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【795号】レストランのチップ制、その利点と問題点・最新事情

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◎本日のニュース

1)見出し
Tips Don’t Add Up for Most Waiters and Waitresses

 

 

 

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2)要約

レストランで会計時に支払うチップは、金額だけ見ればさほど価値があると思えない。というのも、チップ収入のある全米2400万人のウェイター・ウェイトレスの約15%が、貧困状態にあるからである。全労働者の貧困率は約7%なので、給仕の貧困さは格別である。

 

もちろん、チップ制には利点がある。経営側は時給を低めに設定でき、メニュー価格を下げることができる。また、利用客はチップ支払いに税負担が発生しない。給仕はチップ収入が期待できる。しかし、利用客の気分や属性に額が大きく左右されるチップは、給仕の収入を不安定にさせる。また、未申告のチップ収入により、政府の税収入が減少するだけではなく、店舗側は金額の差異による監査を受ける羽目になるかもしれない。

 

高級レストランの中には、このような問題を抱えるチップ制を止める動きもある。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The American system of tipping holds the promise of great rewards for waiters and waitresses, but for most servers, the numbers don’t bear that out.

 

4)キーとなる英文の和訳

アメリカのチップ制は、ウェイターやウェイトレスにとって大きな報酬を約束するものである。

しかし、大部分の給仕にとって、チップの金額はその制度の正当性を担保しない。

 

5)気になる単語・表現

hold A for B 他動詞 BのためにAを用意している;~を支える;~を持ちこたえる
reward 名詞 報酬;得るもの、価値
bear out 他動詞句 ~の正しいことを裏付ける;~を支持する

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

チップを払う側にとっては、どれぐらい払ったらいいか迷うことも多く、結構面倒なもの。もらう給仕側は、さぞかし大きな収入になると思いきや、大部分の給仕にとって、チップ収入はそう大きくないようです。そのためか、給仕の貧困率は、全労働者の2倍以上にも達しています。

 

もともとチップはヨーロッパで始まったもので、貴族が下級身分の給仕に残したお金に起源します。この習慣をアメリカ人旅行者が、本国に持ち帰り、アメリカでチップ制が始まりました。

 

チップ制の利点・欠点をまとめると、次のようになります。

 

【チップ制の利点・欠点】

(利点)

[1]   経営者は、時給を低く設定できる分、メニュー価格を下げられる。

[2]   利用客は、支払うチップに税が掛らない。

[3]   給仕はチップ収入が期待できる。

(欠点)

[1]   給仕は、チップ収入が利用客の気分や属性に大きく左右されるので、収入が不安定になる。

[2]   政府は、未申告のチップ収入があるために、税収が減少する。

[3]   経営者は、未申告のチップ支払いがあるために、監査を受ける可能性がある。

 

2の利点については初めて知りました。チップ支払いには、消費税(付加価値税)が掛らないために、支払う利用客側にもメリットがあるのです。1で、チップ制度のお陰でメニュー価格が下げられれば、結果的に利用客が支払う消費税が少なくなるので、逆に政府は税収が減るというデメリットがあります。

 

2の欠点について、現金のチップは、給仕が直接手にするため、課税申告されない恐れがあります。これにより、政府は税収の減少に直面します。また、給仕がチップ収入を申告しない一方で、店側がチップ金額を集計し売上として申告すれば、売上とチップ(給与)支払いの差異が生まれます。この差異のために、店側は税務署から監査を受ける羽目になります。

 

このような問題点を抱えたチップ制ですが、一番の問題は給仕の貧困問題です。そこで、連邦政府はチップにも最低賃金を導入しようとしましたが、業界団体はコストアップを盾に猛反対。その結果、20年以上も凍結されています。連邦政府のチップ最低賃金は、1時間あたり2.13ドル。実際には、これほどのチップ収入が期待できないので、連邦政府のチップ最低賃金導入されれば、給仕の貧困率は低下すると想定されています。

 

高級レストランの中には、チップ制を止める動きもあります。記事で紹介されているチップ制見直し事例をまとめると、次のようになります。

 

【チップ制見直し事例】

[1]   サービス料を徴収

[2]   時給引き上げ

[3]   就業時間中の個人売上の20%か1時間あたり10ドルの高い方を時給に上乗せ

 

これらの共通点は、利用客の按配に依存しないということ。明朗会計ならぬ明朗給与と言えるでしょうか。

 

チップ金額に依存する給仕は、自動車ローンや住宅ローンを組むのも一苦労のようです。ならば、チップ収入がより明朗になる仕組みになれば、給仕の消費拡大につながります。景気回復により、飲食サービスの雇用は他の産業よりも拡大しているので、チップ制の改善はアメリカの個人消費全体にも影響を与えかねません。今後、チップの最低賃金導入など、チップ制を改める動きが出てくるかもしれません。

 

日本に目を転じると、飲食サービスの最大の課題は、人手不足。そのため、時給を引き上げる企業が増えています。アメリカの明朗給与のように、時給が上がる仕組みをより明確・シンプルにするというのも一つの方法ではないでしょうか。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)レストランのチップ制には、時給を下げる分メニュー価格を下げられる点、チップ支払いは非課税である点、チップ収入が期待できる点という利点がある。

(2)一方で、利用客の按配に依存し収入が安定しない点、チップ収入の未申告による税収減少、未申告による店舗が監査を受ける可能性がある点、という問題点もある。

(3)そこで、チップの代わりに、サービス料を徴収したり、時給を引き上げたり、個人の売上の一部を給与に上乗せしたりする動きが、高級レストランを中心に出てきている。

(4)これらの共通点は、利用客の按配に依存しない点であり、明朗給与と言えるだろう。

(5)景気回復により飲食サービスの雇用が拡大する一方で、現在のチップ制は給仕の貧困率を高めているので、チップ収入がより明朗・安定すれば、アメリカ個人消費にプラスになるかもしれない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日食べたのが、こちらのいちご大福。

黒い餡の方を食べたのですが、柔らかい餅に大きないちご、そしてあっさり目の餡で、とても美味しかったです。

確か、価格も割安だったかと。

ちなみに一番有名なのは、金覆輪。

宝塚のお土産にぴったりです。

 

宝塚・菅屋

ちなみに、楽天市場では菅屋さんのはないですが、いちご大福を買えるようですね。

ただし、冷凍です。

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

この前の台風、本当に凄まじかった。

宝塚に行っていたのですが、武庫川の水量がかなり多く、もう少しでアップアップの状態。

こんな武庫川見たの、初めてでした。

自然災害は本当に恐いです。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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