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【797号】ウォルマートのチェックアウト・プロミスは、客数減に歯止めを掛けられるか?

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◎本日のニュース

1)見出し
Returning to Wal-Mart: Human Cashiers

 

 

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2)要約

客数減に悩むウォルマート・ストアーズ社。今年のクリスマス商戦は、顧客の不満を解消しようと、“チェックアウト・プロミス”というキャンペーンを実施する。このキャンペーンとは、感謝祭翌日からクリスマス直前まで、店舗のレジをすべて開き、顧客のレジ行列を解消しようというものである。

 

この施策の背景には、顧客の時間と利便性へのニーズの強さがある。実際、大型のスーパーセンター主体のウォルマートは、競合の小型店に顧客を奪われており、小型店を積極的に開設している。

 

これまで、IT活用や適正人員配置により、効率的運営を目指してきた。しかし、レジの待ち時間の長さと欠品の多さという顧客の不満を傾けた結果、配置する従業員数を増やしたことから、人件費の増加に直面している。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

In an attempt to lure more customers this holiday season, Wal-Mart Stores Inc. is promising to staff each of its cash register from the day after Thanksgiving through the days just before Christmas during peak shopping times.

 

4)キーとなる英文の和訳

今年のクリスマス商戦で客数を増やそうとするため、ウォルマート・ストアーズ社は、感謝祭翌日からクリスマス直前までの買い物シーズン真っ盛りの間に、すべてのレジに従業員を配置すると約束している。

 

5)気になる単語・表現

attempt to V 名詞 ~する試み
lure 他動詞 (人など)をおびき出す、誘い込む
staff 他動詞 ~に(職員を)配置する

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

客数減少が止まらないウォルマートの全米部門。その要因としてウォルマートが考えたのが、次のような顧客の不満です。

 

【ウォルマート離れをする顧客の不満】

[1]   レジ待ちの長さ

[2]   欠品の多さ

 

1について、ただでさえ行列ができていると不満がたまるものですが、さらに閉まっているレジがあると、その鬱憤はさらに高まります。2については、欲しい物が店になければ、来店する意味がありません。

 

特に1の不満の大きさに着目し、ウォルマートは、年間で最も売上が大きいクリスマス商戦に、レジ待ちの解消を目指しています。そのキャンペーンは、「チェックアウト・プロミス」というもの。

 

【チェックアウト・プロミスの概要】

[時期]感謝祭翌日からクリスマス直前までの週末午後(店舗によって異なる)

[内容]すべてのレジに従業員を配置し、稼働させる

 

典型的なスーパーセンター(大型店)には、約30の従来型レジがあります。これらの上記期間に限り、すべて稼働させるようです。

 

この施策の背景には、消費者ニーズがあります。その消費者ニーズとは、時間と利便性を高めたいというもの。つまり、買い物で言えば、できるだけ早く買い物を済ませたいというニーズになります。ウォルマートはこのニーズに対処できずに、客数減に落ち込みました。

 

ウォルマートの主力業態は大型のスーパーセンター。大型だけに買い物に時間が掛かります。この時間消費型買い物スタイルを顧客は嫌がり、競合の小型店を利用するようになったから、客数の減少が続いているのです。そこでウォルマートは、ネイバーフッド・マーケットという小型店の出店を強化して、ニーズ対応に動きます。だから、レジをすべて稼働させるチェックアウト・プロミスも、小型店強化と同じ戦略上の施策と言えます。

 

しかし、ウォルマート伝統の戦略と比較すると、チェックアウト・プロミスは逸脱していると考えられます。というのも、チェックアウト・プロミスにより、人件費の増加は避けられず、店舗運営コストが上昇するからです。ウォルマートの得意芸は、低コスト運営ゆえのロープライス。よって、低価格で販売しても、高い利益率を維持できます。

 

実際、これまで人件費削減のために、ITの接客活用とリアルタイムの需要に応じてレジ稼働を行ってきました。リアルタイムの需要に応じたレジ稼働とは、レジに行列が出来てから稼働レジ数を増やすというものなので、ここで顧客の不満が生まれるわけです。従来は、低コスト運営のためこれをよしとしていましたが、チェックアウト・プロミスでは需要によらずすべてのレジを稼働。明らかな方針転換なのです。

 

IT活用とは、セルフレジやスマホによるセルフスキャンにより、従業員が接客するレジ稼働数を減らすというもの。セルフレジは、全米4000店舗以上に設置して利用を促すも、実際は従業員のいるレジに長い行列が出来ているようです。その理由は、クーポンや価格保証などより複雑で時間の掛かる処理が必要な顧客が多いからです。時短ニーズはあるものの、それ以上によりお得に買い物をしたいニーズが強いことを物語っています。

 

スマホによるセルフスキャンは、スキャン&ゴーという仕組みで、全米200店舗に導入。買い物客は、店舗回遊中にスマホで購入商品のバーコードをスキャンでき、後はセルフレジで支払いを行うだけで済みます。スキャン&ゴーを利用することで、来店客はレジ待ちを避けられるわけです。しかし、実際には、顧客にとって仕組みが複雑すぎたため、利用は進まず、ウォルマートは廃止を決定しました。

 

ウォルマートのチェックアウト・プロミスは、消費者の時短ニーズに対応したもの。しかし、同様の目的で設定したセルフレジは想定したほど利用が進んでいません。また、そもそも時短を優先したい消費者は、大型店よりも小型店・ネット通販を利用する可能性が高いとも考えることができます。時短ニーズに対応するには、稼働レジを増やすということよりも、割引処理の簡素化などのレジ精算のスピードアップがより求められているのではないでしょうか。

 

一方、欠品対策では、取り扱い商品の少ない小型店を増やすことで、ある程度解消できると思われます。

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《今回のヒントのまとめ》

(1)ウォルマート・ストアーズ社は、客数減を食い止めるため、クリスマス商戦中全部のレジを稼働させるという「チェックアウト・プロミス」を実施する。

(2)これは、消費者の時短・利便性ニーズに対応するものである。

(3)一方、人件費の増加を導くので、従来の低コスト運営からの転換と捉えることもできる。

(4)時短ニーズに対応したセルフレジやセルフチェックシステムの利用が進まない状況を考えると、チェックアウト・プロミスで客数が回復すると考えるのは早計かもしれない。

(5)逆に、時短優先の消費者は、小型店やネット通販にシフトするのではないか。

(6)時短ニーズと低コスト運営を両立させるためには、稼働レジ数を増やすよりも、レジ処理の迅速化と小型店出店強化の方がより効果的かもしれない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

先日食べたのが、こちらのいちご大福。

黒い餡の方を食べたのですが、柔らかい餅に大きないちご、そしてあっさり目の餡で、とても美味しかったです。

確か、価格も割安だったかと。

ちなみに一番有名なのは、金覆輪。

宝塚のお土産にぴったりです。

宝塚・菅屋

www.sugaya-web.com/index.html

ちなみに、楽天市場では菅屋さんのはないですが、いちご大福を買えるようですね。

ただし、冷凍です。

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

今年のお盆も無事乗り切れました。

ただ、台風一過の10日の大渋滞にはびっくりしましたね。

今年の8月は本当に雨・風が多いので、小売売上は相当悪いと予想しています。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

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