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【998号】住所を持たないネット通販ユーザーに荷物を届ける方法とは?

Packaging Madness

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Startups Try to Put Remote E-Commerce Customers on the Map

 

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2)要約

ネット通販での難題の1つに、中東やアフリカなどの住所を持たない家・オフィスにいかに荷物を届けるか、ということがある。その解決方法として、スマホアプリやGPS・独自に割り当てた住所などを用いるスタートアップ企業がある。多額の資金調達にも成功している。

 

住所を持たない消費者への宅配が重視されるのは、それにより急速に拡大する新興国のネット通販市場がさらに拡大するからである。現在は、住所を持つ所得上位者や上の中位者が、市場の牽引役である。住所のない層にまで広がると、その潜在成長力は測りし得ない。

 

これまでの主要通販サイトの場合、荷物を近くまで運んで受取人に電話で確認する必要があった。これが面倒で、ネット通販を避け実店舗で買い物をする人は相当数いる。

 

3)キーとなる英文

A handful of startups are trying to solve one of the more vexing problems in e-commerce: how to deliver a package to a home or office that doesn’t have an address.

 

4)キーとなる英文の和訳

一部のスタートアップ企業が取り組んでいるのが、ネット通販でより厄介とされる問題の1つを解決することである。

それは、住所を持たない家庭やオフィスに荷物をどのように運ぶかである。

 

5)気になる単語・表現

a handful of 形容詞句 少数の、わずかな
vexing 形容詞 苛立たせる
constant 形容詞 不変の;絶え間なく続く
designation 名詞 名称;指示
multidigit 名詞 多くの数字
coordinate 名詞 座標
fledging 形容詞 駆け出しの
grid 名詞 格子
relief 名詞 救済
assign 他動詞 ~を割り当てる
roadie 名詞 地方公演マネージャー
track 他動詞 ~の跡を追う

 

(今回ピックアップ英単語)

【assign】

(意味)

  1. (SVO1O2/SVO2 to O1)O1にO2を割り当てる
  2. (SVO to M)OをMに任命する
  3. (SVO for M)MのO(日時など)を指定する
  4. (財産・権利など)を(人に)譲渡する(to)

(類義語)

「委託する」 entrust, trust, commit, confide, consign, delegate, resign

「譲渡する」 transfer, alienate, negotiate, grant, pass, amortize

「選任する」 elect, adopt, constitute

「任命する」 appoint, nominate, name, designate, institute

「割り当てる」 allot, allocate, distribute

(コメント)

特によく見る単語というわけではないですが、ビジネス場面で使われる事が多く、しかも熟語として暗記が必要な単語でもあるので、取り上げました。

この記事では、「新たな住所を割り当てる」という文脈で使われています。

 

 

6)ビジネスのヒント

今回は中東・アジア・アフリカのネット通販の話。これら地域は、中間層が爆発的に増える新興国であり、ネット通販市場が急速に拡大しています。ただし、その成長を牽引しているのは、ネットで買い物ができるぐらいの可処分所得に増えた中間層ではなく、上位層や上の中位層。つまり、ネット通販を利用できる余裕の十分ある層が、ネット通販利用を増やしていることが、市場拡大に大きく寄与しているのです。

 

では、なぜやっとネット通販を利用できる余裕が出てきた層の利用が増えないのか。その理由は、住所を持たないからです。

 

住所を持たないと言っても、家がないホームレスというわけではありません。(当たり前ですが)ネット通販で買い物できるぐらいの可処分所得を持った層ですから。この場合の「住所を持たない」というのは、「伝統的な表示の住所を持たない」という意味で、ストリートアドレスを持たないという意味になります。

 

ちなみに、ストリートアドレスとは、「◯◯市◯◯ ◯◯通り**」(◯は文字、*は数字)という表示をする住所。日本では、丁・番地・号で表示しますが、世界では面する通り名に数字を割り当てる方式で、住所を表記します。

 

【住所を持たないとは?】

  1. 伝統的なストリート名で表示した住所を持たない
  2. 住所は、目印になる建物・店舗からの距離や、それがない場合は、単にストリート名・都市名を記すだけ
  3. 自宅・オフィスなどの不動産自体はある(ホームレスではない)

 

では、住所を持たない消費者はネット通販を利用出来ないかと言えば、そういうわけでもありません。

 

【主要通販サイトの住所を持たないユーザーへの宅配方法】

  1. 住所欄には、都市名、あればストリート名、あれば目印になる建物名を記入する
  2. 受取りのための中心地点まで運び、そこで電話を掛ける
  3. 過密な都市部では、何度もユーザーに電話を掛けて確認する

 

要は、わかる範囲まで住所を書いて、その近くまで運び、後は直接電話をしてお互い落ち合うというやり方です。この方法では、ユーザーには確認作業という負担が生じます。これが面倒となって、ネット通販を利用できる余裕がありながら、依然実店舗での購入を続ける消費者が相当数いるようです。これでは、ネット通販業界は、せっかく増えた見込み客を獲得できません。

