【809号】消費減少に悩むオレンジジュース、その原因と対策とは？

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◎本日のニュース

1)見出し
Orange Juice Searches for a Fresher Image

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2)要約

オレンジの産地で有名なフロリダ州は、オレンジジュースのパッケージに掲載するキャラクターを変更した。愛らしいオレンジから筋肉むきむきの超人に変更して、若い消費者の開拓を進める。

この背景には、オレンジジュースの需要減少がある。需要が減少した要因は、消費者が糖質の多いオレンジジュースを敬遠しているからである。また、オレンジの樹に病害が発生し、オレンジの供給量が減少。その結果、オレンジジュースが値上げされたことも、売上減少の一因である。

これに対し、オレンジジュースを扱うコカ・コーラ社やペプシコ社は、糖質を減らした新製品を投入。ただし、糖質の問題を解決しても、オレンジジュースの需要がさほど増えないという懸念は強い。

◎キーセンンスとその翻訳

3）キーとなる英文

Earlier this month, the Florida Department of Citrus revamped its mascot with the help of Marvel Entertainment from a green-caped orange wielding a carton of juice to a muscular young man in a skintight yellow-and-orange suit, powered by the sun.

4）キーとなる英文の和訳

今月の始め、フロリダ州政府柑橘局は、マーベルエンターテイメントの協力の元、マスコットを刷新した。

ジュース一個を手でつかみ緑のマントをまとったオレンジから、太陽から力を得て黄色とオレンジのタイツを着た筋肉むきむきの若い男に変更した。

5）気になる単語・表現

revamp	他動詞	～を改良する
caped	形容詞	ケープをまとった
wield	他動詞	（武器・道具など）を構える；（権力など）をふるう

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

フロリダ州の柑橘局がオレンジジュースのキャラクターを変更したのは、オレンジジュースの消費量減少がその背景にあり、若者の消費を喚起するためです。だから、児童の好む可愛いキャラクターから、若者・オタクが好む力強い男のキャラクターに変更したのです。

まず、オレンジジュースの需要減少について、データを見ます。

【オレンジジュースの需要減少を示すデータ】

［一人あたり消費量］1998年の5.8ガロンから2012年の3.2ガロンに45％減少

［シェア］フルーツ・野菜ジュースの全飲料市場における金額ベースのシェアは、1999年の24％から17％に縮小。一方、スポーツドリンク・エナジードリンクのシェアは5％から16％に拡大。

［コカ・コーラ社のデータ］直近四半期の売上数量で、ジュース飲料は前年比1％減少。一方、ジュース飲料を含む非炭酸飲料（茶、水、スポーツドリンクなど）は同期比5％増加。

一人あたりの消費量が14年間で約半減している通り、オレンジジュースの需要は急速に減少していることがわかります。その一方で、スポーツドリンク・エナジードリンクなどジュース以外の飲料は増加。ジュースからその他飲料へのシフトが進んでいるのです。

オレンジジュースの需要が減少した要因をまとめると、次のようになります。

【オレンジジュースの需要縮小の要因】

消費者の糖質離れのため
病害のよるオレンジ供給量の減少で、コスト・価格とも上昇したため
飲料内での競争が激化したから

1について、この要因は構造的なもの。消費者の栄養に関する知識が増えるに従い、糖質の多いオレンジジュースが敬遠されるようになりました。実際、8オンスのオレンジジュースには、ハーシーのチョコレートバーと同じ22g。これだと、オレンジジュースも肥満の大敵とされてしまいます。また、小児科学校からの推奨で、児童にはフルーツジュースではなく果物そのものを食べさせるというものがあるようです。果物の方が、食物繊維が多く糖質が少ないからです。このような専門家が発信する情報により、糖質の多いオレンジジュースを遠ざける風潮が強くなっているのです。

2は、一時的な要因。フロリダ州で、バクテリアによる病害がオレンジに発生。これにより、フロリダの今年のオレンジ収穫量は、過去29年間で最小になりました。これが原材料価格上昇を招き、商品価格に転嫁されました。8月30日までの4週間で、オレンジジュースの価格は平均で4.5％上昇したようです。価格が上昇すれば、需要は減少します。

3について、糖質の多いオレンジジュースの売れ行きが芳しくない一方で、ココナッツウォーター・アサイジュース・エナジードリンクなどは流行。オレンジジュースのブランドを持つコカ・コーラ社やペプシコ社も、エナジードリンクやビタミンウォーターなどの新ジャンルを投入しています。この結果、販売店（スーパーなど）におけるオレンジジュースの販売棚（スペース）は縮小し、売上減少に拍車を掛けています。

オレンジジュースの需要減少に対し、次のような対策が取られています。

【オレンジジュースの需要減少に対する打開策】

低カロリー・低糖など新型オレンジジュースの販売
若者向けのキャラクターを使った告知の強化

1について、ペプシコ社は、トロピカーナブランドで低糖・低カロリー版オレンジジュース「トロップ50」を発売。糖質にステビアを使うことで、低糖・低カロリーを実現しています。また、コカ・コーラ社は、ミニッツメイドの50カロリー版を投入し、カロリーを気にする顧客をターゲットにしています。さらに、コカ・コーラ社は、ブレンドしたフルーツジュースを投入し、代わり映えの少ないジュース市場に新鮮味を出しています。シンプリーというブランド名で、オレンジとバババ、レモネードとブルーベリーなどがあります。

2について、筋肉むきむきの新キャラクターを使って、フロリダ州内の小学校にオレンジジュースの栄養価の高さを啓蒙しています。またテレビCMも放映し、オレンジジュースを、朝だけではなくいつでも飲めるドリンクとして広めています。

消費者の糖質嫌いという構造的な問題が、オレンジジュースの需要減少の一番大きな要因であるのは確かです。だからといって、この問題を解決しただけで、オレンジジュースの消費量が戻ることは期待できません。その理由は、非炭酸飲料市場にオレンジジュース以外の選択肢が増えたからです。今後、オレンジジュースの需要拡大というよりも、原料となるオレンジの売上を伸ばすべく、オレンジジュース以外の利用を開拓するのも一案でしょう。

Trop50　http://www.trop50.com/trop50/

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《今回のヒントのまとめ》

オレンジジュースは、一人当たりの消費量が過去14年間で45％減少するほど、需要の大幅減少に直面している。一方で、スポーツドリンクやエナジードリンクなど、オレンジジュース以外の非炭酸飲料の需要は伸びている。
その要因は、糖質の多いオレンジジュース離れ、原材料価格高騰による価格上昇、飲料内での競争激化がある。
構造的な要因であり一番大きいのは、消費者のオレンジジュース離れである。権威のある専門機関からもオレンジジュースの糖質の多さが指摘されている。
需要減少に対し、大手企業による新型オレンジジュースの投入や、若者向けのキャラクターへの変更などの対策が取られている。
低カロリー・低糖のオレンジジュースやブレンド商品が発売され、糖質問題の解決に取り組んでいる。また、若者向けキャラクターを使うことで、児童ではなくより消費量の多い若者向けに、オレンジの栄養価の高さや朝食以外の消費機会を提案している。
ただし、ココナッツウォーターやエナジードリンクなど、非炭酸飲料の選択肢が増えており、糖質問題を解決したからといって、消費量を過去のレベルに戻すことはとても難しい。

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