【923号】ニューヨークのハロウィーン期間限定店が採った、ネット通販対策とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Halloween Pop-Ups Carve a Niche in Retail
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2)要約
毎年秋になると、期間限定のハロウィーンショップがショッピングセンターの入口などに現れる。ハロウィーンは大きなビジネスであり、ペット用の仮装コスチュームが売れるほどである。
一方で、ハロウィーンビジネスの競争は激化している。ホームセンターなどの実店舗だけではなく、通販サイトまでハロウィーングッズを販売する。そこで、期間限定の専門店は、専用コスチュームの販売や販売期間の短縮化で対抗する。
3)キーとなる英文
The stores are Halloween pop-ups, and more than 30 of them are operating in the five boroughs this season. By the end of next week, most will have disappeared without a trace.
4)キーとなる英文の和訳
その店舗はハロウィーンの期間限定店であり、そのうち30店舗以上が今年5つの行政区で営業をしている。
来週の終わりまでに、その大部分は、跡形もなく消えるとされる。
5)気になる単語・表現
goblin | 名詞 | 幽霊 |
ghoul | 名詞 | 悪霊 |
grid | 名詞 | 格子;焼き網 |
borough | 名詞 | 行政区 |
hang | 他動詞 | ~を吊るす |
resurface | 自動詞 | (潜水艦が)再び浮上する |
in the meantime | 副詞 | その合間に |
fare | 名詞 | 出し物;運賃 |
boost | 名詞 | (物価などの)上昇;(景気などの)回復 |
formalize | 他動詞 | ~を形式化する |
revert | 自動詞 | (前の状態・話題などに)戻る |
(今回ピックアップ英単語)
【revert】
(英英)to reply (rather formal)
(専門用語)「先祖返り」「復帰」
(意味)「(前の状態に)戻る;(病気などが)再発する」
revert to normal
「平常に戻る」
revert to the subject of finance
「財政の話題に立ち戻る」
「(財産などが)~に復帰する(to)」
Her land will revert to the state.
「彼女の土地は州に帰属するだろう。」
(類義語)
「復帰する(させる)」 return, rejoin, restore, reinstate, get back
「戻る(元の状態に返る)」 return, come back, go back, recur
6)ビジネスのヒント
ニューヨークのハロウィーンビジネスの最新状況についての記事です。今後日本でさらにハロウィーンが盛り上がるとすると、アメリカの状況は日本の予想図になりえます。ハロウィーンビジネスでも、ネット通販の影響は色濃く出ているようです。
アメリカのハロウィーンビジネスは、歴史のあるイベントだけに、その市場規模はかなり大きいです。2015年の予想消費額は、25億ドル(約3000億円)。子供だけのイベントではなく、大人の43.5%が仮装し、さらにペットの12.9%も仮装するようです。人口増・ペット増を考えると、市場規模はさらに拡大することが期待できます。
【アメリカのハロウィーンビジネス概要】
(市場規模)約25億ドル(2015年予測)
(仮装)大人の43.5%、ペットの12.9%
これだけ大きなビジネスになれば、参入企業も当然増えます。専門のポップアップショップ(期間限定店)だけではなく、ホームセンター(ホームインプルーブストア)などの実店舗、通販サイトまで参入しています。この激化する競争の中で、専門店は差別化・工夫を余儀なくされているのです。
まず、ニューヨークの期間限定のハロウィーン専門店には、全国チェーンのスピリット・ハロウィーンと地元のリッキーズ・ハロウィーンという二大チェーンが存在します。
【NYのハロウィーン期間限定店】
[スピリット・ハロウィーン]
- 親会社は、スペンサー・スピリット・ホールディングス社
- 北米(カナダ含む)の店舗数:今年1165店(昨年1100店)、このうちニューヨーク市には17店舗
- 営業期間の6~8週間で、全米で約2万人を雇用
[リッキーズ・ハロウィーン]
- 通常は、美容関連の小売店を運営
- 店舗数;今年10店(昨年23店)、このうち一部は美容小売店の出店予定地への出店
大きく店舗数を増やしたスピリットに対し、リッキーズは店舗数を半分以下に縮小しています。この要因について記事では言及されていませんが、ハロウィーン市場の競争激化が要因なのは簡単に想像できます。体力に優る全国チェーンのスピリッツが店舗数を増やすのに対し、中小企業のリッキーズは美容関連への選択と集中を進めていると読み取れます。
専門店が採った競争激化への対抗策をまとめると、次のようになります。
【期間限定のハロウィーン専門店が採った競争激化対策】
- 限定・専用コスチュームで差別化(スピリット)
- 営業期間の短縮(リッキーズ)
- 店舗数の拡大(スピリット)
- 処分販売の回避(スピリット)
- ハロウィーン体験を提供(スピリット)
1について、価格競争を避けるためには、商品を差別化する必要があります。その一番の方法は、PB商品のような専用・限定商品の開発・販売です。スピリット・ハロウィーンは、コスチュームの独自製造ラインを持ち、独自商品を製造・販売しています。
