【730号】音楽ストリーミングサービスが来年続々始まる要因とは?
by courtesy of Johan Larsson
◎本日のニュース
1)見出し
Scores of Music Services Stream Into Crowded Field
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2)要約
音楽ストリーミングサービスが、来年続々とリリースされる。そのサービスは、これまでのストリーミングサービスとは異なり、制限がある代わりに低価格なのが特徴である。例えば、ジャンルに制限があるが、月2.99ドルで利用できる。
音楽ストリーミングサービスに新規参入が増える要因として、楽曲を提供するレコード会社の事情がある。音楽業界の復活や新たな投資獲得を目指して、より安定した収益の見込める課金型ストリーミングサービスに注目しているからである。
また、課金型ストリーミングサービス市場は、音楽小売市場全体の中ではまだ小さいが、逆に成長余地があるとして、参入が増えている。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The number of music-streaming services is set to explode next year, as record labels have warmed up to the idea of renting consumers access to a vast collection of tunes, rather than selling them individual albums or songs.
4)キーとなる英文の和訳
音楽ストリーミングサービスの数が、来年爆発的に増加するとされている。
それは、レコードレーベルが、個々のアルバムや楽曲を販売するよりも、多くの楽曲をまとめたものへのアクセス権を消費者に貸すアイデアに強い興味を示しているからである。
5)気になる単語・表現
explode |
自動詞 |
爆発的に増加する、急増する;爆発する |
warm up to |
自動詞句 |
~に熱心になる、興奮する |
rent A B |
他動詞 |
AにBを賃貸する |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
来年アメリカで、音楽ストリーミングサービスが続々と始まるようです。その新サービスは、従来のサービスとは少し異なります。従来のサービス・新サービスを比較すると、次のようになります。
【音楽ストリーミングサービスの比較】
[従来型]月10ドルほどで莫大な数の楽曲に無制限にアクセスできる(スポッティファイなど)、好みの音楽ステーションを作れる(クリアチャネルコミュニケーションなど)、チャンネルを選べば勝手に音楽が流れる(パンドラメディア・アイハートラジオなど)
[2014年型]ジャンルに特化、月額課金が小さい
簡単に言えば、制限を加える代わりに利用料金を安くした、というのが2014年型の特徴です。例えば、
月2.99ドルで利用できる
一週間だけ利用できる
新曲がない
などの特徴を持つサービスが、来年始まります。
ストリーミングサービスに新規参入が増えるとなると、その市場規模が大きい、または成長していると思われますが、実際はそうではありません。
【世界・全米の音楽・ストリーミング市場】
[世界]音楽好きの約3分の1がストリーミングサービスを利用。しかし、利用料を支払っているのは10% だけ。
[全米]音楽全体の市場規模は、年間約70億ドル。一方で、2012年のストリーミング市場は、5億7100万ドル。
このように新規参入が進むストリーミング市場ですが、その割に市場規模はさほど大きくありません。収益性を考慮すれば、さらにその市場規模は小さくなります。世界的に有名はスポッティファイやパンドラメディアは例外で、多くの音楽ストリーミングサービスは、ユーザーの伸び悩みに直面しているのです。
それでも新規参入が増えるのは、市場規模が小さいからこそ、逆に成長余地があると考えるからです。また、楽曲を提供するレコード会社が、ダウンロード販売よりもアクセス権のレンタルに興味を示しているという点も、大きな要因です。では、なぜ販売よりもアクセス権のレンタルに興味を示すのか?その理由をまとめると、次のようになります。
【レコード会社が楽曲のアクセス権の貸与に興味を示す理由】
[1] 変動の大きな販売よりも、より安定した月額課金のストリーミングサービスの方が、より収益が安定し、新規投資を呼び込めるから。
[2] 音楽共有サービスのナップスターの登場以来、自社で新たなビジネスモデルを確立できなかったから。
1は、ビジネスモデルの転換です。従来のヒット曲に依存する変動の大きなモデルから、月額課金制の安定したモデルへ変わることにより、収益の安定を図り、新たな投資を呼び込もうとしています。
2について、音楽共有サービスが生まれたことにより、楽曲売上は43%減少。自分たちで、新たなビジネスモデルをつくり上げることができなかったからです。しかし、2011年以来、音楽ストリーミングサービスや月額課金制のサービスが、この減少を食い止めてきました。この成功事例を元に、自社でのサービス提供よりも、アクセス権のレンタルに力を注ぐようになりました。
ビジネスモデル転換に動くレコード会社は、月間利用料を請求する携帯電話キャリアやケーブルテレビプロバダーのストリーミングサービスに期待しています。一方で、アクセス権付与の交渉には時間を掛けています。そこで、その交渉を請け負う代行企業が登場します。
例えば、ロンドンが本拠地のセブンデジタル社(7digital Ltd.)は、ジャンルに特化したストリーミングサービスの交渉を、配信企業の代わりに行います。そして、その権利をサムスン社やその他家電メーカーに提供し、家電メーカーが会員募集を行います。
このように、月額課金のストリーミングサービスに期待を寄せるレコード会社とその交渉を担当するベンチャー企業が核となり、既に大きなユーザー層を持つ携帯電話キャリアやケーブルテレビプロバイダー・家電メーカーが、収益拡大を狙って音楽ストリーミングサービスに参入することで、新サービスが大きく増えるという構図になります。さらに、グーグルなどのIT企業が新規参入するとなると、その数は膨大となり、来年のストリーミング市場はかなりの混戦が予想されることになります。
※記事で紹介された音楽ストリーミングサービス。ただし、日本でサービスを開始していないサービスでは、海外サイトも見ることができない。
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《今回のヒントのまとめ》
1) アメリカでは来年、新しい音楽ストリーミングサービスが続々と始まる。
2) その原因は、市場規模がまだ小さいだけあって、成長の余地があるからである。また、レコード会社が、楽曲の販売よりもアクセス権のレンタルに興味を示しているからである。
3) レコード会社がアクセス権に注目するのは、ヒット曲に依存する変動の大きなビジネスから、月額課金の安定したビジネスに転換し、新たな投資を呼び込みたいからである。
4) また、既存のストリーミングサービスが、楽曲販売の減少を食い止める働きをしているからである。
5) さらに、アクセス権付与の交渉を代行するベンチャー企業の存在も、ストリーミングサービスへの参入を容易にしている。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
iPod touchを購入する予定が、コストを抑えたいために結局スマホにしました。
中古だったので少し不安ありましたが、このCPUの速さにはびっくり。
まぁ、ここ2年ほど携帯端末を新規購入していなかったので、浦島太郎状態だったのかもしれませんが。
難点はバッテリー容量の小ささですが、メインが音楽(たまにネット検索)用途なら、十分です。
1年ほど前の端末で人気がない機種なので、安く手に入るのがいいですね。
docomo NEXT series Optimus G L-01E
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
風邪を引いたみたいです。
頭が痛いので、今日はこのへんで。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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