【854号】ターゲットが加工食品の取扱を減らす理由
◎本日のニュース
1)見出し
Target Revamps Groceries for Millennials
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2)要約
米小売大手のターゲット社は、ミレニアル世代を集客するために、グラノーラ・ヨーグルトや菓子・スイーツなど7つのカテゴリーを重点的に販売する。一方で、大手メーカーの加工食品の取扱を減らす。
従来、集客目的で低利益率の食品を販売し、高利益率の雑貨の衝動買いを狙っていた。当初はこの戦略が機能したが、最近は客数・利益率ともに低下傾向である。その理由は、顧客のニーズと販売商品に乖離があるからである。背景には、より健康的なライフスタイルを好み、加工食品を嫌うなど、消費者の嗜好変化がある。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Target Corp. plans to lean on Greek yogurt, bagged coffee, and craft beers in an effort to make its grocery aisles feel less like Wal-Mart Stores Inc. and to attract younger shoppers.
4)キーとなる英文の和訳
ターゲット社の計画では、ギリシャヨーグルトや袋入りコーヒー、クラフトビールの販売を強化する。
その狙いは、ウォールマートとは違う食品売場にして、若者の支持を得ることである。
5)気になる単語・表現
bag | 他動詞 | ~を袋に入れる |
effort | 名詞 | 努力 |
attract | 他動詞 | ~を引きつける;(支持など)を得る |
redeem | 他動詞 | ~を現金に変える;(欠点など)を補う |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
ターゲット社が加工食品からグラノーラ・ヨーグルトなどヘルシー・ナチュラルフードにシフトする理由は、タイトルを見れば一目瞭然。ミレニアル世代を集客するためです。ミレニアル世代とは、80年代・90年代生まれの若者。逆に言えば、ミレニアル世代の獲得に失敗しているから、業績が低迷しているのです。
これまでのターゲットの戦略は、加工食品の低価格販売で集客し、より利益率の高い雑貨販売につなげること。金子哲雄さん風に言えば、加工食品を集客商品、雑貨を収益商品にするというものです。この戦略は、開始当初はうまくいきましたが、今では客数・利益率とも低下しています。その理由は、顧客のニーズと販売商品に乖離が起きているからです。
ターゲットの顧客を対象にしたアンケート調査によると、
ターゲットで売っている食品を食べたいと思う顧客は、18%
という結果が出ています。たったの18%。逆に言えば、残りの82%の顧客は、ターゲットの食品に不満を持っていることになります。だから、いくらターゲットが食品を安売りしても集客効果は乏しいのです。
さらに、ターゲットの顧客の中で、ミレニアル世代の割合は増加しているようです。しかも、その購買力はベビーブーマー世代に匹敵するほど。ターゲットにとって、ミレニアル世代は無視できない顧客層なのです。
ミレニアル世代こそが、ターゲット離れを起こしているとも言えます。というのは、ミレニアル世代は、その親世代が好きだった加工食品を嫌い、一方でより健康的なライフスタイルを望んでいるからです。ターゲットは、ミレニアル世代が好むヘルシー・ナチュラル食品を売っていなかったからこそ、顧客離れを引き起こしていたのです。
ターゲットのミレニアル世代獲得計画をまとめると、次のようになります。
【ターゲットのミレニアル世代獲得計画】
- グラノーラ・ヨーグルト、菓子、スイーツ、コーヒー・お茶、ビール・ワイン、精肉、野菜の7カテゴリーをゼロベースで品揃え変更
- 有機食材・無添加食材・グルテンフリー食品を強化
- 家具・アパレル用品・子ども用品・健康用品の販売強化
- ローカル色の濃い品揃え
- 小型店舗・ネット通販強化
1・2は、ミレニアル世代の嗜好に合わせたもの。大手メーカーの加工食品の売場を減らす一方で、上記カテゴリーの売場を拡充します。3では、収益商品でもミレニアル世代のニーズに合致したものを増やします。食品で来店頻度を高めて、より利益率の高い雑貨で収益を拡大する戦略は、ここでも活きています。
4については、脱チェーンストアと言えるでしょうか。日本でも、セブン・イオンがローカル色の高い仕入れ・PB開発に力を入れるなど、ローカル色強化は世界レベルで起こっているトレンドのようです。
5は、来店ハードルを下げる施策。小型店の方が買い物時間を節約できるので、大型店よりも来店頻度は高くなります。ネット通販は、営業時間さえ気にせず買い物ができます。
日本でも、ヘルシー・ナチュラルフード重視は一定のトレンドであるものの、ターゲットのような全国チェーンでの取り組みは、まだまだ小さい。これは、日本とアメリカでの人口動態・購買力の違いに起因するのではないでしょうか。つまり、日本では、ミレニアル世代を含む若者の人口は減少傾向にあり、さらに非正規労働の割合が多いために、購買力はシニア層に比べて決して高くはありません。その結果、小売チェーンが重視するのは、若者よりもシニア層。一方、人口増の続くアメリカでは、若者世代の人口も増加し、景気拡大により購買力も強くなっています。だから、若者の嗜好を重視した品揃えを余儀なくされるのです。
これら環境の違いを考慮に入れれば、ターゲットと同じやり方が日本でうまくいく確率は低いと言えるでしょう。
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《今回のヒントのまとめ》
- ターゲットが加工食品の取扱を減らす一方で、グラノーラ・ヨーグルト・精肉・野菜などを強化するのは、ミレニアル世代を集客するためである。
- 従来は、利益率の低い加工食品を低価格販売することで客数を増やし、利益率の高い雑貨販売につなげる戦略であった。
- しかし、よりヘルシー・ナチュラルフードを好む顧客の嗜好の変化により、客数・利益率ともに低下した。
- さらに、雑貨類もミレニアル世代を意識したものの販売を強化し、来店ハードルを低くするために、小型店舗・ネット通販での販売増を目指す。
- 人口動態・購買力の違いから、日本ではターゲットのような若者の集客に注力する小売チェーンは少ない。一方で、パイが大きく、購買力もより高いシニア層を重視する傾向が強い。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
微分積分って、得意でしたか?
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ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
この前、神戸・三ノ宮のドキュメンタリーをビデオで見たのですが、震災20年目の日の撮影だったのですが、感動はほんどありませんでした。
逆に、ガラの悪い若者が取り上げられており、神戸のイメージが悪くなるのではないか、と思うぐらいでした。
神戸は決して恐い町ではないですよ。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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