【782号】アメリカで冷凍食品が直面する課題とその対策とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Frozen Foods Grow Cold as Tastes Shift to Fresher Fare
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2)要約
これまで利便性の高さで支持を得てきた冷凍食品が、売上低迷に直面している。この背景には、消費者の健康や利便性への考えの変化が潜んでいる。
単に健康志向が高まっただけではなく、より本物に近く、高品質でスクラッチに近い商品をヘルシーと考える風潮が強くなっている。また、テレビ番組や専門家の啓蒙により、より早く簡単で楽しい調理が人気を呼び、調理のハードルが低下している。そこに表れたのが、高品質なファストウードやスーパーが扱う新鮮な総菜。冷凍食品よりも調理用の食材や、より新鮮で美味しい総菜を選ぶ人が増えている。
そこで冷凍食品メーカーは、生鮮品の利用に対応した商品の発売や、朝食やおやつ用など伸びる市場への進出、愛用する高齢者へのマーケティング強化に動いている。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Long at the center of the supermarket and the heart of kitchen convenience, freezer-aisle items are struggling today as Americans shift their tastes to fresh food that they see as healthier.
4)キーとなる英文の和訳
冷凍食品は、長期間スーパーの中心的存在であり、キッチンの利便性を支える真髄であった。
しかし、今日その売上は低迷している。
その要因は、アメリカ人がよりヘルシーに思える生鮮品にその嗜好をシフトしているからである。
5)気になる単語・表現
aisle | 名詞 | (スーパーなどの商品のたなの間の)通路 |
struggle | 自動詞 | (努力したにもかかわらず)しっぱいしようとしている;もがく、あがく;(逃れようとして)闘う |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
利便性の高さがウリの冷凍食品ですが、アメリカでは市場縮小に直面しています。具体的な数字は、以下の通り。
【アメリカ冷凍食品の市場縮小】
[1] 冷凍チキン→9.3%減
[2] 冷凍ジュース→26%減
[3] 冷凍ピザ→5.6%減
[4] 温めるだけの冷凍食品→3%減の89.2億ドル
[5] ネスレ社の低カロリーシリーズ・リーンキュイジーヌ→25%以上減の10億ドル割れ
[6] コングラフーズ社のヘルシーチョイスシリーズ→終売に
市場が縮小している要因をまとめると、次のようになります。
【米冷凍食品の市場縮小の要因】
[1] ヘルシーの定義の変化
[2] 調理ハードルの低下
[3] ファストカジュアルチェーンや新鮮な総菜など代替品の登場
1について、単に健康志向が高まっただけではありません。健康・ヘルシーに対する考え方に変化が起きています。つまり、
ヘルシー・健康的=本物に近い、高品質、自家製、スクラッチである食材に近い
という考えになり、温めるだけで作られる箱入りの冷凍食品はヘルシー・健康的とは対極の商品に見なされるようになったのです。この背景には、ネットやSNSにより栄養に関する知識や食品業界への不信が高まりやすくなったことがあります。ネットの影響が、食のトレンドにまで影響していることがわかります。
2について、テレビ番組や専門家の影響で、より簡単に手早く楽しく調理する方法が広まりました。また、カット野菜やその他下処理した食材の活用法なども広まり、調理=面倒という考えが払拭されたとも言えます。この割を食ったのが、利便性をウリにする冷凍食品。簡単に調理することがわかれば、ヘルシーに思えない冷凍食品を買うよりも、生鮮食材を買って調理する人が増えても不思議ではありません。実際、冷凍食品の中でも、スムージー用の”調理”に使う冷凍フルーツの売上は、伸びています。
3について、とは言っても毎日調理ができる時間的余裕がない人もいるはず。その人のために登場したのが、高品質なファストフード=ファストカジュアルチェーンとスーパーで買える新鮮な総菜です。ファストカジュアルチェーンは、チキン料理のチポトレなど。冷凍食品よりも新鮮でヘルシー、美味しいとなれば、冷凍食品をやめてファストカジュアルや総菜を買う人が増えるはずです。
調理ハードルの低下を競合品の刷新と捉えれば、冷凍食品の売上不信の要因は、顧客ニーズの変化、競合品の改良、競合品の登場とまとめることができます。
そこで冷凍食品メーカー・業界は、次のような手を打っています。
