About

*

【789号】アメリカの朝食戦争最新事情

朝食

 

 

◎本日のニュース

1)見出し
As Cereal Slips, a New Battle Over Breakfast Dollars

 

 

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

2)要約

朝食の需要獲得を巡る戦いは、食品メーカーだけではなく外食チェーンも巻き込む激戦模様である。外食チェーンが朝食需要に力を注ぐのは、外食頻度の高い人は割合朝食も外食で済ませる割合が高いから。また、朝食メニューの利益率の高さも、外食企業の参入を後押しする。

 

しかし、現実には一般的なアメリカ人が朝食を外食する可能性は低い。というのも、外食するほど朝食に時間を割けないからである。この背景には、働くママの増加と働き続けるベビーブーマー世代の存在がある。

 

朝食戦争で苦戦を強いられているのが、シリアル。利便性の低さや低炭水化物・高タンパクへのシフトの煽りを受けて、消費量は減少している。一方で、持ち運べる朝食用冷凍食品や高タンパクのギリシャ風ヨーグルトは売上を急拡大させている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

But even as consumers back away from cereal to experiment with more protein-rich foods, their habits remain otherwise entrenched: most Americans still eat breakfast at home and follow morning routines more rigid than during the rest of the day.

 

4)キーとなる英文の和訳

しかし、たとえ消費者がシリアルを敬遠して、高タンパク食品を試しているにしても、朝食の習慣はその他の点では変わりない。

つまり、大部分のアメリカ人は、依然自宅で朝食を取り、その他の日常習慣よりも頑なに朝食の習慣に従っている。

 

5)気になる単語・表現

back away from 自動詞句 ~を敬遠する
experiment with 自動詞句 ~を試みる
otherwise 副詞 その他の点では;さもなければ
entrenched 形容詞 根付いた;堅固な

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

外食チェーンが朝食市場に力を注いでいるのは、次のような旨みがあるからに他なりません。

 

【外食チェーンが朝食に力を注ぐ理由】

[1]   成長余地があるから

[2]   利益率が高いから

1 について、週に2回以上外食をする人のうち、30%は朝食も外食で済ませるようです。ちなみに、ランチは40%、ディナーは50%。その割に、朝食を提供 する外食店は、ランチ・ディナーに比べてそう多くありません。ここにビジネスチャンスを見出し、成長余地を見出しているのです。

 

2 について、朝食メニューはそう凝ったものではなく、比較的シンプルなもの。これは、食材コストに影響します。つまり、メニュー単価の割に食材コストが掛か らないため、利益率が高くなるのです。例えば、マクドナルド社の場合、朝食売上は全体の30%しか占めませんが、税前利益の40%を稼ぎ出しています。

 

外食チェーンの最新動向をまとめると、次のようになります。

 

【外食チェーンによる朝食最新事情】

[1]   ガッツリメニューの投入(バーガーキング・タコベル)

[2]   ヘルシーメニューの強化(ダンキンドーナツ)

[3]   提供時間の短縮(ダンキンドーナツ)

 

1 について、これは消費者の高タンパク志向の高まりに着目したもの。バーガーキングでは、バリューセットを投入して割安感を出すとともに、バーガー類を追加 しました。タコベルは、ヘルシー志向よりも手軽に満腹感が得られるワッフルタコ・シナモンロール・ソーセージ入りクランチラップを投入しました。タコベル の朝食メニューは既に黒字化し、今後一店舗あたり朝食メニューで年間7~12万ドルの売上増を目指すようです。

 

2につい て、ヘルシーメニューに力を注ぐのは、ダンキンドーナツ。すでに朝食が売上全体の8割を占めるので、朝食利用の多さがわかります。消費者のヘルシー志向に 対応するために、ドーナツよりもサンドイッチの販売を強化。また、この背景には、サンドイッチの利益率が飲料につぐ高さということもあります。

 

3について、ダンキンドーナツはヘルシーメニューだけではなく、消費者の時短ニーズにも対応するため、調理方法を改善。その結果、提供時間を数秒節約することに成功し、ドライブスルーの売上を増やせる体制が出来上がりました。

 

し かし、まだまだ朝食を外食するアメリカ人はごく一部。その要因は、朝は忙しく、外食する時間が取れないからです。アメリカ人が朝食に割ける時間は、平均 12分。ランチの28分、ディナーの24分と比べると、その短さがわかります。その背景には、働く母親の増加と仕事を持つベビーブーマー層の存在がありま す。1歳以下の子供を持つ母親のうち、57.3%が就業しています。2003年の53.7%よりも上昇しています。また、ベビーブーマー層の半数以上が、 66歳以上でも働く意向であり、10人に1人は死ぬまで働くと考えているようです。