2について、消費者によるハロウィーン関連品の買物期間自体が、短縮しているようです。ならば、無駄に出店期間を長くしても、家賃負担だけが重くのしかかるだけ。リッキーズの出店期間は、10月初めから10月後半に後ろ倒しされています。恐らく、スピリットも、8週間から6週間に短縮しているのではないでしょうか。販売期間を短縮することにより、家賃コストを削減できるだけではなく、来店客に「今しか買えない」というプレッシャーを掛けることになり、販売を後押しすることができます。
3について、期間限定店の店舗数を増やすことにより、ハロウィーングッズへのアクセスがよくなり、衝動買いの機会も増えることになります。ただし、コストが掛かることなので、スピリットのような体力のある大企業向きの対策です。
4について、スピリットは、売れ残ったコスチュームを処分販売するのではなく、オフシーズン倉庫で保管し、翌年販売するようです。シーズン終了間近から処分販売して現金化することの多い季節商材では、珍しいことです。処分販売を回避する理由は、次の通り。
【スピリットがハロウィーンコスチュームの処分販売を回避する理由】
- ハロウィーン当日に近くなると値下がりするというイメージを持たれたくないから
- 購入動機が、価格よりも気に入るかどうかだから
- 顧客一人あたりの購入点数の拡大が期待できないから
1について、一度処分販売をすれば、その時に買えばいいと思われかねません。そうなれば、値下げが常態化する恐れがあります。
2について、そもそもハロウィーンは仮装を楽しむイベントであり、価格よりもデザインや奇抜さが購入動機になります。価格を下げたからと言って、処分できるとは限らないのです。
3について、ハロウィーンで仮装するのはその当日だけであり、一着のコスチュームを来てイベントを楽しむものです。つまり、価格を下げたからと言って、一人が複数枚買うことは期待できないのです。値下げすれば、客単価下落は必至です。
要は、価格弾力性の低い商材だけに、無駄な値下げを避けたいということになります。ただし、スピリットの場合、ネット通販限定でクリアランスセールを実施しています。その場合でも、値下げ商品はごく一部に限定されており、来年売れる見込みのないコスチューム限定で処分販売しているようです。
最後の5番目の対抗策について、専門店だけに、モノだけではなくコトも販売しています。スピリットでは、売場に単にコスチュームを並べるだけではなく、コスチューム自体を楽しめるようなに装飾されています。記事に掲載されている画像では、幽霊のようなコスチュームが上から吊るされてあり、その怖さ・迫力を体験できます。
より一般化すれば、このようになります。
【ハロウィーン市場で見られる専門店のネット通販対策】
- 専用商品の開発・販売
- 販売期間の短縮
- 売場の拡大
- 正規価格で売り切り
- 商品自体だけではなく体験まで売る
この中で興味深いのは、2の販売期間の短縮。日本の小売企業でこれを採用しているのは、セール期間の短縮を実行に移した三越伊勢丹でしょうか。一見、販売期間が長い方が購入確率は高まりそうに思えますが、逆に購入を後回しにされる可能性も高まります。集客コストの高まりを考えると、気に入った商品はその場ですぐに買って欲しいもの。販売期間は短い方が、実は売上につながりやすいのかもしれません。
そう言えば、今年の年末商戦の開始を、感謝祭翌日に後ろ倒しする小売チェーンが出てきているようです。
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《今回のヒントのまとめ》
- アメリカにおけるハロウィーンの市場規模は、約25億ドル。魅力的な市場のため、実店舗小売のみならず、ネット通販まで参入し、競争は激化している。
- その中で、期間限定の専門店は、5つの差別化により、収益拡大を目指している。
- それは、「限定・専用商品の販売」「販売期間の短縮」「店舗数の拡大」「正規販売での売り切り」「ハロウィーン体験の提供」である。これらにより、一人あたりの購入点数が増えない商材だけに、客単価の向上を目指している。
- 特に目を引くのは、販売期間の短縮である。一見、販売期間を長くした方が、売上は伸びそうだが、見るだけで実際の購入を後回しにされる恐れがある。
- 集客コストの上昇も考慮すれば、販売期間を短縮して、購入を後押しした方が得策なのかもしれない。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
ビール系飲料は、メインブランドの派生商品が最近随分増えています。
恐らく、知名度の高いブランドを使うことにより、成功確率が高まるとともに、宣伝広告費などの販売コストの削減を狙っているのでしょう。
その中で、最近飲んだのが、「麦とホップ The gold 絹のコク。」
これが、実にコクがあり美味しい。
苦味が好きな人には物足りないかもしれませんが、それ以外はビールと間違うほど。
試しに一本買って飲んだのですが、次は24本入を買おうかと思っています。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
風邪はほぼ完治しました。
久しぶりにビールを飲んだのですが、風邪の時とは違い、実に美味しかったです。
今回は、マスクがないために、電車の中で風邪をもらったようなので、これからはマスクは必携したいと思います。
みなさんも、是非。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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