【779号】ネスレがネスカフェの活性化を目指す理由とその方法
Photo:Nescafe By calium
◎本日のニュース
1)見出し
Nestlé Seeks to Revitalize Nescafé Brand
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2)要約
ネスレは、欧米で売上が鈍化しているネスカフェのテコ入れに力を注いでいる。というのも、ネスカフェは、単独では最大のブランドであり、ネスレの粉末・液体飲料部門だけではなく、会社全体の売上を支える貴重なブランドだからである。
欧米で苦戦しているのは、コーヒーにより品質や利便性を求める消費者の変化だけではなく、インスタントコーヒー市場のみならずポッド型コーヒーやカフェなどとの競争が激しくなったからでもある。一方、アジアなどの新興国では、インスタントコーヒーの高級ブランドとして売上を大きく伸ばしている。
テコ入れ策として、若者向けのマーケティングや新製品発売により、新規顧客獲得に動くだけではなく、好調な新興国ではポッド型タイプを販売することで、より高級品へのシフトも目指している。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Nestlé SA wants to brew up interest in one of its oldest brands—Nescafé instant coffee.
4)キーとなる英文の和訳
ネスレ社は、最も由緒あるブランドの一つに対する販促に力を入れようとしている。
そのブランドとは、インスタントコーヒーのネスカフェである。
5)気になる単語・表現
brew up | 他動詞句 | ~をたくらむ;(波乱など)を起こす;~を醸造する |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ネスレがネスカフェの活性化に力を入れるのは、ネスレの収益を支えるブランドであるにも関わらず、欧米での売上増が鈍化しているからです。一方で、アジアなどの新興国では売上を大きく伸ばしています。この対比は、WSJの記事冒頭にグラフが掲載されているので、そちらを御覧ください。
ネスカフェの偉大さをまとめると、次のようになります。
【ネスレにとって重要なネスカフェというブランド】
[1] 単独ブランドとしては最大の売上規模
[2] 2013年に228億ドルを売り上げた粉末・液体飲料部門の59%、135億ドルを売り上げるお化けブランド
[3] ネスレ全体の営業利益156.1億ドルの5分の1を生み出す
[4] 1938年にスイスで発売した老舗ブランドで、現在180カ国で販売
ネスレの屋台骨を支えるブランドですが、一方でネスレの収益目標未達の戦犯でもあります。その理由は、欧米で想定ほど売上が伸びなかったから。欧米で苦戦する原因は、次の通り。
【ネスカフェが欧米で苦戦する要因】
[1] より高い品質・利便性を求める消費者の変化
[2] インスタントコーヒー市場での競争激化
[3] 新しく登場したポッド型コーヒー人気
[4] カフェなどコーヒー市場全体での競争激化
1について、消費者の目が肥えることにより、インスタントコーヒーは時代遅れの存在とみなされるようになりました。それが、ネスカフェが売れなくなった最大の要因です。他のタイプのコーヒーの代替品と捉えられれば、コモディティ化し価格競争に巻き込まれやすくなるのは仕方ありません。
一方で登場したのが、3のポッド型コーヒー。この代表格が、ネスレのネスプレッソ。ネスレは、消費者の変化に対応して、ネスカフェとカニバリしかねない商品を投入したのです。自社競合のリスクよりも消費者ニーズを重視するネスレのこの姿勢は、なかなかできるものではありません。
2について、インスタントコーヒーの人気が落ちたと言っても依然大きな市場ではあるのですが、その市場の競争が激化し、ネスカフェはシェアを落としています。2004年には最大47%もあったシェアが、44%にまで低下しました。さらに、スターバックスなどのカフェとの競合も、ネスカフェの売上悪化の要因になっています。その結果、世界ブランドランキングにおけるネスカフェの順位は、2009年から12ランク落ちて37位にまで低下しました。
そこでネスレがネスカフェ活性化ために採った方法は、以下の通りです。
【ネスカフェ活性化策】
[1] 既存品の若者向けマーケティングを実施→客数増
[2] 若者向け新製品を発売→客数増
[3] 新興国でネスカフェ用マシンを発売→客単価増
1・2はネスカフェの消費の少ない若者にターゲットを絞ることにより、客数の増加を狙ったもの。コーヒーを飲み始めたばかりの10代の子供向けのキャンペーンを、スイス本社主導で実施します。通常、この手のキャンペーンは、各国が独自のマーケティングを行うので、本社の本気度がわかります。
若者向け新製品とは、シャキッシモ(Shakissimo)というチルドコーヒー牛乳。まずヨーロッパから発売し、売れ行きを見て、全世界に販売を広げる予定です。
3について、ネスカフェの売上が好調な新興国ですが、成熟化すれば欧米のように売上が鈍化する可能性は高いと言えます。ならば、ブランド力の高いうちから、欧米で人気のタイプを導入すれば、他ブランドに市場を奪われません。そこで投入するのが、ネスカフェ・レッドカップ用のマシンです。検索してみると、日本のネスカフェバリスタとほぼ同じです。スイッチ一つでインスタントコーヒーが作れる利便性の高さを訴えることで、ネスカフェブランドをより強固なものしようというもの。マシンを使ってネスカフェの消費量が増えれば、客単価増として売上増につながってきます。
このように、ネスレのネスカフェ活性化策は、教科書通りのオーソドックスなものだとわかります。さすが、マーケティングを重視する会社ですね。
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《今回のヒントのまとめ》
(1)ネスレがネスカフェ活性化に力を入れているのは、ネスレ最大のブランドであり、収益貢献度が高いにも関わらず、欧米で苦戦しているからである。
(2)苦戦する理由は、より高品質・利便性の高いコーヒーへの消費者のシフト、ポッド型コーヒー人気、インスタントコーヒー市場・その他コーヒー市場での競争激化である。
(3)そこで、客数増を狙って、若者獲得に動こうとしている。具体的には、若者向けのキャンペーンの実施や若者向け新製品の発売である。
(4)好調な新興国では、より簡単にネスカフェが作れるマシンを投入し、消費増による客単価引き上げを目指している。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
いろいろどら焼きを食べてきましたが、一番は難波の浪芳庵でした。
難波に本店があり、いつも買うのはJR三越伊勢丹ですが。
朝焼きどら焼きが一番美味しいですが、夕方にはいつも売り切れ。
賞味期限が短いのもネックです。
だから、いつも普通のどら焼きか玄米どら焼きを買いますね。
値段も手頃なのも嬉しいところ。
生地がふわふわで、いつも幸せな気分になれます。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
18日のBSジャパンの番組に、たまたまネスレ日本の高岡社長が出演されていました。
マーケティング畑出身だけあって、とても興味深いお話でしたよ。
ネスレの施策は、とても勉強になりそうです。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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