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【808号】コークを専門家から友人に引き上げた「シェア・ア・コーク」キャンペーン

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◎本日のニュース

1)見出し
‘Share a Coke’ Credited With a Pop in Sales

 

 

 

 

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2)要約

コカ・コーラ社が、競合の低迷をよそに炭酸飲料の売上を回復させている。その原動力となったのが、「シェア・ア・コーク」キャンペーン。よくあるファーストネームや心地よい単語をコークのボトル・缶に印字するという企画である。

 

もともとはオーストラリアで成功を収めたこの企画。成功の背景には、世界で最も有名なデザインに自分の名前が入っていることが、若者に大きな関心と驚き・感動を起こしたことがあるようだ。

 

一方、コカ・コーラ社の全米コーク売上は、ここ10年来減少している。さらに、肥満や人工甘味料の問題に対処するために、広告費を大幅に増やさざるを得ず、収益面での逆風が吹いている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Coca-Cola Co. ‘s carbonated soft-drink sales in the U.S. have risen more than 2% after the world’s most-famous beverage brand began labeling Coke, Diet Coke and Coke Zero this summer with names of individuals, from Aaron to Sarah to Zach.

 

4)キーとなる英文の和訳

コカ・コーラ社の全米炭酸飲料売上が、2%以上増加した。

それは、今夏、世界で最も有名な清涼飲料水ブランドが、コーク・ダイエットコーク・コークゼロのパッケージにアーロンからサラ・ザックまでの個人名を印刷し始めてからである。

 

5)気になる単語・表現

carbonated 形容詞 炭酸を含ませた(fizzy)
label 他動詞 ~にラベルを貼る

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

今回は、日本でも行われたコカ・コーラ社の「ネームボトル」キャンペーンを取り上げます。このキャンペーンはそう複雑なものではなく、コークの缶やバトルに個人名やわかりやすい単語を印字するもの。とても単純な企画なのですが、売上には大きく貢献しているようです。アメリカでもこの夏に行われました。その販売実績は以下の通り。ちなみに、グローバルでは、「シェア・ア・コーク」キャンペーンと呼ばれています。

 

【「シェア・ア・コーク」キャンペーンがもたらしたコーク全米売上の回復】

[売上数量]0.4%増加

[売上金額]2.5%増加

[参考]同時期に、競合のペプシコ社・ドクターペッパーシュナップスグループ社は前年割れ

※8月までの12週間の実績

 

数量よりも金額が伸びているということは、ミリリットルあたりの単価が向上しているということです。すなわち、売上面のみならず利益面にもプラス効果をもたらしていることがわかります。

 

より具体的にこのキャンペーンをまとめると、次のようになります。

 

【全米「シェア・ア・コーク」キャンペーン概要】

[1]20オンスボトル(約567mlペットボトル)には、10代・20代の代表的な250の個人名を印字(リアル)

[2]7.5オンス缶(約212mlアルミ缶)には、100万通り以上の名前や単語を印字。期間限定の移動型店舗では、10万通り以上の名前を販売。(リアル)

[3]ネット上で自分の名前入りのバーチャルボトルを作成、SNSで共有できるサービスを実施。600万以上のボトルが作成された。(バーチャル)

 

リアルとバーチャル両面でキャンペーンを実施。リアル面が実際に売上に直結するのに対し、バーチャル面では広告の役割を果たし、コーク購入へと促します。

 

興味深いのは、お徳用の2Lペットボトルや特売対象の12オンス缶がキャンペーン対象外になったということ。一方で、価格競争に巻き込まれにくい20オンスボトルや7.5オンス缶に個人名を印字することにより、個人名印字で生じる費用増加分を吸収しようとしたのでしょう。何万通りにも上る個人名を商品に印字することは、大量販売商品にとって大幅なコストアップになります。そのコストを賄うために、敢えて利益率の高い20オンスボトルや7.5オンス缶のみで展開したのだと予想します。単に売上を伸ばすだけではなく、利益も上げようというコカ・コーラ社の強かさが垣間見えます。コカ・コーラ社のみならず、株主から収益面を厳しく監視されているアメリカ企業の特性とも言えますが。

 

単に個人名をパッケージに印字するだけなので、一見すると何ということはない「シェア・ア・コーク」キャンペーンですが、実際には売上増に大きく貢献しました。その理由をまとめると、次のようになります。

 

【「シェア・ア・コーク」キャンペーンが売上増をもたらした理由】

  • SNSでの共有を促し、高い広告効果を発揮したから→売上増・コストダウン
  • 消費者のカスタマイズニーズに合致、希少性の訴求→短期的な売上増
  • コークのマインドシェアの拡大→長期的な売上増
  • 贈答需要を開拓→購入機会・客数の増加

