【847号】需要があっても「メイドインUSA」が増えない理由
◎本日のニュース
1)見出し
It’s No Fun Making Toys, Toasters in USA
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2)要約
アメリカ国内で消費財を製造しようという製造企業は多いものの、障害があってなかなかできない。一方、中国には専門の委託工場が多数ある。アメリカで直面する障害とは、専門工場と低コストノウハウの不足である。
アメリカにも委託工場はあるが、そのほとんどは部品などの生産財が対象で、消費財を製造する工場はほとんどない。また、高単価の製品を少量生産するパターンが多く、小ロット生産に対応できる工場は少ない。
アメリカで製造業が復活する意味は大きい。製造業の生み出す雇用は、中間層拡大に寄与するだけではなく、慢性的な貿易赤字の縮小にもつながるからだ。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Mr. Raymond and other American entrepreneurs eager to bring manufacturing back to the U.S. often run up against an obstacle: Unlike China, the U.S. has few contract manufacturers geared up to make consumer products on a large scale.
4)キーとなる英文の和訳
レイモンド氏や製造をアメリカ国内に戻したい他のアメリカの起業家は、大抵障害に直面する。
その障害とは、中国と異なり、アメリカには消費財の大量生産に対応できる請負工場が少ないということである。
5)気になる単語・表現
eager to V | 形容詞句 | ~したいと思う |
obstacle | 名詞 | 障害 |
contract | 名詞 | 契約、請負 |
gear A up to V | 他動詞句 | AにVする準備をさせる |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
日本同様、アメリカでも製造業の国内回帰が起こっているようです。その理由は、記事には明記されていませんが、為替要因というよりも消費者ニーズでしょうか。できればメイドインUSAの商品を購入したいという消費者ニーズです。しかし、そう簡単にアメリカ国内では製造できないようです。
記事で紹介されているのは、玩具の鉄砲を開発・販売するマシュマロ・ファン社。この企業は、製品の一部をアメリカ国内で委託しようと考えましたが、断念しました。その理由は、小ロット生産できないから。アメリカの請負工場では、最低6万個を生産しなければ契約してくれません。一方、請負工場が豊富な中国では、2500個から対応。小売価格20ドル~28ドルの製品だけに、メイドインUSAにして単価を引き上げるにも限度があります。
マシュマロ・ファン社のようなメイドインUSAの製品を売りたい企業は、2つの障害に直面しています。
【メイドインUSAを実現する際生じる障害】
- 専門工場・専門知識の不足
- 低コスト生産ノウハウの不足
1について、消費財をアメリカ国内で委託製造しようとしても、対応できる専門工場は少数しかありません。というのも、アメリカの請負工場のほとんどは、部品などの生産財が対象だから。消費財に対する専門知識も不足しています。
2について、生産財が中心なためか、高単価な製品を少数生産するパターン。低コスト・小ロット生産には対応できないのです。これでは、価格競争が激しい消費財の製造には適しません。
一方で、上記2点をクリアするのは、中国。中国では、どんな消費財でも専門工場が存在しています。例えば、オーブントースターを請負製造する工場は、12もあるそうです。また、アリババドットコムでは、2000以上の請負生産サービスが登録されています。また、アメリカでは5000個からのロットのものが、中国では500個から低価格で請け負ってくれます。この柔軟な製造体制は、中国請負工場の大きな強みと言えるでしょう。
アメリカで製造業の復活が望まれるのは、そのメリットが大きいからに他なりません。
【アメリカ製造業復活のメリット】
- 雇用・技術を生み出すことで、中間層拡大・経済成長に寄与するから。
- 貿易赤字を縮小させるから
1について、飲食店や小売店とは異なり、製造業の雇用は中間層拡大につながり、個人消費拡大に寄与します。また、新たな技術を生み出す可能性があるので、さらなる経済成長につながるイノベーションが期待できます。
2について、慢性的な貿易赤字に悩むアメリカですが、その貿易赤字の半分は消費財が占めます。その消費財の国内製造が増えれば、貿易赤字の縮小が期待でき、経済成長に寄与します。
記事では明記されていませんが、製造業復活の一番のメリットは、格差是正でしょう。飲食業や小売業など低賃金のサービス業主体の雇用回復では、格差は拡大するばかり。一方で、より生産性・賃金の高い製造業で雇用が増えれば、中間層の拡大が期待でき、格差縮小につながります。
ならばどうするか。専門性に関しては、中国の請負製造企業がアメリカ国内に進出するかもしれません。日本の自動車メーカーがアメリカに工場を作ったように。中国企業が作るメイドインUSAが、今後生まれる可能性があります。低コスト生産に関しては、更なる機械化によりある程度解決できるのではないでしょうか。この分野に関しては、ファクトリーオートメーションに強みを持つ日本企業にとってチャンスと言えるでしょう。
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《今回のヒントのまとめ》
- メイドインUSA商品に人気があるのか、アメリカ国内で製造したいという需要は高まっている。しかし、消費財の国内委託生産はそう簡単ではない。
- その2つの障害は、専門工場の不足と低コスト生産ノウハウの不足である。アメリカの請負工場の多くは、部品などの生産財が対象で、消費財の生産を請負う工場は少ない。また、高単価品を少量生産する工場が多いので、消費財の小ロット・低コスト生産には対応できない。
- アメリカ国内で製造業が復活することには、2つのメリットがある。一つ目は、中間層拡大につながる雇用を生み出せるので、個人消費拡大に寄与する。また、技術向上によりイノベーションが期待できる。二つ目は、慢性的な貿易赤字の縮小である。
- アメリカ国内での製造で直面する障害をクリアする方法として、中国請負製造業のアメリカ進出が予想される。また、低コスト生産には更なる機械化で対応できるのではないか。ファクトリーオートメーションに強みを持つ日本企業にとっては、チャンスだろう。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
先日購入したのが、こちらのボックスワイン。
LOHACOやアマゾンのレビューが良かったので、思い切って買ってみました。
飲んでみたところ、初めは渋みが弱く感じましたが、時間経過とともに渋みが増してきました。
なかなかいけるので、グラスで3杯ほど飲んでしまいました。
ビール350缶飲んだ後だから、少し飲み過ぎだったかもしれません。
値段が安いで、デイリーワインとしてぴったりですね。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
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備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
日本でも、大手企業による製造の国内回帰が増えてきましたね。
日本の場合は、為替要因が一番大きいでしょうが、日本製への人気もあるのでしょう。
訪日外国人の増加も影響しているのでしょうね。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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