 

これだけ忙しい消費者が増えると、外食チェーンで朝食売上に苦戦する企業も出てきます。例えば、サブウェイでは、2010年に朝食メニューを全米で投入するも、売上はたったの6%だけ。また、利益率も低いので、朝食の新メニュー投入を中断したほどです。

 

一方の内食の世界では、優勝劣敗が鮮明になっています。

 

【内食で進む朝食関連商品の優勝劣敗】

[売上増]持ち運びできる冷凍食品・ギリシャ風ヨーグルト

[売上減]シリアル

 

売 上を伸ばしているのは、時短ニーズ・高タンパク志向に合致した持ち運びできる冷凍食品と高タンパク志向に合致したギリシャ風ヨーグルト。一方で苦戦するの が、シリアルです。シリアルが苦戦するのは、利便性が低く(時間がかかる)、低炭水化物・高タンパクニーズに対応できないからです。そこで、ケロッグ社や ゼネラル・ミルズ社が力を入れるのが、牛乳を入れれば高タンパクの朝食になることの告知です。ゼネラル・ミルズ社は、新商品でチェリロス・プロテインを投 入し、スキムミルクを加えれば、マクドナルドのソーセージマックグリドルと同じ11gのタンパク質を摂取できることをウリにするほどです。

 

外 食チェーンが朝食に力を入れるのは、ランチ・ディナーでの需要獲得が相当難しくなったからに他なりません。その試みはまだ成功していませんが、ドライブす るーなど短時間で提供できる仕組みを作れば、朝食の外食市場はまだまだ拡大できそうです。一方、この煽りを受けるのは、今でも苦戦するシリアル業界ではな いでしょうか。

 

朝食用食品の売上を2010年から見ると、大きく伸ばしているのが冷凍食品とヨーグルト。伸び率は小さいな がらも、ホットシリアルも増加。横ばいがトースト用菓子パン。一方で、ブレックファストバーやシリアルは、売上を減少させています。消費者の時短・高タン パク・低炭水化物ニーズを色濃く反映しています。興味深いのが、ブレックファストバーが、シリアル同様に減少しているという点。単に時短だけでは、売れな いことの証左です。つまり、消費者はガッツリした高タンパクの朝食を好んでおり、それを短時間で摂取できれば、ベストと考えているのではないでしょうか。 ならば、たとえ高タンパクをアピールしても、シリアルの伸びは期待できません。

 

シリアルが目指すのは、外食チェーンと同様に、朝食以外での需要獲得ではないかと思います。

 

***************************

《今回のヒントのまとめ》

(1)外食チェーンが朝食に力を入れるのは、成長余地があるからであり、また利益率が高いからである。

(2)その特徴は、高タンパクなガッツリメニューの投入、ヘルシーメニューの強化、提供時間の短縮である。

(3)しかし、一方で朝食を外食できるほど、朝に時間を避けられないのが実情である。その背景には、働くママの増加と働き続けるベビーブーマー層の存在がある。

(4)高タンパク・低炭水化物志向・時短ニーズの高まりで、売上を伸ばす朝食食品は、持ち運びできる冷凍食品とギリシャ風ヨーグルト。一方で、売上減少に悩むのがシリアルである。

(5)外食チェーンが時短ニーズに答えられれば、朝食需要を更に獲得できるかもしれない。これの割を食うのが、シリアルではないか。シリアルに求められるのは、朝食以外の需要獲得ではないか。

*************************

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

(サイトへの掲載は、翌日以降です。)

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。(もちろん無料です。)

 

7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

最近、飲んでいるのがこちらの芋焼酎。

大変コスパが高いので、本当に助かっています。

「芋の香りがたまらない」のキャッチフレーズは納得で、芋焼酎好きにはたまらない芋の香り。

取扱のあるスーパーが多いのも嬉しいところ。

小正醸造 小鶴くろ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

台湾でも飛行機事故がありました。

最近本当に多いような気がします。

旅行業界に悪影響がなければいいですが。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。

 

私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

ad

関連記事

新着記事

コメント/トラックバック

トラックバック用URL:

この投稿のコメント・トラックバックRSS




管理人にのみ公開されます

*

ad

PAGE TOP ↑