 

1は、珍しい企画であり、コーク側がSNSでの共有を仕掛けたために、SNS上で広く換算され、高い広告効果をもたらしました。従来のテレビCM・その他マス広告では達成できないリーチを獲得したのでしょう。これは、単に売上増をもたらしただけではなく、広告宣伝費の削減につながり、利益面でもプラスに働きます。

 

2について、自分の名前が印字されたコークは、大量生産商品のコークとは異なり、まるで自分の商品のように感じます。これは、消費者のカスタマイズニーズ(他者とは異なり、自分好みの商品が欲しいニーズ)に合致したことになります。例えば、店頭で自分の名前が印字されたコークが目に入れば、コークを買うつもりではなくてもついつい買ってしまうかもしれません。いつ同じ名前の商品に巡り会えるかもわかりませんから。そういう意味では、商品の希少性が売上を喚起させたとも読み取れます。

 

3について、2が短期的な売上増につながった理由とすれば、こちらは長期的な売上増につながる要因です。よって、今後の売上増が期待できることになります。マインドシェアとは、消費者の心の中でのシェアであり、例えば炭酸飲料が飲みたくなった時に、真っ先にコークが思い浮かべば、コークのマインドシェアが1位ということになります。「シェア・ア・コーク」キャンペーンがマインドシェア向上につながるのは、自分の名前の入った商品を大切に保管するからです。例えば、自分と配偶者の名前の入ったコークボトルを、リビングのある結婚式の写真の隣に並べているカップルがいるようです。このカップルは、毎日のように自分名前が入ったコークを目にすることになります。コークとの接触機会が増えることにより、そのカップルの中でコークのマインドシェアが拡大します。

 

4について、従来のコークではありえなかった利用の仕方が生まれました。それは、贈答利用。友人や家族の名前入りコークを見つけた人が、プレゼント用として買うというものです。従来のコークでは、どこでも売っている商品のため、全くそのような利用は想定できませんでした。しかし、「シェア・ア・コーク」キャンペーンでは、同じ名前入りのコークがまた手に入るとは限りません。この希少性が、贈答需要を生み出したのです。これにより、従来顧客でなかった人の購入や購入機会の増加が生まれ、客数が増えることになります。

 

日本の「ネームボトル」企画を知った時、こんな単純なキャンペーンで売上増につながるのか、疑問に感じました。実際、単にパッケージが変わっただけであり、機能や品質が高まったわけではありません。しかし、顧客の心理に訴える企画であり、コークというブランドが顧客にとって専門家から友人になったからこそ、売上増(おそらく収益増)をもたらしました。

 

また、顧客の心理に訴える販売戦略は、そもそもより顧客に近いサービス業や中小企業の強いとされていました。しかし、「シェア・ア・コーク」キャンペーンは、メーカーや大企業・大量生産商品でも可能であることを証明しました。今後、大企業の中で、機能・品質面の向上ではなく、心理に訴えるマーケティングが増えるかもしれません。

 

Share A Coke

 

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《今回のヒントのまとめ》

  • コカ・コーラ社の「シェア・ア・コーク」キャンペーンが秀悦なのは、価格競争に巻き込まれにくい商品を対象にすることで、個人名の印字によるコスト増を賄った点だろう。
  • そのためか、コカ・コーラ社は、キャンペーン実施後販売数量以上に販売金額は増加した。
  • 「シェア・ア・コーク」が売上増をもたらした理由は、SNSでの共有拡大による高い広告効果、消費者のカスタマイズニーズに合致、マインドシェアの拡大、贈答利用の開拓に成功したから。
  • この成功は、機能・品質の向上ではなく、顧客の心理に訴える販売戦略が、大手メーカーや大量生産品でも採用可能であることを示すのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

やはり、間違いなかったです。

もう3年以上行っていない焼肉店でしたが、味は確か。

おすすめは、高いですが限定品のミスジ。

また、ついついシメに食べがちなたじま屋丼は、先に注文することをおすすめします。

老舗焼肉店独特の雰囲気ですから、デート利用は無理ですが、仲間内でワイワイするにはいいかもしれません。

満面の笑みをした阪神・鳥谷選手の写真が印象的でした。

ただ、人気店だけあって、当日予約は20時まではほぼ不可能。

計画を立てて行きましょう。

たじま屋深江店

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

たじま屋でコークを飲む小学生がいました。

瓶入りのコーク、懐かしい。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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