【1013号】スーパーの総菜販売拡大で起こるリスクとは?
◎本日のニュース
1)見出し
Grocers Tackle New Food-Safety Issues as Tastes Grow for Prepared Meals
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2)要約
スーパーマーケットは、総菜販売の拡大により、新たな食品安全問題に直面している。総菜を製造するセントラルキッチンが、規制当局であるFDAから安全上の警告を受けるケースが増加している。
総菜の販売に力を入れる背景には、消費の変化がある。家庭での調理や日常的な外食を控える傾向が高まる一方で、スーパーに併設された寿司カウンターやタコスバーで新鮮な食事を取ることが好まれている。
離職率の高いスーパー従業員向けのオンライン教育など、新たなビジネスも生まれている。
3)キーとなる英文
Supermarkets are starting to look a lot more like takeout restaurants, but the explosion of prepared meals has brought new food-safety issues that even leading chains are racing to manage.
4)キーとなる英文の和訳
スーパーマーケットは、テイクアウトレストランにより近づき始めている。
しかし、総菜の拡大により、新たな食品安全問題が浮上し、主要チェーンでさえその管理に急いでいる。
5)気になる単語・表現
woe | 名詞 | 苦痛の種 |
forgo | 他動詞 | (楽しみなど)を差し控える |
beset | 他動詞 | ~を包囲する;~を悩ます、~につきまとう |
attrition | 名詞 | 摩擦 |
adhere to | 自動詞句 | ~にくっつく;~を固守する |
keep O up | 他動詞句 | ~を起こしておく |
(今回ピックアップ英単語)
おやすみ
6)ビジネスのヒント
今回取り上げるのは、総菜販売に力を入れるスーパーが直面する新たな問題。この場合の総菜とは、日本のようなパックに入った総菜というよりも、注文を受けてから調理したり、調理済みの料理をパックしたりなど、ファストフードの料理に近いものになります。日本で言えば、スーパー・コンビニの総菜というよりも、SCのフードコートの料理の方が近いかもしれません。
アメリカのスーパーは、言わばファストフードレストラン化しているわけですが、その背景には、次のような消費の変化があります。
【スーパーのファストフードレストラン化を促した消費の変化】
- 家庭内調理の減少
- 日常的な外食の減少
- スーパーの新鮮な総菜の購入拡大
要は、食材から始める調理や日常的な外食利用が減る一方で、スーパーで販売される新鮮な総菜の購入が増えているのです。このため、競合他社とも差別化しやすこともあって、スーパーはファストフードに近い新鮮な総菜の販売に力を入れているのです。実際に、スーパーの総菜販売金額は、10年前と比較して約2倍弱に拡大しています。
このように、テイクアウトレストランに近づいたスーパーに、規制当局であるFDAは外食店並みの衛生ルールを課すことになります。その結果、ホールフーズ・マーケットなどのセントラルキッチンが警告を受けることになりました。この場合、有機・ナチュラル食材の販売で有名であり、食品安全面にはより力を注いでいるとされるホールフーズ・マーケットに問題が起こったことで、スーパーの食品安全問題がクローズアップされたのでしょう。
スーパーの食品安全問題がより深刻化した原因には、次の二点があります。
【スーパーの食品安全問題が深刻化した原因】
- 相対的に離職率が高いため
- より加工度の高い総菜の販売増えたため
1の離職率が高いために、変化の多い衛生上のルールに従業員を精通させることが難しくなります。また、2のように、単に冷たいサラダを提供するだけではなく、加熱調理など複雑な調理・取扱が必要な料理の提供が増えることにより、食中毒の発生確率が高まります。この二点により、食品衛生上の問題が生じやすくなります。
このようにスーパーは、単に価格や品揃えによる競争だけではなく、衛生上のより高いハードルにも対応しなければなりません。従来は参入障壁の低いビジネスの難易度が高まることにより、大手チェーンによる寡占がさらに強くなるかもしれません。
【注目点】
- スーパーのレストラン化により、サービスが問われるようになる。
- 従業員教育ビジネスが拡大する
注目点の一つ目は、スーパーのレストラン化により、低価格だけではなくサービスも問われるようになるかもしれません。その結果、人材の質が売上により大きな影響を及ぼします。
二つ目は、記事にもありましたが、従業員教育ビジネスが拡大することになります。特に、離職率が高い一方で、資金力のある大手チェーンのシェアが大きな業界だけに、スーパーの食品衛生に特化した従業員教育ビジネスは、より大きくなるのではないでしょうか。
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《今回のヒントのまとめ》
- スーパーで総菜販売が増えた背景には、消費の変化がある。つまり、家庭内調理や日常的な外食利用が減る一方で、スーパーの新鮮な総菜の購入が増加している。
- スーパーがファストフードレストラン化する一方で、より厳しい食品衛生上の問題に直面している。
- その理由は、離職率が高いからであり、また加工度の高い総菜販売が増えているからである。
- カウンターでの新鮮な総菜販売が増えることにより、スーパーはそのサービス力がより問われるかもしれない。だからこそ、従業員教育ビジネスがより注目を浴びるのだろう。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
新潟に行く機会があったので、サッポロの新潟ローカルビール「風味爽快ニシテ」を飲んでみました。
クラフトビールのようなわかりやすい味ではなかったものの、ネーミングの通り爽快な夏向きのビールに感じました。
生ビールで飲みましたが、コンビニなどでは缶も売っています。
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。
この7年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
日本でもイートインスペースが増えるなど、スーパーのレストラン化は進んでいます。
衛生面で利用店舗を選択する日は、近いのかもしれませんね。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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