、事前に約束をした人は、脳の中で報酬の違いについてより深く考えるようになる。

このような実験を行ったのは、異性に対するイメージは、資産の利得に反応するのと同じ脳の部分を活性化させるからです。

実験結果1は、特に驚きではありません。意志の力は弱く、事前に約束した方が計画を実行しやすいからです。

一方2は、事前に約束する自体が利益をもたらすという意味で、驚きの結果です。事前に約束をすれば、その決め事を実行する確率が高まるだけでなく、意志の力に頼る場合よりも利益について深く考えるようになり、決め事の実行がたとえできなくても、より大きな利益を得ることになるからです。実験目的2の、事前の決め事自体に利益があることを解明したことになります。

これを株式投資に当てはめると、たとえ拘束力のない決め事でも、早めの利益確定・遅めの損切りを避けることができることになります。例えば、株式投資における決め事では、次のようなものが考えられます。

【株式投資における決め事例】

ドルコスト平均法での購入→拘束力あり

ホールド期間を決めた購入契約→拘束力あり

運用目的にちなんだ口座名を付ける→拘束力なし

売る条件のチェックリストを作る→拘束力なし

前者2つは、株式というよりも投資信託の積立に関する契約であり、他者が関わるので、拘束力があります。よって、この決め事に意志が入り込む余地はありません。一方、後者2つは、自分で決めたことであり、他者は関わらないので、拘束力はありません。よって、いつでも簡単に約束を破ることができるのです。一見、後半2つの方法は、全く意味のないように見えますが、実験結果によると大きな効果を発揮するのです。事前に投資目的や売却価格を決めることにより、今の売却と計画通りの計画の損益を深く比較するようになり、より得をする方を選択するからです。

この記事では、

マスト(決め事)に縛られたくないなら、株式投資をする資格が無いだろう

という厳しい意見が述べられています。この背景には、将来の株価変動は、今まで以上に大きいことがあります。大きな株価変動の中で利益を上げるには、たとえ拘束力が無くても、決定事項の実行を事前に約束することが必要になります。

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《今回のヒントのまとめ》

1)  今後の株価変動が大きくなると予想される中、株式の売却時期を決めるには、意志の力ではなく事前の約束がより重要になる。

2)  たとえ拘束力がなくても、事前の約束があった方が利益は大きくなる。

3)  それは、事前に約束した方が、頭の中で利益をよく深く比較するようになり、誤った売却時期の選択をしない確率が高くなるからである。

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ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

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編集後記

株式は、売り時が一番難しいですね。

私が常々やっていることは、欲を欠かないことです。

収益性よりも確実性を重視しています。

 

 

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2013/08/19 | 資産運用

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