【冷凍食品メーカー・業界の対策】
[業界]誤解を招くための全国規模の販促を開始
[メーカー1]生鮮人気に対応→客数の維持
[メーカー2]伸びる市場への進出→客数の拡大
[メーカー3]愛用者の深堀り→客単価の引き上げ
まず、業界は消費者の広がる誤解を解くために、テレビCMなど全国規模の販促を開始しました。誤解とは、消費者が中身の見える冷蔵ケース内の総菜・食品の方が、箱入りの冷凍食品よりも新鮮に考えるということです。実際の中身ではなく、見た目で判断されていることにより、冷凍食品の売上が減っていると考えました。実際、冷凍により腐敗を防止できるので、常温や冷蔵の食品よりも冷凍食品の方が保存料は少ないのです。イメージ払拭のためのプロモーションなのです。
メーカ-の対策としてまず、生鮮食材の人気や原材料への関心に対応したものがあります。ネスレは、リーンキュイジーヌで、サラダ用として、冷凍チキン・ドレッシング・その他トッピングをセットにした商品を発売しました。この冷凍食品は、生鮮野菜のレタスと一緒にサラダ用として使います。また、コングラフーズは、よりシンプルで使用原材料を削減した商品を発売しています。
この方法は、冷凍食品市場の縮小要因を打破するもので、顧客の流出を防止するもの。客数を維持するための方法です。
次に、伸びる市場に進出することにより、市場拡大を狙ったものがあります。ネスレは、市場が拡大する朝食用とおやつ用の冷凍食品を発売しました。新市場に進出することで、新規顧客を獲得できます。客数増を狙った方法です。
最後に、愛用者の的を絞った方法ですが、冷凍食品の購入者の半数以上が45歳以上であるという事実があります。この愛用者をターゲットにして、コングラフーズはヘルシーさをアピールした商品や小分けできる商品を発売しています。愛用者の購入点数の増加を狙ったものであり、客単価引き上げを目指した方法です。
冷凍食品メーカーがこのような対策を打てるのも、販売者であるスーパーの協力があるからに他なりません。スーパーも消費者の生鮮志向に対応して、ファーマーズ・マーケット(産直市場)を店舗周辺に開催するなど行っています。しかし、これは諸刃の剣になりかねません。というのも、高価な冷凍ケースを多数保有しており、生鮮品の売上に注力すれば、冷凍ケースが無駄になるからです。スーパーにも、冷凍ケースの投資を回収するために、冷凍食品の販売を強化する大義名分があるのです。
市場縮小に直面する冷凍食品メーカーの対策は、とても参考になります。そのやり方は、顧客ニーズの変化に対応した客数維持を目指したもの、伸びる市場に進出して客数拡大を目指したもの、愛用者の購入点数拡大を狙う客単価引き上げを目指したもの。オーソドックスなやり方と言えるでしょう。ただし、その背後には、冷凍食品の売上を伸ばさざるをえない販売者の協力があるのです。逆に、この協力がなければ、冷凍食品売り場が縮小され、市場縮小に歯止めが掛からなくなる恐れがあります。
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《今回のヒントのまとめ》
(1)アメリカで冷凍食品市場が縮小しているのは、消費者が抱くヘルシーの定義に変化があったからであり、また調理のハードルが下がったからである。また、ファストカジュアルや新鮮な総菜など代替品の登場も、市場縮小の要因となっている。
(2)それに対して、冷凍食品メーカーは、生鮮人気に対応した新商品の発売、伸びる市場への進出、愛用者の深堀りで対応。
(3)これらは、客数の維持、客数の拡大、客単価の引き上げを目指したものである。
(4)ただしこのような対策ができるのも、冷凍ケースの投資回収をしなければならないスーパーの協力があるからこそ。
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ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
たまたま、インテックス大阪に行った時にランチを食べたのが、こちらのイタリアン料理店。
高級ホテルの中のお店ですが、ランチは意外にリーゾナブルでした。
量の結構多く、2100円のランチに大満足。
特に、今日のピザ(ラグーとバジリコのピザ)はかなり美味しかったです。
残念ながら、ランチのみの営業。
お昼時のデートに最適でしょうか。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
タイガース、どうなるんでしょうか。
このまま最下位転落という最悪のパターンも考えておかないといけないのでしょうか。
それとも、逆転優勝に向けて予定を組んでいった方がいいのでしょうか。
エースが打たれると、辛いですな。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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