【722号】アメリカで大型高級調理器具の売上が伸びている本当の理由

by courtesy of VancityAllie

◎本日のニュース

1)見出し　
Pots, Pans and Knives in Size XL in Demand

【出典】

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2)要約

アメリカでは、従来プロの調理人が使っていたようなサイズの大きな高級調理器具が売れているという。購入するのは、一般消費者である。

その要因としてまず上げられるのは、料理をする男性の増加である。女性よりも体が大きいので、大きな道具でないと売れないことになる。また、機能性の高さやキッチンの大型化も影響している。

ただし、全体の調理道具市場は、住宅バブル崩壊後に縮小したままの状態である。大部分の人が、有名ブランドの廉価品を量販店で購入するからである。一方、売上を伸ばす大きな高級調理器具は、高級専門店で売れている。

◎キーセンテンスとその翻訳

3）キーとなる英文

Bigger often sells better when it comes to pots and pans.

4）キーとなる英文の和訳

サイズが大きくなれば、売上が良くなる場合が多い。

これは、鍋やフライパンに当てはまる。

5）気になる単語・表現

なし

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

アメリカで、サイズの大きな高級調理器具が売れているようです。大変興味深いのは、調理器具全体の市場は、住宅バブル崩壊後に縮小したままで、伸びていません。つまり、調理器具ブームが起きているのではなく、大きな高級調理器具ブームが起きているということになります。低迷する調理器具全体市場と拡大する大型高級調理器具市場を対比すると、以下のようになります。

【低迷する調理器具全体の市場と拡大する大型高級調理器具市場の比較】

［調理器具全体の市場］

量販店で有名ブランドの廉価版を購入する人が増加→単価下落により売上低迷

［高級調理器具市場］

高級専門店で大型・高級調理器具を購入する人が増加→客単価・客数とも増加し売上拡大

サイズの大きな高級調理器具が売れている理由は、以下のとおりです。

【アメリカでサイズの大きな高級調理器具が売れている理由】

［1］料理好きの男性が増えているから

［2］冷凍用や平日用に、週末に大量調理を行うから

［3］より高機能（なイメージ）で便利だから

［4］高級住宅街のキッチンが大型化したから

［5］自分の調理技術を見せびらかしたい人が増えているから

1について、特にデータは掲載されていませんでしたが、料理好きの男性が増えているようです。大抵女性よりも体が大きいので、大きなサイズの調理器具が売れることになります。実際に、通常ナイフの大きさは6～7インチですが、10インチのナイフが売れているようです。

2について、これは特に今に始まったことではないかもしれません。今食べる分ではなく、将来食べる分を作り置きするためには、大量に調理しなければなりません。よって、大きなサイズの器具が必要になるのです。

3について、実際に高機能であり、また高機能に見えるという要素も、売れる要因となっています。例えば、先述の10インチのナイフを使えば、テコの原理によりあまり力を入れずに切ることができます。イメージを重視するのは、パーティーなどの際に、キッチンを友人に見せる機会があるからです。高級な調理器具をキッチンに備えることにより、自慢できます。

4について、高級住宅街のキッチンが大型化しているようです。そのため、キッチンに合う調理器具のサイズも、大きくなります。その結果、大型の鍋やフライパンの売れ行きが伸びています。

5について、パーティーなどの際に、手際よく美味しい料理を提供すれば、自分の調理技術の高さを誇示できます。そこで売れているのが、同時に複数の調理ができる大型オーブン。GEアプライアンスでは、15％容量の大きなオーブンを発売しています。

このように、料理好きの男性や高級住宅街に住む富裕層・パーティー好きの消費者をターゲットにすることで、高単価の商品でも売れることがわかります。しかし、フライパン一つ500ドル以上もする大型高級調理器具は、そう簡単に買えるものではありません。富裕層なら買えますが、富裕層が大量の調理器具を購入するとも考えにくく、富裕層以外の消費者にも訴求する必要があります。では、富裕層以外の消費者が、500ドル以上もする高級フライパンの購入に踏み切れるのはなぜなのか。

その理由は、

外食機会を減らせると考えるから

です。一回の外食（フルサービスレストラン）を家族ですれば、最低でも100ドルは掛かるでしょう。ならば、5回分を自宅で食べれば、高級フライパンの費用を捻出できることになります。さらに、高級フライパンを使えば、5回どころか何年も美味しい料理を作れるので、外食5回分よりも得ということになります。外食機会を減らせるという口実を作ることにより、単価の高い大型高級調理器具を購入できるのです。

外食機会を減らせるという意味では、ある種の節約志向とも捉えることができます。大型高級調理器具が富裕層以外にも売れている背景には、根強い節約志向があるのです。週末に大量調理を行うのも、節約志向のためとも言えます。

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《今回のヒントのまとめ》

1）アメリカの調理器具全体の市場は、住宅バブル崩壊後に縮小してから低迷している。一方で、大型高級調理器具は売上を伸ばしている。

2）その理由は、「料理好きの男性が増えているから」「冷凍用・平日用として週末に大量調理を行うから」「より高機能（なイメージ）で便利だから」「高級住宅街のキッチンが大型化したから」「自分の調理技術を誇示したいから」である。

3）売上を伸ばしているのは、数少ない富裕層以外にも波及しているからである。

4）富裕層以外にも単価の高い調理器具が売れるのは、外食機会を減らせるという口実を購入時に持つからである。

5）これは節約志向であり、大型の高級調理器具が売れる背景には、根強い節約志向があるとも言える。

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