 

ネット通販業界が、住所を持たない層への宅配に力を入れる理由をまとめておきます。

 

【住所を持たない消費者への宅配に力を入れる理由】

  1. ネットインフラの改善や可処分所得の向上により、ネット通販で買い物できる余裕のある中間層は急増しているから(潜在成長力はもっと高い)
  2. しかし、住所を持たない層が多く、宅配業者との面倒な確認作業が嫌なため、ネット通販ではなく実店舗での買い物を続けている
  3. ネット通販市場の拡大を支えているのは、もともとネット通販で買い物できる余裕のある上位層・上の中位層が、利用を増やしているから

 

これらの理由から、住所を持たない層への宅配を可能にすれば、ネット通販市場はさらに拡大すると考えているのです。

 

記事では、この難題を解決する3つのスタートアップ企業やそのサービスが紹介されています。簡単にまとめると、次のようになります。

 

【記事で紹介された住所を持たない層への宅配問題の解決方法】

  1. フェッチャー(運送会社):受取人のモバイル端末(スマホ)のGPS位置を住所として利用。目立つオレンジの靴・バックパックを身に付けた配達人は、通りで見つけやすい。
  2. ワッツスリーワーズ(システム提供):地球上の10フィート四方に独自の3文字住所を割り当てる。利用者、どの通販サイトでも、その住所で宅配可能になる。
  3. オクヒ(システム提供):地理上の場所(恐らくGPS)と受取人の玄関のドア画像を組み合わせて住所を作成。

 

1は運送会社が提供するサービスで、建物ではなく人自身に届けるサービスです。受取人のスマホアプリのGPSから、居場所を割り出し、そこに届けることになります。比較的わかりやすいサービスです。

 

2・3はIT企業によりシステム提供で、運送会社がシステム利用者となります。いずれも、自宅やオフィスなど建物に届けるサービスなので、1とは異なります。ワッツスリーワーズでは、独自に三文字の住所を割当て。その住所を、通販サイトの住所欄に記入することで、運送会社はシステムからその場所を割り出し、届ける事が可能になります。オクヒは、場所と玄関の画像を組み合わせることで、受取人に確認する必要がなくなります。

 

いずれの企業も、VCや政府などから100万ドル以上の資金調達に成功。住所を持たない消費者への宅配が、いかに大きなビジネスチャンスなのかを物語っています。

 

【注目点】

  1. ネット通販の利用を阻害するハードルは、先進国でも意外に多いかもしれない
  2. GPSを使うことで手渡しが可能になれば、ネット通販の利便性はさらに高まる

 

1について、今回は住所を持たない層への宅配という新興国ならではの問題でしたが、ネット通販市場が成熟化しつつある先進国でも、意外にネット通販のりようを妨げるハードルは存在するかもしれません。高齢者や学生などターゲットに分ければ、実際の課題が見えてくるかもしれません。「手間が掛かる」など、些細な理由で利用を諦めているのかもしれません。

 

2について、スマホ利用者が増えれば、スマホのGPSから人への手渡しが一般化するかもしれません。そうなれば、ネット通販の利便性はさらに高まります。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. 新興国でネット通販市場が急速に拡大しているのは、実はもともとネット通販を利用できるに十分な可処分所得を持つ所得上位層・上の中位層が、利用を拡大しているからである。
  2. ネット通販で買い物できる可処分所得に達した中間層の多くは、住所を持たないため、ネット通販を利用せず、依然実店舗で買い物を続けているのが、現実である。
  3. これまでは、住所を持たない層への宅配は、受取人と何度も電話で確認をして届けていた。この確認作業が面倒なため、中間層の利用が進まなかった。
  4. この住所を持たない層への宅配を解決する方法として、スマホのGPSから手渡しする方法や、新たに3文字住所を割り当てる方法、実際の場所と玄関画像を組み合わせる方法が、スタートアップ企業から提供されている。
  5. 「手間が掛かる」など利用者のネット通販の利用を妨げるハードルは、先進国でも意外に多いのかもしれない。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

アサヒのスーパードライプレミアムがリニューアルされました。

今回は、「豊穣(ほうじょう)」という名前です。

(思わず、阪神で頑張っている北條選手が頭に浮かびましたが)

今回はサンプル缶を頂いたのですが、これがなかなかの苦味。

プレモルやエビスのような独特の味わいよりも、苦味が強いという印象です。

アルコール度数6.5%というのが効いたのでしょうか、「さわやかさ」というよりも「どっしり」したという感じ。

旧ドライプレミアムとは、随分変わりました。(旧ドライプレミアムはプレモルに似ている)

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本の宅配状況は、本当に便利になったと思います。

ヤマト運輸では、配達前日に配達予定がスマホに届き、場所・日時を変更することができます。

これは本当に便利で、この機能のお陰で、再配達をしてもらうことはめっきり減りました。

こういう誰も得をしない無駄、結構ありますよね。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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