【763号】バーガーキング・ウェンディーズのモバイルアプリがスタバよりも劣る理由
Photo:Samsung WOW App Connects Millions Worldwide to Sochi 2014 Olympic Winter Games By samsungtomorrow
◎本日のニュース
1)見出し
Why Wendy’s, Burger King Mobile Apps Aren’t a Full Meal
【出典】
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
ファストフードチェーンのウェンディーズとバーガーキングが、スターバックスに追いかけるようにモバイルアプリの提供を開始した。目的は、スマホで支払いを済ませたい若い見込み客を集客し、囲い込むためである。しかし、アプリの効果は、スタバほど期待できそうもない。
まず、決済利用の使い勝手が悪い。決済時にスキャンするスタバに対し、両チェーンは数字のコードをレジ係に伝えなければならない。また、スタバとは異なり、ロイヤリティプログラムと連結していない。利用を促すインセンティブがないため、利用動機が強くなりにくい。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Unlike the Starbucks app, the apps force customers to take extra steps during the purchasing process experts say are cumbersome, and don’t include incentives such as those incorporated in the Starbucks app that are intended to drive repeat business.
4)キーとなる英文の和訳
スターバックスアプリとは異なり、アプリを使うのに、顧客は決済プロセスにおいて余分なステップを踏まなくてはならない。
専門家によると、そのステップが使いづらいという。
また、スタバアプリに組み込まれたようなインセンティブを持たない。
このインセンティブには、常連を増やす役割がある。
5)気になる単語・表現
cumbersome | 形容詞 | (運搬・着用するのに)やっかいな、扱いにくい;(方法・過程などが)複雑で手間がかかる |
incorporate | 他動詞 | ~を合体させる、~を組み入れる;(商店など)を法人組織にする |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
外食チェーンがスマホアプリを導入するのは、スマホを使い慣れた若者を集客し囲い込むためです。レジにてスマホを使って支払いを済ませることが“クール”であり、そういう自分を自慢したいという感情が働くようです。小銭が不要になり、決済時間を短縮できるという利便性という意味合いも確かにありますが、それ以上に「かっこよさ(スマートさ)」が重要なのです。
先行して導入したスターバックスとウェンディーズ・バーガーキングのアプリを比較すると、その「かっこよさ」に大きな違いがあることがわかります。
【スターバックスとウェンディーズ・バーガーキングのモバイルアプリ比較】
[決済方法]
スターバックス→電子リーダーでスキャン
ウェンディーズ・バーガーキング→数字コードをレジ係に伝える
[ロイヤリティプログラム]
スターバックス→ロイヤリティプログラムと連結。利用回数に応じてフードまたはドリンクを無料進呈
ウェンディーズ・バーガーキング→ロイヤリティプログラムと連結せず
決済方法の違いに、「かっこよさ」の違いが大きく表れています。スターバックスはスマホ画面上のコードをレジ係に示し、スキャンすることで支払いが完了します。一方のウェンディーズとバーガーキングは、スマホに表示された数字コードをレジ係に伝えなければなりません。聞き取りにくいことや聞き間違いも起こりやすく、スキャンよりも時間が掛かることでしょう。それ以上に、わざわざ口でコードを伝える事自体が、「かっこよさ」とはかけ離れています。しかも、ウェンディーズの場合は、数字コードの有効時間が5分間だけ。手続きになれない店員に遭遇した場合は、5分以上経過し、アプリにもう一度ログインする必要があります。IDとパスワードを入力する手間が面倒で、アプリの決済利用を諦める人もいることでしょう。
ロイヤリティプログラムの違いは、利用動機に影響します。ウェンディーズ・バーガーキングのアプリでも購入履歴は残るものの、いくら利用しても何か変わるわけではありません。一方のスタバでは、1回の購入でゴールドスターというポイントが付与され、12個貯まれば、自動的にフードまたはドリンクが無料になるようです。利用者にとっては、同じチェーンを継続利用しようというインセンティブになり、一方店舗側にとっては、顧客を囲い込むことができます。ロイヤリティプログラム・インセンティブプログラムのないウェンディーズ・バーガーキングのアプリは、利用者にとって使う動機が弱くなり、店舗にとっても顧客を維持する効果もないのです。
ちなみに、スタバがロイヤリティプログラムを重視するのは、次のようなデータがあるからです。
【スタバのロイヤリティプログラムに関するデータ】
[1] ロイヤリティ会員が全決済の25%を占める
[2] 1000万人のアプリユーザーが全決済の14%を占める
ロイヤリティ会員の売上金額はわかりませんが、おそらく2:8の法則に近いものと思われます。つまり、全決済の25%を占める一方で、売上の8割近くはロイヤリティ会員がもたらしているのではないでしょうか。それだけロイヤリティ会員=常連客に支えられているからこそ、モバイルアプリをロイヤリティプログラムと連結させたのです。
バーガーキングでは、ロイヤリティプログラムとの連結が行われたようです。また、現在ではインセンティブも提供されており、スタバアプリに近づいたと言えます。
栄養成分の開示や店舗検索などモバイルアプリは利便性を提供するだけでなく、店舗にとっては顧客の囲い込み、顧客にとってはスマートの決済できる「かっこよさ」とインセンティブの獲得という意味合いがある。ビジネス側に立つと、顧客属性と購入データを紐付けすることで、より効果の高い販促が可能となる。依然ロイヤリティプログラムと連結していないウェンディーズのモバイルアプリは、この利点を享受できないだけに、もったいないと言わざるを得ない。
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《今回のヒントのまとめ》
(1)外食チェーンがモバイルアプリを導入するのは、スマホ決済することに「かっこいい」と感じる若者を集客するためである。
(2)この点で、決済時に数字コードをレジ係に伝えなければならないウェンディーズとバーガーキングのアプリは、「かっこよさ」に欠けるばかりか、使い勝手が良くない。
(3)さらに、ロイヤリティプログラムと連結せず、インセンティブもないために、顧客に利用動機が生まれにくい。
(4)この結果、モバイルアプリの最大の利点である顧客の囲い込みができなくなる。
(5)一方、モバイルアプリで先行するスターバックスは、ロイヤリティ会員という常連客に売上が支えられているために、ロイヤリティプログラム・インセンティブをモバイルアプリに導入している。
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ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
三ノ宮でランチを食べる機会が多いのですが、ふと入った洋食屋さんがこちら。
ハンバーグがとてもジューシーで、つなぎを使っていないかのような美味しさでした。
チキン南蛮も、手作り(?)タルタルソースで絶品。
値段も手頃なので、また利用したいです。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
モバイルアプリと言えば、最近モバイルワオンを使うようになりました。
スマホでクレジット入金まで行えるので、とても便利ですね。
ダイエーがワオンを導入したので、利用が増えそうです。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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