【887号】住宅業界にとってミレニアル世代がオイシくない理由とは
◎本日のニュース
1)見出し
Millenials Just Like the Rest of Us When it Comes to Home Renovations
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2)要約
新しいもの好きの若者だが、リノベーションに関してはそれが成立しないようだ。住宅の人気のアップグレードである環境にやさしい素材やスマートテクノロジーへの関心は、より高い年齢層よりも低い。
住宅リノベーションサイトのホーズの調査によると、環境にやさしい素材への関心は、55歳以上の方が高い。一方で、スマートテクノロジーへの関心は、年齢よりも年収によって異なり、年収が高い方が、高い関心を持つ。
住宅バブル以降、住宅を買い換える人が減る一方で、現在の住宅を向上させるアメリカ人は増えており、リノベーションは住宅業界にとってより重要なビジネスになった。リノベーションへの関心は、ミレニアル世代も同じく強いものの、教育ローンの負担や将来の就職不安により、コストを再優先する。
3)キーとなる英文
Contrary to popular perception, younger people aren’t more keen on trendy upgrades such as green materials and smart technology when it comes to renovating their homes, a new survey finds.
4)キーとなる英文の和訳
新しい調査によると、一般的な認識とは逆に、若い世代ほど、自宅をリノベーションする際、環境にやさしい素地やスマートテクノロジーのような人気のアップグレードをあまり熱望しない、という。
5)気になる単語・表現
keen on | 形容詞句 | ~を熱望して |
green materials | 名詞 | 環境保全に配慮した材料 |
contrary to | 形容詞 | ~に反する |
(今回ピックアップ英単語)
おやすみ
6)ビジネスのヒント
今回は、ミレニアル世代の住宅リノベーションニーズについて。ミレニアル世代は、今後消費を拡大すると期待されながらも、節約志向が強い消費階層として、WSJで取り上げられることが多いという印象です。どの企業も、ミレニアル世代の獲得に四苦八苦しているというのが現状でしょうか。
そのミレニアル世代、住宅リノベーションには他の年齢層と同様に関心があるようです。というのも、住宅バブルの崩壊以後、住宅の捉え方がアメリカ人全体で大きく変化していることが一番大きな要因のようです。つまり、年齢層とは関係なしに、住宅への投資・消費の方法が変わってきているのです。一言で言えば、投資対象から利用対象に変化しています。
【住宅に対するアメリカ人の考えの変化】
- 住宅を買い換える人が減少
- 住宅を改善・リノベーションする人が増加
1のように、投資対象として購入→地価上昇→買い換えというパターンが減少しています。逆に、2のように、今住んでいる住宅をより便利にリノベーションしようという人が増えています。投資対象から利用対象に変化しているのです。だからこそ、住宅業界にとっては、今後リノベーションビジネスはより重要になるのです。
その住宅リノベーションに関して、ミレニアル世代には次のような特徴があります。
【ミレニアル世代の住宅リノベーションニーズの特徴】
- 住宅リノベーションへのニーズはそもそも高い
- 環境保全素材への関心は薄い
- スマートテクノロジーへの関心は薄い
ニーズは高いものの、最新分野である環境保全素材やスマートテクノロジーへの関心は薄いのです。2に関して、これは年齢層により差があります。つまり、年齢層が上がるについて、環境にやさしい素材を重視する傾向です。一方、3のスマートテクノロジーは、年収の高低がそのまま関心の強弱になります。それだけ、スマートテクノロジーはお金が掛かるということです。
ちなみに、これらの調査は、住宅リノベーションサイトのハウズ(Houzz)が実施。その調査結果をまとめると、次のようになります。
【ハウズの調査結果まとめ】
[環境保全素材]
55歳以上→33%
25~34歳→25%
[スマートテクノロジー]
年収5万ドル未満→20%
年収50万ドル以上→35%
※%は住宅保有者のうち、各項目を「とても重要」または「ものすごく重要」と回答した割合。
住宅リノベーションに関心があり、さらに新しいモノ好きとされるミレニアル世代が、最新トレンドである環境保全素材やスマートテクノロジーにあまり関心がないのは、節約志向の強さが影響しています。これを実証するのが、先述のハウズの次の調査結果です。
【ミレニアル世代の節約志向の高さ】
- 25~34歳で年収5万ドル未満の住宅保有者→80%がコストの最小化を優先
- 25~34歳で年収12万5000ドル~14万9999ドルの住宅保有者→70%がコストの最小化を優先
- 55歳以上の12万5000ドル~14万9999ドルの住宅保有者→57%がコストの最小化を優先
1・2と3を比較すれば、年齢層による節約志向の高さの違いが一目瞭然です。逆に、ミレニアル世代の場合、年収の多寡による節約志向の違いはさほど大きくありません。これこそ、ミレニアル世代の一番の特徴なのです。この背景には、教育ローンの重い負担と将来の雇用不安があります。つまり、今現在ローンのせいで可処分所得が制限されるだけではなく、将来不安も重なることで、支出を渋るのです。
住宅リノベーションに関心の高いミレニアル世代は、今後結婚・出産が起こることも考えれば、住宅業界にとって重要なターゲットであるのは間違いありません。ただし、節約志向の高さから、コストの高い環境保全素材やスマートテクノロジーへの関心が薄く、客単価の低い顧客層になります。パイは大きいけど、高いものは買わない顧客は、企業にとってオイシイ層とは言えないでしょう。ただし、コスパの高さを訴求できれば、新興企業でも根こそぎミレニアル世代を獲得できるチャンスがあるのも事実。ニーズの高さは、うまくやればオイシイビジネスチャンスの証左でもあります。
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《今回のヒントのまとめ》
- 住宅リノベーションのニーズが高まっているのは、住宅バブル崩壊以後、住宅を投資対象から利用対象に考え直す人が増えてきたから。
- ミレニアル世代も住宅リノベーションへの関心は高いが、コストの掛かる環境保全素材やスマートテクノロジーへの関心は薄い。環境保全素材は、年齢層が高い程、スマートテクノロジーは年収が高いほど、関心が高い傾向がある。
- 新しいモノ好きのミレニアル世代が、環境保全素材やスマートテクノロジーに関心を示さないのは、節約志向が高いからである。リノベーションの際は、コストの最小化を優先する人が多い。
- もともと住宅リノベーションのニーズが高い上、今後結婚・出産などリノベーション機会が増えるミレニアル世代は、住宅業界にとって格好のターゲットと言える。
- ただし、節約志向の高さから、客単価が低いので、収益性の高いオイシイ顧客とはなりにくい。逆に、コスパの高いリノベーションを売りだせば、ミレニアル世代を根こそぎ獲得できるチャンスはある。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
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◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
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編集後記
体調ほぼ完治。
咳こまなくなりました。
喉痛いのは飛んでいきました。
飲酒を再開しましたが、思ったほど美味しくない。
なぜだろう。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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