【905号】起業アイデアは考えるよりも探せ？

Kevin Dooley

◎本日のニュース

1)見出し
Searching for a Startup Idea? Just Export an Existing One

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

（サイトへの掲載は、翌日以降です。）

ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、

メルマガの登録をお願いします。（もちろん無料です。）

2)要約

起業したい人は、製品アイデアや課題をメモに書き溜めているかもしれない。ただ、いつまでも不十分だと思い、なかなか次に進めない。ならば、そのステップを捨て去ればいい。既存の優れたビジネスを探して、少し変えて早く実行した方がマシである。

というのも、既に成功を証明したビジネスモデルは、激しい競争を勝ち抜いているために、他の市場に適用しやすいからだ。また、投資家から資金を獲得しやすいというメリットもある。参入する市場への適応にだけ努力すれば、絶好のスタートを切れるだろう。

3）キーとなる英文

If you have the passion, but struggle to find the breakthrough, just skip that step.

4）キーとなる英文の和訳

情熱があるものの、なかなか打開できないならば、ただそのステップを抜かせばいい。

5）気になる単語・表現

scratch	自動詞	ひっかいて書く
pad	名詞	メモパッド
scribble down	自動詞	殴り書きをする
throw out	他動詞句	～をさり気なく言う
breakthrough	名詞	大発見；打開
skip	他動詞	～を抜かす
scalable	形容詞	拡張可能な
referral	名詞	参照
uncover	他動詞	～を発掘する；～を暴露する
mint	他動詞	～を造り出す
come up with	自動詞句	～を思いつく
verify	他動詞	～が正しいかどうか確かめる
fantastic	形容詞	すばらしい
untapped	形容詞	利用されていない
head-start	名詞	有利な滑り出し
pair with	自動詞句	～を組み合わせる
ideation	名詞	観念化
thesis	名詞	テーマ
dedicate to	自動詞句	～に専念する
refine	他動詞	～を磨く
incumbent	名詞	（公職の）現職者
ahead of	副詞句	～の前に
expansion	名詞	拡張
offering	名詞	売り物；提供される物

（今回ピックアップ英単語）

おやすみ

6)ビジネスのヒント

今日はスモールビジネス版から。ビジネスアイデアの探し方について。ビジネスアイデアを考えるのは、楽しそうであるものの、袋小路に入ると苦しみ（産みの苦しみ）になります。なかなかいいアイデアが思いつかないものだからです。ならば、そのステップをしなければいい。その代わり、優れたビジネスモデルで自分が本当に好きなものを、自分が参入する市場に持ち込め。これがこの記事の言いたいことです。

【いいビジネスアイデアが思いつかなかったならば】

成功したビジネスモデルで自分の好きなものを、参入する市場に持ち込めばいい。

この根拠は以下の通り。

【成功したビジネスモデルの適応を薦める根拠】

成功したビジネスモデルはすでに激しい競争を勝ち抜いたものだから、成功確率が高いから
投資家、特にまだ満たされていないニーズを解決するビジネスを専門に探す投資家から出資を得やすいから
成功したビジネスモデルが他国・他地域に広がるまでにタイムラグがあるから
成功したモデルを参入する市場に適応することだけに専念すれば、好調なスタートを切れるから

1・2について、成功する確率が高いからこそ、出資を受けやすいと言えるでしょう。アメリカには、満たされていないニーズがあることを知っていても、その解決策を探している投資家がいるようです。だから、ベンチャー企業は出資を得やすいのでしょう。

3について、アメリカ国内で今ブームなのが、「◯◯版ウーバー」というビジネスです。ウーバーという配車アプリのビジネスモデルを、他業界に適応した事業です。ウーバーは自動車関連に特化しているだけに、他業界に持ち込めば、本家のウーバーの参入の恐れはほとんどありません。海外では、「◯◯（国名）のウーバー」となります。この場合は、今後ウーバーと競合する可能性がありますが、早く大きなシェアを獲得できれば、ウーバーと提携して更なる事業拡大を目指せます。IT系では比較的地理的拡大は早いですが、非ITでは、出店が必要になる場合が多いので、国内で広まるには時間が掛かります。例えば、ニューヨークのコリアンタウンで発見したヘルシーなフローズンヨーグルトが、シンシナティに広がるまでには1年以上掛かるのです。この時差こそが、成功モデルの適応を可能にしてくれます。

