【838号】百貨店大手・メイシーズがアウトレット店を開く理由とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Macy’s Revamps to Reflect Shifting Shopper
Macy’s Weighs Off-Price Version of Namesake Stores
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
百貨店大手のメイシーズ社は、メイシーズブランドでアウトレット店を出店する。これは、小売業界のアウトレット強化のトレンドの一つであり、特に珍しいものではない。最近では、単にアウトレットを増やすだけではなく、その立地が通常店舗の近くにシフトしている。
アウトレット強化に動くには、低価格志向の消費者を獲得するためである。通常店の客数は足踏み状態であり、売上拡大のためには客層を広げる必要がある。
小売業の年末商戦は、予想を上回る好結果に終わった。ただ、その大きな要因は大幅値引きであり、消費者の低価格志向は依然強い。また、ネット通販の利用も拡大しており、実店舗型小売業にとっては大きな課題となっている。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Macy’s Inc. announced plans on Thursday to change how it stocks and sells clothing and other items saying it is trying to respond to a shift in consumer shopping.
4)キーとなる英文の和訳
メイシーズ社が木曜日に発表した計画では、衣類やその他商品の仕入れ方法・販売方法を転換するという。
消費者の買物行動の変化への対応に力を注ぐ、としている。
5)気になる単語・表現
なし
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
今回はよく似た2つの記事があったので、まとめて紹介します。大まかなテーマは、
メイシーズ社のアウトレット店強化への転換
既存店売上を素直に喜べない小売業界
でしょうか。
メイシーズ社には、メイシーズとブルーミングデールズという2つのブランドがあり、ブルーミングデールズブランドにはアウトレット店があります。今回は、メイシーズブランドでアウトレット店を開くことが、ニュースとして取り上げています。というのも、メイシーズは、もともとセールの多い百貨店であり、継続的に実施しているからです。わざわざ、アウトレット店を開くまでもないと思うのですが、それでもアウトレットに進出するということは、何か大きな理由があるはず。
その理由とは、客数の拡大です。具体的には、低価格志向の消費者を獲得するため。というのも、定価販売の通常店の客数は、業界全体で足踏み状態。そこで、メイシーズ社のみならず、定価で販売する業態はこぞってアウトレット店強化に動いています。例えば、高級百貨店業態のサックス・フィフス・アベニューやノードストロームは、通常店舗よりもアウトレット店舗の方が多いほど。最近では、カニバリ覚悟で、通常店舗の近くにアウトレット店舗を開く事例も増えているほどです。カニバリのリスクを追ってでも、客数を増やしたいのでしょう。
ちなみに、メイシーズ社は、客数増のために海外進出にも力を入れています。2018年には、現地資本との合弁でアブダビに進出するようです。
その背景には、もちろん、価格に敏感な消費者が依然多いことがあります。予想を上回るほどの結果に終わった年末商戦も、その一番の要因は大幅値引きとされるほど、景気回復にあるアメリカでは依然低価格志向は強いのです。
例えば、アパレル企業のギャップ社の12月既存店売上が、低価格志向の強さを物語っています。ギャップ社全体では1%増と悪くはないものの、その内訳は、
低価格店のオールドネイビー 8%増
通常価格帯のギャップ 5%減
と、明暗が分かれています。特に、ギャップがターゲットとする低・中間所得層では、低価格志向が強いことが、この実績から読み取れます。
メイシーズ社は、アウトレット店の他にネット通販の強化も、方針として掲げています。実際に、一部店舗で実施した「ネット注文・実店舗即日引取」サービスは、実店舗売上にプラスの効果を及ぼしたと言います。ネット通販の利用拡大により、実店舗での買いまわり時間が減少しています。これは、メイシーズ社のような実店舗型小売にとって大きな課題です。この課題を克服するために、上記サービスのようなオムニチャネル戦略を進めているのです。また、買い物手段のネットシフトへの対応として、今年14店舗の閉鎖を予定しています。
景気回復の続くアメリカでも、低価格志向の強い消費者が多いことは、金融政策でアメリカの後を追う日本の未来を見ているようです。実際、アベノミクスで株価が大きく上昇しても、景気回復の実感が乏しい日本人は多くいます。今後日本でも、アメリカ同様アウトレット店の増加・ネット通販の拡大が続くのではないでしょうか。その中で実店舗の通常店が生き残るためには、メイシーズ社の店舗引取サービスのような、ネット通販利用者の来店を促すサービスが必要になるように思えます。
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《今回のヒントのまとめ》
- 百貨店大手のメイシーズ社が、メイシーズブランドで初めてアウトレットを開くのは、小売業界のアウトレット強化のトレンドに沿ったもの。
- その目的は、客数の拡大である。通常店の客数が足踏み状態なので、売上拡大のためには客層を広げる必要がある。
- また、景気回復の続くアメリカには、依然低価格志向の強い消費者は多い。年末商戦が予想を上回る結果に思わったのも、大幅値引きが一番の要因とされる。
- メイシーズ社は、その他ネット通販を強化し、実店舗への売上拡大につなげる方針である。実際、ネット注文・実店舗即日引取サービスは、実店舗の売上拡大に寄与した。
- 金融政策でアメリカの後を追う日本も、低価格志向の強さは残るのではないか。その結果、アメリカ同様アウトレット店は増加し、ネット通販の利用は拡大するだろう。
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ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
先日、ふるさと納税でいただいた純米吟醸を飲みました。
さすが、純米吟醸だけあって飲みやすく、日本酒初心者にもぴったりではないでしょうか。
まだまだ素人の私のなので、味の差はよくわかりませんが、私の口には合いました。
ただ、飲みやすいので、グイグイいってしまうのがネックですね。
純米吟醸つくばの紅梅一輪1.8L
※ちなみに、楽天では販売されていません。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
先週金曜日に病院に行きました。
この寒さで以前の病が再発したようです。
ただ、心配御無用。
一生付き合う予定なので、じわじわ治るのを待ちます。
それにしても、悪化していなくてよかった。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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