4について、とかく最初の顧客を獲得するのが難しい創業ですが、成功モデルを適応すれば、それが容易になり、好調なスタートを切りやすくなります。スタートしたものの、顧客獲得に想定以上のコストが掛かったためにコケるということを、避けることができます。

この記事には、次のメッセージも暗に込められているように感じました。それは、

考えるよりも早く始めよ。それが、成功する一番の秘訣。

ただし、情熱は必須。

というもの。当たり前と言えば当たり前ですが、ビジネスアイデアの開発に躓くと、意外に時間がかかり、泥沼に入りやすいものです。（自分の経験から）ならば、既存の成功モデルを持ち込めば、軌道に乗りやすくなり、成功に近づけます。ただし、「情熱」は必須。つまり、儲かるビジネスモデルという理由だけで採用しても、いずれピンチに陥り、諦めることになる。その時に継続するパワーをくれるのが、「情熱」です。だから、そのビジネスモデルが、「大好き」で「自分もユーザー」であり、「無くては困る」商品でなければならないのです。これが「情熱」そのものです。

しかし、記事にはありませんが、いくらか難点も考えられます。

【成功モデル適応の盲点】

スマホの普及によって、グローバルに展開しやすくなり、タイムラグが短縮化する傾向にある
参入する市場への適応は意外に難しい

1について、記事では「IT化されて、低コストで拡張可能なもの」が推奨され、ソフトウェアやサービスに焦点を当てた方がいいとされています。そうなれば、スマホの活用を避けられません。一方で、スマホを使えば、簡単にグローバル市場への進出も可能なので、成功したモデルが広まるタイムラグが短くなる傾向にあります。だからこそ、早く始めることが重要なのかもしれませんが。

2について、参入する市場は自分のよく知る市場であるものの、他業界で成功したモデルを適応するのはそうたやすいものではありません。

個人的には、需要があるかどうか微妙な「面白い」ビジネスよりも、少々競争が激しいものの需要が顕在化した事業の方が、創業が軌道に乗る確率は高いと考えています。前者の場合は、損益分岐点まで到達するのに時間が掛かるため、長い赤字期間に耐える必要があります。だから、VCなどからの出資は必須です。一方、後者は、営業力さえあればとりあえず売上を上げることができます。後は低コスト運営できれば、利益も出しやすいでしょう。問題は、会社として軌道に乗った後に、いかに個性的な商品・モデルを作り出せるかに尽きると思います。

（記事で紹介されたビジネス）

ClassPass(フィットネスクラブの共通パス)

KFit(クラスパスのアジア・オーストラリア版)

Dafiti（ブラジルのザッポス）

Aparat（イランのユーチューブ）

※アラビア語のサイトです

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

《今回のヒントのまとめ》

優れたビジネスモデルがなかなか思い浮かばないなら、成功したモデルを真似ればいい。
その理由は、厳しい競争を勝ち抜いたモデルだけに成功しやすく、また投資家から出資を得やすく、一方で成功したモデルが広がるまでにはタイムラグがあり、さらに、絶好のスタートを切れるからである。
ビジネスアイデアの段階で考えて袋小路に陥るよりは、成功モデルを用いて、参入市場への適応に頭を使った方が成功しやすい。
ただし、難点もある。スマホの普及により、IT系ビジネスの場合、タイムラグが短縮する傾向にある。また、よく知る参入市場への適応も、そう簡単ものではない。
成功モデルを活用する場合でも、情熱は必須である。情熱がなければ、必ず訪れるピンチを乗り越えることができないから。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